151. 人を使うは苦を使う ( ひとをつかうはくをつかう )
人を使うということは何かと気苦労が多いものである。
【参考】 使う者は使われる
152. 人を呪わば穴二つ ( ひとをのろわばあなふたつ )
人に害を与えれば、自分もまたその報いを受けるから、
人を呪い殺そうとすれば、その人を埋める穴のほかに、自分を埋める穴も用意する必要がある、という意味。
153. 人を謀れば人に謀らる ( ひとをはかればひとにはからる )
他人をひっかけてやろうと悪だくみをする者は、自分もいつかは、他人にひっかけられて大損する。また、ひどい目にあうということ。
154. 人を見たら泥棒と思え ( ひとをみたらどろぼうとおもえ )
他人は信用できないものだから、すべて泥棒だと思うくらいに、まず疑ってかかれ、という意味で、
「人を見たら泥棒と思え、火を見たら火事と思え」と、用心を呼びかける言葉。
【参考】 「渡る世間に鬼はない」の反対。
155. 人を見て法を説け ( ひとをみてほうをとけ )
「人」は「人柄」の意で、物の道理を心得ている人に分りきったことを言って聞かせるのは愚かなことである一方、
道理の分らない人には筋道を立てて説いてやることが必要だということ。
【参考】 「ひとをみて」は「にんをみて」ともいう。
【例】 「人を見て法を説けというように、子供を相手にそんな話をしても分るはずがない」
156. 人を以て鏡となす ( ひとをもってかがみとなす )
他人を手本として自分の行ないの善悪当否を判断する。
【類句】 人のふり見て我がふり直せ
157. 人を以て言を廃せず ( ひとをもってげんをはいせず )
どんな人の意見でも、良い意見であれば捨てずに採用する。固定観念を固守しない意。
158. 火に油を注ぐ ( ひにあぶらをそそぐ )
燃えている火に油を注ぐと、火勢が強くなるように、勢いが盛んなものにさらに勢いを加えること。
159. 微に入り細を穿つ ( びにいりさいをうがつ )
非常に細かい点まで漏らさずに、詳しく調べたり説明したりする。
160. 髀肉の嘆 ( ひにくのたん )
功名を立てる機会がないことを、悔しがること。「髀」は股(もも)のことで、
戦国時代、蜀の劉備が長い間馬に乗って戦場に出ないので、ももに肉がついて太ってしまったのを嘆息した故事。
【例】 「今日のために練習してきたのに、私の出番なく勝負が決まってしまい、髀肉の嘆をかこった」
161. 日に就り月に将む ( ひになりつきにすすむ )
学業がどんどん進歩すること。「就」は成、「将」は進の意。
【参考】 「日進月歩」と同じ。
162. 火の消えた回り灯籠 ( ひのきえたまわりどうろう )
火の消えたまわりどうろう(走馬灯)はじっとして動かない。つまり、どうしようもないこと。ほどこすすべがないこと。
163. 火のない所に煙は立たない ( ひのないところにけむりはたたない )
火の気のないところから、煙が立つわけがない。よくないうわさが流れているが、
全然事実がなければ、うわさが立つはずはない。それに近い疑わしいことがあったのだろう、という意味。
【参考】 There is no smoke without fire. の訳語。
164. 火の中にも三年 ( ひのなかにもさんねん )
火の中にも三年、がまんしているということで、辛抱強いことのたとえ。
165. 火は火で治まる ( ひはひでおさまる )
悪い者を除くには、悪い者を使えば、うまく除くことができるということ。
166. 火は火元から騒ぎ出す ( ひはひもとからさわぎだす )
事を起こした本人が最初に騒ぎ出すものだということ。
【類句】 屁と火事は元から騒ぐ
167. 日は夜を知らず月は昼を知らず
( ひはよるをしらずつきはひるをしらず )
太陽は夜を知らない。そして月は昼間を知らない。
168. 火箸を持つも手を焼かぬため ( ひばしをもつもてをやかぬため )
ただたんに道具があるものではない。なにかの役に立つからこそあるのである。
169. 疲馬は鞭スイを畏れず ( ひばはべんすいをおそれず )
ひどく困窮すれば、きびしい刑罰も恐ろしく思わないたとえ。
「鞭スイ」はむちの意で、疲れ果てた馬は、むちをこわいと思わない、という意味。
170. 雲雀の口に鳴子 ( ひばりのくちになるこ )
べらべらしゃべることのたとえ。
171. ヒ蜉大樹を撼かす ( ひふたいじゅをうごかす )
身の程を知らないたとえ。「ヒ蜉」は大きな蟻。大蟻が自分の微力を考えずに、大木を動かそうとする。
【参考】 「ヒ」は、むしへんに「比」と書く。
【類句】 蟷螂の斧
172. 隙ほど毒なものはない ( ひまほどどくなものはない )
人は毎日忙しく働いていれば何事もないが、時間があって体を持て余すようになると、ろくなことはしないものである。
173. 火水の争い ( ひみずのあらそい )
火と水はあわないというところから、仲が悪く、はげしく争うことのたとえにいう。
174. 美味も喉三寸 ( びみものどさんずん )
うまい物といっても喉を通るわずかな時間だけで、腹の中に入ってしまえば、うまいもまずいもない。
175. ひもじい時にまずいものなし ( ひもじいときにまずいものなし )
腹の減っているときには、何でもおいしく食べられる、という意味。
176. 紐と命は長いがよい ( ひもといのちはながいがよい )
なんでも長ければ都合がよいから、短いよりも長いほうがよいということ。
177. 百芸は一芸の精しきに如かず
( ひゃくげいはいちげいのくわしきにしかず )
いろいろな沢山の芸ができるよりも、たった一つでもよいから、名人芸をもったほうがよいということ。
178. 百石とっても手鼻かむ ( ひゃくこくとってもてばなかむ )
百石取りの身分になっても、成り上がり者は手鼻をかむような、いやしいときの習慣が抜け切らないということ。
179. 百歳の後 ( ひゃくさいののち )
人の死後を遠回しにいう語。人の寿命は百歳を超すことが少ないから、死後の意となる。
【参考】 「百年の後(のち)」「万歳の後」ともいう。
180. 百歳の童七歳の翁 ( ひゃくさいのわらべななさいのおきな )
年をとっていても少しも才覚のない子供のような者もあれば、子供でも、大人にまけないような頭脳の持主もある。人の賢さは年によらない。