31. 秋財布に春袋 ( あきざいふにはるぶくろ )
秋に財布を縫うのは空き(から)に通じてよくない、春は張る(みちる)だから、春縫う袋は縁起がよい。
32. 空き樽は音が高い ( あきだるはおとがたかい )
中身のない空っぽの樽を叩くと高い音を立てる、ということから、よくしゃべる人には考えの浅い人が多い、というたとえ。
【類句】 浅瀬に仇浪
33. 商い三年 ( あきないさんねん )
商売を始めても三年たたなければ利益を得るまでに到らない。
何事でも三年間の辛抱が肝要であるたとえ。
34. 商い上手の仕入下手 ( あきないじょうずのしいれべた )
客のあつかいが上手でよく売れるけど、仕入が下手では利益があがらないこと。
また、人間には向き不向きがあってなんでもできるというものではない、という意味もある。
35. 商いは牛の涎 ( あきないはうしのよだれ )
商売をするには牛の涎のようでなければならない。
一時に大もうけしようとせず、細く長く、わずかな利益を積み重ねて財をなすべきだ、という意味。
36. 商いは門門 ( あきないはかどかど )
商売は、客を見て、それぞれの客に応じた品物を売るのがコツである。
また、専門の店で買うのが安全であるという意味も。
37. 商いは草の種 ( あきないはくさのたね )
商売には種類が多いことのたとえ。
38. 商いは本にあり ( あきないはもとにあり )
商売が成功するかしないかは、投下された資本の大小による。
大資本の威力にはかなわないという意味。
39. 秋茄子は嫁に食わすな ( あきなすはよめにくわすな )
秋茄子はおいしいので、しゅうとめが嫁に食べさせたがらないという意。また、食べると体を冷やすので、
また、秋茄子は種が少ないので子供が出来ないという縁起をかついで、嫁に食べさせなかったともいう。
【類句】 秋梭魚は嫁に喰わすな
40. 秋の扇 ( あきのおうぎ )
愛情が薄らいで捨てられた女のたとえ。
夏の間、大切にされた扇も、涼しい秋がくると片付けられて顧みられなくなる、という意味。
41. 秋の鹿は笛に寄る ( あきのしかはふえによる )
市価は、秋になると雌雄慕いあう習性があるので、たやすく鹿笛に誘われて近寄ってくる。
弱点に付け込まれて利用されやすいこと、また恋の為に身を滅ぼすことにいう。
42. 秋の空は七度半変わる ( あきのそらはななたびはんかわる )
秋の空は変わりやすいことから、心の変わりやすいことにたとえる。
【類句】 男心と秋の空
43. 秋の日は釣瓶落とし ( あきのひはつるべおとし )
秋の入り日は、釣瓶を井戸の中に落とすように速く沈む。
秋の日の暮れやすいことをたとえていう。
【類句】 秋の日は鉈(なた)落とし
44. 秋葉山から火事 ( あきばさんからかじ )
秋葉山には火難よけの秋葉神社がある。その秋葉山から火事が出たというので、
他を戒めているうちにおひざもとであやまちを犯すことをいう。
45. 諦めは心の養生 ( あきらめはこころのようじょう )
いつまでも過去の失敗をくよくよ思いわずらうのは健康によくない。
諦めが肝心というたとえ。
46. 商人に系図なし ( あきんどにけいずなし )
商人の成功は努力や実力によるものであり、家柄などは必要ない。
47. 商人の元値 ( あきんどのもとね )
商人が客に物をすすめるとき、元値を切って勉強しておきますなどと言って売りつけるが、
実際にはもうけて売る。商人のいう元値はどこまで本当かわからないこと。
48. 商人は損していつか倉が建つ
( あきんどはそんしていつかくらがたつ )
商人はいつも損している損していると言いながら、いつのまにか倉を建てる。もうけている事を皮肉に言った言葉。
【類句】 商人は損と元値で暮らす
49. 悪縁契り深し ( あくえんちぎりふかし )
よくない縁ほど断ちきりにくいということ。悪縁はくされ縁。
悪友は離れにくいように、悪の道の縁は絶ちにくい。
50. 悪妻は百年の不作 ( あくさいはひゃくねんのふさく )
悪い妻を持つと、自分の一生だけでなく子孫にまで悪い結果をもたらす、という意味。
51. 悪事千里を走る ( あくじせんりをはしる )
人の善行は容易に世に知れないが、悪い行いやよくない評判は、いくら隠してもすぐ遠くまで知れ渡る。
【参考】 Ill news travels fast.
52. 悪事身にかえる ( あくじみにかえる )
自分のおかした悪事は、結局は自分に戻ってきて、自分が苦しむもとになる。
53. 悪女の賢者ぶり ( あくじょのけんじゃぶり )
心のよくない女が、表面的には賢女や貞女をよそおってふるまっている。
世の中には案外このようなのが多い。
54. 悪女の深情け ( あくじょのふかなさけ )
醜い女は美しい女に比して、愛情が強く嫉妬心が深い。転じて、ありがた迷惑である、という意に用いる。
近ごろは「悪女」を心の悪い女の意に用いているが、本来は醜い女をいう。
55. 悪銭身につかず ( あくせんみにつかず )
不正な手段で得た金は、つまらないことに使ってしまうからすぐなくなる。
【例】 「ギャンブルで大金を手にしたが、悪銭身につかずで、一晩で使い果たしてしまった」
【類句】 あぶく銭は身につかない
56. 悪に強ければ善にも強し ( あくにつよければぜんにもつよし )
悪いことをする力の強い人は、善いことをする力も強い。
大悪人はいったん改心すると、非常な善事をなすことができる、という意味。
57. 悪人あればこそ善人も顕われる
( あくにんあればこそぜんにんもあらわれる )
世の中に悪人があればこそ善人が目立ってくる。
悪人だといって憎んでばかりいてはならない。
58. 悪の裏は善 ( あくのうらはぜん )
善と悪とは裏と表で、悪いことの後には善いことがある。
悪いことばかりつづくものではない。
59. 悪は一旦なり ( あくはいったんなり )
悪や不正は一時は勢いを得て盛大になることがあっても、結局は正義には勝てない、永続きはしない。
60. 悪は延べよ ( あくはのべよ )
悪いことは一日でも二日でもいいからなるべく先へ延ばしなさい、という意味。
【参考】 「善は急げ」は反対の意。