91. 男に青菜を見せるな ( おとこにあおなをみせるな )
青菜はゆでると、かさがゴッソリ減ってしまう。男はその事を知らない、だからゆでる前の青菜は男に見せるなという意味。
92. 男の心と大仏の柱 ( おとこのこころとだいぶつのはしら )
男の心は大仏殿の柱のように大きく大胆であれ、というたとえ。
93. 男の目には糸を引け女の目には鈴を張れ
( おとこのめにはいとをひけおんなのめにはすずをはれ )
男の目は細くまっすぐなのがよく、女の目はぱっちりと開いたのがよい。
94. 男は敷居を跨げば七人の敵あり
( おとこはしきいをまたげばしちにんのてきあり )
男というものはつらいもので、世の中に出て活動するのには、多くの競争相手や敵がいるものだ。
【参考】 「家を出れば七人の敵あり」ともいう。
95. 男は辞儀にあまれ ( おとこはじぎにあまれ )
男は謙遜である方がよい、遠慮しすぎるぐらいでちょうどよい、という意味。
96. 男は度胸女は愛嬌 ( おとこはどきょうおんなはあいきょう )
男には勇気や決断力が、女には愛嬌が大切である、という意味。
97. 男は松女は藤 ( おとこはまつおんなはふじ )
男は松のようにがっちり立ち、女は藤がからまるように男に頼れ。
男女の特質をたとえ、男は女の頼りになるということ。
98. 男は妻から ( おとこはめから )
男の出世は妻のよしあしによって決まる。また、妻の心がけ次第で男の身持ちもおさまる。
男は妻によって人格が完成される。
99. 男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く
( おとこやもめにうじがわきおんなやもめにはながさく )
妻に死別または生別した男のひとり者は、身の回りの世話をする人がいないので汚いが、
夫に死別した未亡人は、身ぎれいにしていて男たちにもてはやされる。
100. 驚き桃の木山椒の木 ( おどろきもものきさんしょのき )
これは驚いた、というときに使う語。
「驚き」の「き」に「木」をかけて語呂合わせした語。
101. 同じ穴の狢 ( おなじあなのむじな )
一見互いに無関係のように見えても同類の悪人であること。
【例】 「国民のための政治などと言っている政治家も結局、同じ穴の狢さ」
【類句】 一つ穴の狢
102. 鬼が出るか蛇が出るか ( おにがでるかじゃがでるか )
次にどんな恐ろしい事態が起こるか予想がつかない。
103. 鬼瓦にも化粧 ( おにがわらにもけしょう )
醜い姿の者も化粧すればよく見える。または、少しはよく見える。
104. 鬼に金棒 ( おににかなぼう )
強い鬼が金棒を持ってさらに強くなる、ということから、元来強いものに何かが加わって、一段と強化されること。
【例】 「優秀なマシンに優秀なメカニックがそろい、このチームは鬼に金棒だ」
105. 鬼に衣 ( おににころも )
鬼のような心の人が、表面は僧侶の衣をまとっているというたとえ。ごまかし。ぎまん。
また、鬼は本来裸であるから衣類は必要でない。不必要、不似合いのたとえ。
106. 鬼の居ぬ間に洗濯 ( おにのいぬまにせんたく )
こわい人、気詰まりな人がいない間に、羽を伸ばして思う存分くつろぐ。
【参考】 When the cat is away the mice will play.
【類句】 鬼の留守に洗濯
107. 鬼の霍乱 ( おにのかくらん )
普段丈夫な人が、珍しく病気になるたとえ。
「霍乱」は、夏の暑気あたりの腹くだし。
108. 鬼の空念仏 ( おにのそらねんぶつ )
無慈悲なものが心にもない慈悲をよそおうことのたとえ。
どん欲残酷な者がうわべだけ殊勝らしくすること。鬼の念仏。
109. 鬼の立てたる石の戸も情に開く
( おにのたてたるいしのともなさけにあく )
冷酷な鬼が立てていった石の戸も、慈悲同情の気高い情のためには自然に開いてくる、という意味。
110. 鬼の目にも涙 ( おにのめにもなみだ )
どんなに無慈悲冷酷だと思われている人でも、時には温かい人間味を発揮するものだ、ということ。
【例】 「鬼の目にも涙で、いつもきびしい監督も今回の優勝には喜んでいた」
111. 鬼の目にも見残し ( おにのめにもみのこし )
観察の非常に精密な人にも時としては見落としがある。
情け容赦もなく過酷なことをする人にも手ぬかりがあること。
112. 鬼も十八番茶も出花 ( おにもじゅうはちばんちゃもでばな )
番茶でも最初の一,二杯は香りがよいように、鬼のように醜い顔の娘も、年頃になれば女らしい魅力が出るものだ。
113. 鬼も角折る ( おにもつのおる )
どんな悪人でも何かの機会に一念発起して、悪事をやめて善事を志すようになることもある。
114. おのが刀でおのが首 ( おのがかたなでおのがくび )
自分の行為によってわざわいを招くこと。自分からわざわいを招くことのたとえ。
115. 己達せんと欲して人を達せしむ
( おのれたっせんとほっしてひとをたっせしむ )
すぐれた人はよい事を行なうのに、自他の区別をしないこと。
自分が成しとげようと思うことを、まず人を助けて先に目的を成しとげさせること。
116. 己に克ち礼に復る ( おのれにかちれいにかえる )
私欲をおさえて天理のあらわれるである礼にかえる。克己復礼(こっきふくれい)。
117. 己に如かざる者を友とする勿れ
( おのれにしかざるものをともとするなかれ )
自分より劣ったものは、道を修める上に益を得ることがないから、交わってはならない。
118. 己の欲せざる所は人に施すこと勿れ
( おのれのほっせざるところはひとにほどこすことなかれ )
119. 己を知って他を知らぬ ( おのれをしってたをしらぬ )
自分だけのことを考えて、人の考えを知らない。
自分のせまい見聞にたよって広い世間の事を知らない。
120. 己を責めて人を責むるな ( おのれをせめてひとをせむるな )
人の落ち度を責めるより、自分を反省せよ。
【参考】 徳川家康の遺訓の言葉。