1. 鬼が出るか蛇が出るか ( おにがでるかじゃがでるか )
次にどんな恐ろしい事態が起こるか予想がつかない。
2. 鬼瓦にも化粧 ( おにがわらにもけしょう )
醜い姿の者も化粧すればよく見える。または、少しはよく見える。
3. 鬼に金棒 ( おににかなぼう )
強い鬼が金棒を持ってさらに強くなる、ということから、元来強いものに何かが加わって、一段と強化されること。
【例】 「優秀なマシンに優秀なメカニックがそろい、このチームは鬼に金棒だ」
4. 鬼に衣 ( おににころも )
鬼のような心の人が、表面は僧侶の衣をまとっているというたとえ。ごまかし。ぎまん。
また、鬼は本来裸であるから衣類は必要でない。不必要、不似合いのたとえ。
5. 鬼の居ぬ間に洗濯 ( おにのいぬまにせんたく )
こわい人、気詰まりな人がいない間に、羽を伸ばして思う存分くつろぐ。
【参考】 When the cat is away the mice will play. [ネコの留守にネズミは遊ぶ]
【類句】 鬼の留守に洗濯
6. 鬼の霍乱 ( おにのかくらん )
普段丈夫な人が、珍しく病気になるたとえ。
「霍乱」は、夏の暑気あたりの腹くだし。
7. 鬼の空念仏 ( おにのそらねんぶつ )
無慈悲なものが心にもない慈悲をよそおうことのたとえ。
どん欲残酷な者がうわべだけ殊勝らしくすること。鬼の念仏。
8. 鬼の立てたる石の戸も情に開く
( おにのたてたるいしのともなさけにあく )
冷酷な鬼が立てていった石の戸も、慈悲同情の気高い情のためには自然に開いてくる、という意味。
9. 鬼の目にも涙 ( おにのめにもなみだ )
どんなに無慈悲冷酷だと思われている人でも、時には温かい人間味を発揮するものだ、ということ。
【例】 「鬼の目にも涙で、いつもきびしい監督も今回の優勝には喜んでいた」
10. 鬼の目にも見残し ( おにのめにもみのこし )
観察の非常に精密な人にも時としては見落としがある。
情け容赦もなく過酷なことをする人にも手ぬかりがあること。
11. 鬼も十八番茶も出花 ( おにもじゅうはちばんちゃもでばな )
番茶でも最初の一,二杯は香りがよいように、鬼のように醜い顔の娘も、年頃になれば女らしい魅力が出るものだ。
12. 鬼も角折る ( おにもつのおる )
どんな悪人でも何かの機会に一念発起して、悪事をやめて善事を志すようになることもある。
13. 親に似ぬ子は鬼子 ( おやににぬこはおにご )
親に似ない子は鬼の子だ。そのくらい子は親に似るものだ、という意味。
14. 鬼瞰の禍 ( きがんのわざわい )
富貴の家におこるわざわいのこと。
富貴にすぎると鬼がねたんでその家をうかがう。満ち足りるとわざわいが起こる。
15. 疑心暗鬼を生ず ( ぎしんあんきをしょうず )
びくびくしていると、暗がりの中で鬼の形が見えたりする、ということから、疑いの心があると、ありもせぬことを想像して恐ろしくなる、という意味。
16. 鬼神は邪無し ( きしんはよこしまなし )
神は道理にあわないことや曲ったことはしない。
17. 暗りに鬼つなぐ ( くらがりにおにつなぐ )
奥底が知れず気味の悪いたとえ。なにが出てくるかわからないこと。
18. 心に鬼を作る ( こころにおにをつくる )
恐れてあれこれといらぬ想像をする。
また、心にやましいことがあって悩むこと。
19. 心の鬼が身を責める ( こころのおにがみをせめる )
良心に責められること。
20. 小姑一人は鬼千匹に当たる
( こじゅうとひとりはおにせんびきにあたる )
嫁の身にとっては、夫の兄弟姉妹は非常な苦労の種で、その一人一人が鬼の千匹にも相当するほどである。
21. 地獄にも鬼ばかりではない ( じごくにもおにばかりではない )
地獄のようなつらいこの世にも、慈悲深い人はいる。
22. 知らぬ仏より馴染みの鬼 ( しらぬほとけよりなじみのおに )
たとえ悪人でも懇意な人のほうが、近づきのない善人よりよい。
23. 神出鬼没 ( しんしゅつきぼつ )
鬼神のように忽(たちま)ち現われたり隠れたりして、所在が容易に量り知れないこと。
24. 銭ある時は鬼をも使う ( ぜにあるときはおにをもつかう )
銭さえあれば、どんな者をも使うことができる。
学歴はなくとも金があれば、大学出をあごで使える。
25. その鬼に非ずして祭るは諂うなり
( そのきにあらずしてまつるはへつらうなり )
自分の祖先の霊以外の、物のけをまつるのは、それにこびへつらうことである。
祖先に対する信仰と、つまらぬ迷信とを混同してはならない。
26. 断じて行なえば鬼神もこれを避く
( だんじておこなえばきしんもこれをさく )
堅く決意したうえで迷わずに決行すれば鬼神も恐れてこれを避け、何ものも妨げることは出来ない。
27. 寺の隣りに鬼が棲む ( てらのとなりにおにがすむ )
情け深い人のそばに、無情な人がいることもある。
28. 昔の事を言えば鬼が笑う ( むかしのことをいえばおにがわらう )
もう遠い昔、過去のことを言うと鬼でも笑うということで、もうとりかえしのできないこと。
【参考】 「来年のことをいえば鬼が笑う」は反対の意味。
29. 渡る世間に鬼はない ( わたるせけんにおにはない )
世間には薄情な人ばかりであるというわけではなく、情け深い人もいる、という意味。
【参考】 「人を見たら泥棒と思え」の反対。
30. 来年のことをいえば鬼が笑う
( らいねんのことをいえばおにがわらう )
未来を予知することのできる鬼は、来年どのような悪運が待ち構えているのかも知らないで、
楽しい夢などを口にする人をあざ笑う。将来のことはどうなるか今から決めることはできない、という意味。