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「ひ」からはじまる ことわざ 3

61. 人衆ければ天に勝ち天定まれば人に勝つ
  ( ひとおおければてんにかちてんさだまればひとにかつ )

 人の勢力が強い時には、一時は正しい天理にも勝ち、悪い者が栄えることがあるが、 天運が巡って世の中の道が正しくなれば、天の正道は邪悪に勝って、正しい者が栄えるようになる。

62. 人必ず自ら侮りて然る後に人これを侮る
  ( ひとかならずみずからあなどりてしかるのちにひとこれをあなどる )

 あまり謙遜してはいけないということで、自分をひげして自分をあなどると、必ず世人からもあなどりを受けるようになる。

63. 人屑と縄屑は余らぬ ( ひとくずとなわくずはあまらぬ )

 人には有能な者と無能な者があるが、無能は無能なりにそれぞれの仕事にふり向けられるものだから、余ってじゃまだということはない。

64. 人屑は火も焚けぬ ( ひとくずはひもたけぬ )

 火を上手にたける者は利口だというが、働きのない者は火も満足にたけない。

65. 一口物に頬を焼く ( ひとくちものにほおをやく )

 一口で食べられるようなちょっとした食物を口に入れてやけどすることで、 ちょっとしたことに手出しをして思わぬ失敗をすることのたとえにいう。

66. 人喰らい馬にも合口 ( ひとくらいうまにもあいくち )

 人にかみつくような荒馬にもなれた人があるように、乱暴で手におえないような人にも、よく気の合う人があるものである。 「ける馬も乗手次第」ということ。

67. 人肥えたるが故に貴からず ( ひとこえたるがゆえにたかからず )

 人間のねうちは姿や様子で決めることはできない。 金持ちは肥えているが、金持ちのえらいのは金をもうける働きのあるのがえらいのである。

68. 人こそ人の鏡 ( ひとこそひとのかがみ )

 自分の行いを改めるには、他人を手本にするのが一番よい。 他人の言動を反省の材料にして、姿を写す鏡にたとえた言葉である。

69. 人盛んにして神祟らず ( ひとさかんにしてかみたたらず )

 人間の運勢が強い時には、悪いことをしても神仏でもどうすることもできない。

70. 人酒を飲む酒酒を飲む酒人を飲む
  ( ひとさけをのむさけさけをのむさけひとをのむ )

 酒を飲む時は、初めの間は人が酒を飲んでいるが、そのうちに、酒が酒を飲んでいるようなありさまとなり、 しまいには、酒が人の理性分別をなくしてしまう。

71. 一筋の矢は折るべし十筋の矢は折り難し
  ( ひとすじのやはおるべしじゅっすじのやはおりがたし )

 単独ではできないことでも大勢で力をあわせればできるということ。

72. 一たび鳴けば人を驚かす ( ひとたびなけばひとをおどろかす )

 普段はおとなしくてなにもしないが、いったん事を始めれば、あっといわせるようなえらい事をしでかすこと。

73. 一つ穴の狢 ( ひとつあなのむじな )

 同じ穴に住む者同士。外見は仲間でないように見せかけているが、実は共謀している同類の悪党である、という意味。
 【参考】 「同じ穴の狢(または狐・狸)」ともいう。

74. 一つ余って大津へ戻る ( ひとつあまっておおつへもどる )

 道中双六で京で上がりになるとき、賽(さい)の目が一つ多くでると、また手前の大津へ戻らなければならない。

75. 一つ事は同じ事 ( ひとつごとはおなじこと )

 言い方は違っていてもつまり同じ事だということ。わかりきっていること。

76. 一つよければまた二つ ( ひとつよければまたふたつ )

 人間の欲には限りがないこと。

77. 人と入れ物は有り次第 ( ひとといれものはありしだい )

 人と道具とは、それが多くても使い方次第では多すぎることはなく、また少なくても使い方次第で用は足りる。

78. 人と屏風は直ぐには立たず ( ひととびょうぶはすぐにはたたず )

 屏風は曲げなければ立たないのと同様に、人も正直だけでは世の中を渡っていけない。 正しい道理ばかりでは生きていけないということ。
 【類句】 屏風と商人は直ぐには立たぬ

79. 人捕る亀が人に捕られる ( ひととるかめがひとにとられる )

 人をそこねようとして、かえって自分がわざわいを受けること。

80. 人通りに草生えず ( ひとどおりにくさはえず )

 人の往来がはげしくして、いつも踏みつけている土地には草が生えないということで、 いつも使っている道具はさびつかないという意味に使う。

81. 人に受くる者は人を畏れ人にあたうる者は驕る
  ( ひとにうくるものはひとをおそれひとにあたうるものはおごる )

 他人から恵みを受けると感謝の気持ちが先に立ち、堂々とふるまうことができなくなり、 他人に施しを与えた者は自然に心がたかぶって素直な気持ちを失ってしまう。

82. 人に勝たんと欲する者は必ず先ず自ら勝つ
  ( ひとにかたんとほっするものはかならずまずみずからかつ )

 人に勝とうと思う者は、必ずまず自分のわがままな心に打ち勝たねばならぬ。 克己心の大切なことを説いた言葉。

83. 人に七癖我が身に八癖 ( ひとにななくせわがみにやくせ )

 だれにも癖はあるもので、人を見れば癖が多いように見えるが、自分自身はもっとたくさん癖をもっている。

84. 人には飽かぬが病に飽く ( ひとにはあかぬがやまいにあく )

 病人は苦しいが、長煩いともなると看病するほうも並大抵ではない。 長わずらいは周囲の者から飽きられる。

85. 人に一癖 ( ひとにひとくせ )

 たいていの人は、それぞれ何らかの癖があるものだ。

86. 人に施しては慎みて念うこと勿れ
  ( ひとにほどこしてはつつしみておもうことなかれ )

 他人に物を与えて、これをいつまでも覚えていればつい恩着せがましくなるから、 早く忘れるよう心がけなければならない。

87. 人の過ち我が仕合わせ ( ひとのあやまちわがしあわせ )

 他人の失敗を願ったわけではないが、たまたま起こった他人の失敗が、自分には思いがけなく幸運であることをいう。

88. 人の意見は四十まで ( ひとのいけんはしじゅうまで )

 四十歳を過ぎたような人に、意見をしたとて効果がないこと。

89. 人の痛いのは三年でも辛抱する
  ( ひとのいたいのはさんねんでもしんぼうする )

 人がどんなに困っていても、少しも同情せずに、平気で見ているということ。

90. 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し
  ( ひとのいっしょうはおもにをおうてとおきみちをゆくがごとし )

 人生の行路は長く苦しいことが多く、また任務も重大であるので、一歩一歩を確実に進み続けなければならない。
 【参考】 『論語』の「任重くして道遠し」に基づいたもので、 遺訓は「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず、不自由を常と思えば不足なし」と続く。

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