1. 贔屓の引き倒し ( ひいきのひきたおし )
贔屓し過ぎて、かえってその当人のためにならないような結果になること。
【例】 「好きなものばかり与えていては贔屓の引き倒しだ」
2. 燧石据石にならぬ ( ひうちいしすえいしにならぬ )
火打ち石は小さくても役立つ。しかし家の土台石にはならない。
小さいものでは大きい役にはたたない。大は必ずしも小を兼ねないが、小も大を兼ねないの意。
3. 日陰の梨 ( ひかげのなし )
見かけは立派であるが、中身が悪いもののたとえ。見かけ倒し。
4. 日陰の豆も時が来ればはぜる ( ひかげのまめもときがくればはぜる )
日の当たらないところで育った豆でも、日数がたって適当な時期が来ると自然にさやが割れてはじけ出る。
人間も同様に、一定の年齢が来れば、成長が遅れていた者もそれぞれ一人前になる、という意味。
【参考】 「陰裏(かげうら)の豆もはじける時」ともいう。
【類句】 豌豆は日陰でもはじける
5. 日陰の桃の木 ( ひかげのもものき )
細くてひょろひょろしている人のたとえ。
6. 光あるものは光ある物を友とす
( ひかりあるものはひかりあるものをともとす )
火は乾燥した物にもえつきやすく、水はしめっているほうに流れやすい。
同じ性質のもの同士は自然と寄り集まるということ。
7. 引かれ者の小唄 ( ひかれもののこうた )
裸馬に乗せられて刑場に連れて行かれる罪人が、わざと平気を装って小唄を歌う様子から、
負け惜しみに、しいて強がりを言うこと。
8. 日勘定では足らぬが月勘定では余る
( ひかんじょうではたらぬがつきかんじょうではあまる )
小部分の計算では損のように見えるが、大きくまとめてみると利益があること。
【類句】 日計足らず歳計余り有り
9. 非学者論に負けず ( ひがくしゃろんにまけず )
学問をしない者は学問をした者と議論する場合にはかえって屈しないものである。
10. 東に近ければ西に遠い ( ひがしにちかければにしにとおい )
一つのほうに近ければ、別のほうには遠くなる。
どちらにもかたよらないことはなかなか難しいということ。
11. 干潟の鰯 ( ひがたのいわし )
手も足も出ないこと。
潮が引いて水のないところにいる鰯のことで、どうにもならない、自滅を待つばかりの心細い運命のたとえ。
12. 日が西から出る ( ひがにしからでる )
絶対にあり得ないことのたとえ。
13. 彼岸が来れば団子を思う ( ひがんがくればだんごをおもう )
大事なことを忘れて、食べることばかり連想することで、のんきな人をひやかしていう。
14. 低き処に水溜る ( ひくきところにみずたまる )
得のあるところには人が集まってくることのたとえ。
15. 比丘尼にこうがい ( びくににこうがい )
尼さんにこうがいは不必要だということで、必要がないことや不似合いのことのたとえにいう。
【参考】 「こうがい」は髪にさすもの。
16. 比丘尼にひげ出せ ( びくににひげだせ )
無理難題をいうことのたとえ。
17. 日暮れて途透し ( ひくれてみちとおし )
老年になって、まだ目的が達せられないたとえ。
日が暮れてしまったが、目的地はまだ遠い、という意味。
18. 日暮れて道を急ぐ ( ひくれてみちをいそぐ )
おしまい近くなってから急に仕事をいそぐこと。
19. 火消しの家にも火事 ( ひけしのいえにもかじ )
よそを戒めているうちに、おひざもとからあやまちを引きおこすことをいう。
【参考】 「秋葉山から火事」ともいう。
20. 髭の塵を払う ( ひげのちりをはらう )
中国の宋の丁謂が、宰相こう準の髭が吸い物で汚れたのをふいて、たしなめられたという故事から、
人の髭についたゴミをとってやることから、目上の者にこびへつらう、という意味。
21. 卑下も自慢の中 ( ひげもじまんのうち )
表面は謙遜(けんそん)しているようであるが、実は自慢をしていることをいう。
【参考】 「卑下自慢」ともいう。
22. 飛語 ( ひご )
根のないうわさ。誰が言い出したかわからない根拠のない言葉。流言飛語。
【参考】 「蜚語(ひご)」とも書く。「流言飛語に迷わされるな」と使う。
23. 庇を貸して母家を取られる ( ひさしをかしておもやをとられる )
ほんの少し軒先を貸しただけなのに、しまいには家全体を取られてしまう。
自分の持ち物の一部を貸したため、言いがかりを付けられて、ついにその全部を奪われるようになる。
恩を仇で返される、という意味。
【参考】 「軒を貸して母家を取られる」ともいう。
24. 膝っ子に目薬 ( ひざっこにめぐすり )
はなはだしい見当違いのこと。
25. 膝とも談合 ( ひざともだんごう )
考えあぐねた時は、自分の膝でも相談相手になる、ということから、
どんなにつまらないと思える人であっても相談してみれば、それなりの益はあるものだということ。
【例】 「膝とも談合というから、彼女にも相談してみるか」
26. 飛耳長目 ( ひじちょうもく )
物事の観察に鋭敏なこと。遠くのことをよく聞くことの出来る耳と、よく見る事の出来る目。
27. 美女は醜婦の仇 ( びじょはしゅうふのあだ )
みにくい女は世の中に美人があるので、肩身がせまくて不幸な目にもあわされるのだと思うから、美人は醜婦から仇のように憎まれる。
それと同じで、正義の士は不義不正の輩(やから)からじゃまものにされ憎まれる。
28. 美人に年なし ( びじんにとしなし )
美人はいくつになっても、若く美しく見える、という意味。
29. 美人薄命 ( びじんはくめい )
美人はかえって不幸せなものである。病弱であったり、あるいは美しいが故に、
男性との間のトラブルのもととなって運命を狂わせたり、美人は必ずしも幸せではない、という意味。
【参考】 「佳人薄命」ともいう。
30. 日西山に薄る ( ひせいざんにせまる )
年とった人に死期が迫っていることのたとえにいう。日が西の山に沈むこと。