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「あ」からはじまる ことわざ 1

1. 合縁奇縁 ( あいえんきえん )

 縁というものは不思議なもので、人と人との気持ちがうまく合うのも合わないのも、 みな仏教でいう因縁によるものである。友人や男女の間などで、深い親しみを感じる場合にいう。
 【類句】 縁は異なもの

2. 愛多ければ憎しみ至る ( あいおおければにくしみいたる )

 人からかわいがられることが多ければ、必ず他の人から憎まれるようになる。 特別な寵愛(ちょうあい)は身の破綻を招くことになるから注意しなければならない。

3. 愛してその悪を知る ( あいしてそのあくをしる )

 いくら愛しても、その人の悪い点をよく知る。 他人の長所・短所も冷静によく認めるべきである、という意味。

4. 愛してその醜を忘る ( あいしてそのしゅうをわする )

 本当に愛してしまうと、相手のすべてがよくなって、悪いところがわからなくなる。
 【類句】 痘痕も靨 / 恋は盲目

5. 愛想もこそも尽き果てる ( あいそもこそもつきはてる )

 「愛想が尽きる」を強調した言い方。
 【例】 「彼のギャンブル好きには、愛想もこそも尽き果てた」

6. 開いた口が塞がらない ( あいたくちがふさがらない )

 あまりのひどさに、あきれ返っている様子。
 【例】 「あまりのひどい言い訳に、開いた口がふさがらない」

7. 開いた口へ牡丹餅 ( あいたくちへぼたもち )

 運のよいときは、努力をしなくとも幸運が向こうからやってくるものである。
 【類句】 棚からぼた餅

8. 相手変われど主変わらず ( あいてかわれどぬしかわらず )

 相手は次々と変わっても、それに対するこちらはいつも変わらず、同じことを何度も繰り返していることをいう。
 【参考】 「相手変われど手前変わらず」ともいう。

9. 相手のさする功名 ( あいてのさするこうみょう )

 自分の努力や実力によるのではなくして、相手の力不足や失敗によって、思いがけない手柄を立てることがあるのをいう。

10. 相手のない喧嘩はできぬ ( あいてのないけんかはできぬ )

 相手がなければ喧嘩はできない。それゆえどんなに喧嘩をしかけてきても相手にならないのが賢明である。

11. 愛は屋烏に及ぶ ( あいはおくうにおよぶ )

 その人を愛するあまり、その人の持ち物まで愛するようになること。 愛する人の家の屋根にいる烏まで愛するようになる。

12. 愛は惜しみなく与う ( あいはおしみなくあたう )

 愛はすべてのわが有するものを人に与えても惜しく思わない。 愛はそれほど強いものであるということ。トルストイの言葉。

13. 愛別離苦 ( あいべつりく )

 親子・兄弟・夫婦など、愛する人と生別・死別するようになる苦しみ。
 【参考】 四苦八苦
 【注意】 普通は「あいべつ-りく」と区切って読まれるが、正しい区切りは「あいべつり-く」である。

14. 逢い戻りは鴨の味 ( あいもどりはかものあじ )

 一度仲たがいした男女の仲がもとに戻ると、前にもましてむつまじくなるという意味。

15. 会うは別れの始め ( あうはわかれのはじめ )

 始めがあれば終わりがあるのと同じように、会えば必ず別れがある。親子・兄弟・夫婦とてもいずれは死ぬ運命にあり、 結局は、出会いが別れの始まりになる。仏教でいう「会者定離」の意。

16. 阿吽の呼吸 ( あうんのこきゅう )

 「阿吽」は出す息と吸う息の意で、相撲の仕切りなど、二人以上が一緒に何かをする時、互いの気持ちがぴったり合うこと。
 【例】 「ダブルスの試合で勝利するには、二人の阿吽の呼吸が要求される」

17. 会えば五厘の損がいく ( あえばごりんのそんがいく )

 人と交際すれば、とかく何かと出費があって損をするとの意。

18. 仰いで天に愧じず ( あおいでてんにはじず )

 自分自身に少しもやましいところがなく、きわめて公明正大である。
 【類句】 俯仰天地に愧じず

19. 青い鳥 ( あおいとり )

 幸福はあこがれるような遠い所にあるのではなく、気付かない身近なところにある、という意味。 メーテルリンク作の童話劇に登場する、チルチル・ミチル兄妹が幸福の象徴である青い鳥を捜し回ったが、 結局わが家に飼っていた鳥が、求めていた青い鳥であることに気がついたという物語による。

20. 青柿が熟柿を弔う ( あおがきがじゅくしをとむらう )

 自分もやがて同じ悲しい運命に見舞われることに気付かずにいるたとえ。

21. 青菜に塩 ( あおなにしお )

 青菜に塩をふりかけると、しおれてしまうことから、すっかり元気をなくしてしおれている様子。
 【例】 「彼女は秘書検定に落ちて、青菜に塩の状態だった」

22. 青は藍より出でて藍よりも青し
  ( あおはあいよりいでてあいよりもあおし )

 青色の染料は藍という草の葉から取ったものであるが、もとの藍の葉よりも美しい色をしていることから、 教えを受けた弟子が先生よりも優れた人になるたとえ。

23. 青葉は目の薬 ( あおばはめのくすり )

 読書や仕事などで目が疲れたときには、みずみずしい青菜を眺めると目の疲れが癒される。

24. 赤い信女が子をはらみ ( あかいしんにょがこをはらみ )

 信女とは、墓の石塔に書いてある戒名。赤い信女とは未亡人のことで、子をはらまないのに子をはらむという意。

25. 赤いは酒の咎 ( あかいはさけのとが )

 顔が赤いのは酒のせいで、私が悪いのではありません。という酒の上での軽口。

26. あかぎれ大将にひび大将 ( あかぎれたいしょうにひびたいしょう )

 あかぎれやひびのできるのは無精者だからという意味。 水のついた手を乾いた布でよく拭いておけばできないのに、無精で拭かないからだ。

27. 垢で死んだ者はいない ( あかでしんだものはいない )

 風呂に入らないで垢がたまって、そのために死んだという者はいない。 風呂ぎらいな人の言いぐさであるが、風呂ぎらいな者に対する皮肉としても使われる。

28. 垢は擦るほど出るあらは探すほど出る
  ( あかはこするほどでるあらはさがすほどでる )

 垢はこすればこするほど、いくらでも出ることから、欠点を探し出せばきりがない、というたとえ。

29. 垢も身のうち ( あかもみのうち )

 垢もからだの一部分であるから、あまり洗わない方がよいの意。 風呂に入っていつまでも洗っている人をひやかす言葉。

30. 明るけりゃ月夜だと思う ( あかるけりゃつきよだとおもう )

 明るいことにもいろいろの原因があるのに、それを明るい夜はすべて月夜だと思うのは馬鹿の一つ覚えだ。 考えが浅く、世間を知らぬことのたとえ。

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