61. 臆病の神おろし ( おくびょうのかみおろし )
臆病者が神々の名をとなえて救助、加護を求めること。
「神おろし」はやおろずの神の名を称えて斎場に神を招くこと。
また巫女が神を身に寄せるために祈ること。
62. 奥山の杉のともずり ( おくやまのすぎのともずり )
自業自得のこと。奥山の杉の枝と枝とがすれ合って、自然発火して山火事を出すこと。
63. 送る月日に関守なし ( おくるつきひにせきもりなし )
月日のたつのは早いこと。
月日には関守(関所の番人)がいないから、とどまることなく進んで行く。
64. 屋漏に愧じず ( おくろうにはじず )
人の見ていない所では恥ずかしい行為をしないこと。
心を戒めて鬼神のつけいるすきを与えない。
【参考】 「屋漏」は室の西北のすみで暗い所。
65. 傲に長ずべからず ( おごりにちょうずべからず )
おごって人をあなどる心を増長させてはならない、という戒め。
66. 奢は三年の費え ( おごりはさんねんのついえ )
ぜいたくによって消費した赤字の金は、三年の間元通りにならないほど大きい。
67. 驕る者は心常に貧し ( おごるものはこころつねにまずし )
ぜいたくをする者は、かえって絶えず心に不満が起こり、不足を感じる。
68. 驕る者久しからず ( おごるものひさしからず )
得意になって、たかぶっている者は長く栄えず、花がしぼむようにほどなく衰えてしまうこと。
【類句】 「驕る平家は久しからず」ともいう。
69. 教うるは学ぶの半ば ( おしうるはまなぶのなかば )
人に教えることは、半分は自分の勉強になる。
人に教えてみると、自分の知識のあいまいなことがはっきりして、自分の勉強の助けとなる。
【類句】 教学(きょうがく)は相長(あいちょう)ず
70. 教えざる民をもって戦うは是之を棄つと謂う
( おしえざるたみをもってたたかうはこれこれをすつという )
なんの訓練もしない未教育の人民を戦場に出すのは、野原に棄てて殺すのと同じ。
71. 惜しく欲しくの争い ( おしくほしくのあらそい )
欲と欲との争い。一方はやりたくない。一方はもらいたい、ほしいという、この社会に多い紛争。
72. 鴛鴦の衾 ( おしのふすま )
雌雄(しゆう)の鴛鴦(おしどり)の模様のある夜具。夫婦のちぎりのたとえ。
73. 伯父が甥の草を刈る ( おじがおいのくさをかる )
目上のものが目下のもののために、あれこれと奔走させられることをいう。
74. おじゃんになる ( おじゃんになる )
鎮火の際に半鐘を「ジャンジャン」と二つ打ったことから、
何かの事情で、予定していたことが実行できなくなったり、計画したことが失敗に終わったりする。
75. 遅い助けは助けにならぬ ( おそいたすけはたすけにならぬ )
時機を失しては援助も効果はない。なんにもならない。
76. 遅牛も淀早牛も淀 ( おそうしもよどはやうしもよど )
遅い早いの違いはあっても、行き着くところは同じである。
行く先が同じなら結果も同じであるというたとえ。
77. 遅かりし由良之助 ( おそかりしゆらのすけ )
人が遅れてきたときや時機に間に合わなかった場合にいう言葉。
「仮名手本忠臣蔵」の芝居で、大星由良之助(大石内蔵助(おおいしくらのすけ))の到着を待ちかねて、
判官が切腹したところへ駆けつけた大星に、判官が言ったせりふ。
78. 恐れ入谷の鬼子母神 ( おそれいりやのきしもじん )
恐れ入りました、というときのしゃれ言葉。
「恐れ入る」の「入る」を地名の入谷(東京台東区)にかけ、そこにある鬼子母神へと続けたもの。
79. お多福転けても鼻打たぬ ( おたふくこけてもはなうたぬ )
鼻の低いものは転んでも鼻にけがをしない、という悪口。
【類句】 おでこ転んでも鼻打たぬ
80. おだてと畚には乗りやすい ( おだてともっこにはのりやすい )
他人のおだてと土運びのもっこには乗りやすい。
人のおだてには乗らないように注意せよ、という意味。
81. 小田原評定 ( おだわらひょうじょう )
長引いて結論のでない相談。
豊臣秀吉が小田原城を攻めた時、北条氏直が臣下を集めて、和戦のいずれを取るかの評定をしたが、
結論が長く続いて決着せず、ついに滅亡してしまった故事から出た言葉。
82. 落武者は芒の穂にも怖ず ( おちむしゃはすすきのほにもおず )
戦いに負けて逃げていく武者は、敵の目をおそれて心がおびえているので、つまらぬことにさえびくびくする。
びくびくしているとなんでもないことまで恐ろしくなること。
83. お茶を挽く ( おちゃをひく )
花柳界(かりゅうかい)や芸能界で客のないときの隠語。
ひまなときに、退屈しのぎに茶臼で茶を挽いて粉にしたからという。
84. 落ちれば同じ谷川の水 ( おちればおなじたにがわのみず )
出発点は違っても最後に行きつくところは一つである。人間の生き方はさまざまに違っていても、
最後は死んで灰になることは同じであるということ。
85. 夫あれば親忘る ( おっとあればおやわする )
女は嫁に行けば、実家の父母を忘れて、夫や子のためにつくすことを主とするようになる、ということ。
86. 夫の心と川の瀬は一夜に変わる
( おっとのこころとかわのせはいちやにかわる )
男の愛情の変わりやすいことのたとえ。
87. 夫よければ妻もよし ( おっとよければつまもよし )
夫がよくすれば妻もよくなる。妻がよくすれば夫もよくなる。
88. 頤で蠅を追う ( おとがいではえをおう )
ひどくやせおとろえて元気のないさま。
【参考】 「頤」はしたあごのこと。
89. 頤を解く ( おとがいをとく )
「頤」はあごのことで、あごが外れること。大口をあけて笑う意。
90. 男心と秋の空 ( おとこごころとあきのそら )
秋の空が変わりやすいように、男の女に対する愛情は移ろいやすいものである。