1. 布衣の交わり ( ふいのまじわり )
貴い人と賤(いや)しい人が上下の別を忘れて交際すること。名利や地位の関係などを離れた平民的な交わり。
「布衣」とは、身分の低い者の衣。布製の狩衣のこと。官服でない通常の服。ここから官位のない平民のこと。
2. 富貴天にあり ( ふうきてんにあり )
人間が金持ちになったり、地位が高くなったりするのは、自然天から定められてあるもので、人がみだりに望んでもどうすることもできないこと。
3. 富貴にして善をなし易く貧賤にして功をなし難し
( ふうきにしてぜんをなしやすくひんせんにしてこうをなしがたし )
富を得て生活が楽になると、必然よい行いをしたいと思ってもすぐできるが、
それが貧乏だとなかなか金銭に左右されて、物事をなしとげることがむずかしいということ。
4. 富貴も淫する能わず貧賤も移す能わず
( ふうきもいんするあたわずひんせんもうつすあたわず )
いかなる境遇においても堅い志を持っていることをいう。
5. 富人来年を思い貧人眼前を思う
( ふうじんらいねんをおもいひんじんがんぜんをおもう )
富んでいる者は余裕があるから来年のことを考え、貧しい者は日々の生活に追われて暇がなく、ただ目前のみのさしあたったことだけを思うという意味。
6. 風声鶴唳 ( ふうせいかくれい )
怖気がついて、ちょっとした物音にも驚き恐れること。
ひすいの戦いで、東晋の軍に負けた苻堅の兵が、風の音や鶴の鳴き声を聞いても、敵が来たのだと思って逃げ出した、という故事。
【類句】 水鳥の羽音に驚く
7. 風馬牛 ( ふうばぎゅう )
互いに無関係なこと。「風」はさかりがつく、という意。「風する馬牛も相及ばず」で、さかりがついた雌雄の牛馬は、
遠く離れていても誘い合うが、それも出来ないほど、土地が遠く離れていること。
8. 夫婦喧嘩と北風は夜凪がする
( ふうふげんかときたかぜはよるなぎがする )
夫婦喧嘩は日中のうちだけのもので、夕方になるとおさまる。
9. 夫婦喧嘩は犬も食わぬ ( ふうふげんかはいぬもくわぬ )
夫婦喧嘩は、内輪のつまらない争いで、すぐ仲直りするものだから、
他人がなまじ気を使って仲裁などをするほどのことはない。何でもよく食う犬でさえ、
見向きもしないのだから放っておくほうがよい、という意味。
10. 夫婦喧嘩は貧乏の種蒔き ( ふうふげんかはびんぼうのたねまき )
夫婦仲が悪いとその家はだんだん貧乏になるということ。
夫婦喧嘩は犬も食わぬというが、これは貧乏からくることが多い。
11. 夫婦は合わせ物離れ物 ( ふうふはあわせものはなれもの )
夫婦はもとは他人だったのものが一緒になったのだから、別れることもありがちであるということ。
【類句】 夫婦は他人の集まり
12. 夫婦は二世 ( ふうふはにせい )
夫婦のつながりはこの世だけでなく、死後の来世まで続く、という仏教の説。
【参考】 「親子は一世、夫婦は二世、主従は三世」という。
13. 笛吹けども踊らず ( ふえふけどもおどらず )
人に何かをさせようといくら仕向けても、少しも応じない様子。
【参考】 新約聖書マタイ伝十一章にある言葉
【例】 「笛吹けども踊らずで、政府が年金納付を呼びかけても効き目がない」
14. 付会 ( ふかい )
こじつけること。無理に理屈をつける。ばらばらのものを無理にくっつけて一つにする、という意味。
【参考】 「附会」「傅会」とも書く。
【例】 牽強付会の説をなす。
15. 不可能という言葉は我が辞書にはあらず
( ふかのうということばはわがじしょにはあらず )
どんな事でも、出来ないということはない。どんな事でも必ず出来る。
【参考】 ナポレオンが言った言葉として有名。
16. 不刊の書 ( ふかんのしょ )
「刊」は削るで、「不刊」は滅びないの意で、後世まで長く伝わる書物のことをいう。
17. 不義は御家の法度 ( ふぎはおいえのはっと )
男女の密通は厳禁であること。昔、封建時代、武家の使用人同士が密会することで、これが露見すれば手打ちになった。
18. 俯仰天地に愧じず ( ふぎょうてんちにはじず )
自分に少しもやましいところがない。公明正大なこと。
上を向いて天の神に対し、下を向いて地上の人々に対し、少しも恥じるところがない。
【類句】 仰いで天に愧じず
19. 吹く風枝を鳴らさず ( ふくかぜえだをならさず )
吹く風も静かで木の枝も動かない、ということから、世の中がよく治まっていて太平無事なことをいう。
20. 腹心 ( ふくしん )
深く信頼できる人。腹となり胸(こころ)となる者の意。
【例】 「万事腹心の部下に相談して決定する」
21. 腹心を布く ( ふくしんをしく )
心の奥底をかくさず打ち明ける。思うことをすっかりのべること。
22. 覆水盆に返らず ( ふくすいぼんにかえらず )
離婚した夫婦の仲は、再び元通りにならないこと。一度失敗したことは取り返しがつかないたとえ。
太公望が、若いころ貧乏なのに読書ばかりしていたので、妻が離縁して去った。後に出世して諸侯となった時、
去った妻が再婚を願ったが、太公望は盆に水をこぼし、その水をもとに返すことができたら願いを聞いてやろう、
といったという故事。
【参考】 It is no use (or good) crying over spilt milk.
【類句】 落下枝に上り難し破鏡再び照らさず
23. 覆轍 ( ふくてつ )
車がひっくりかえる。また、ひっくりかえった前の車の轍(わだち)のあと。前の人が失敗したあとの意。
【参考】 前車の覆るは後車の戒め
24. 復辟 ( ふくへき )
退位した君主が再び位につくこと。「辟」は君の意味。
25. 河豚食う馬鹿食わぬ馬鹿 ( ふぐくうばかくわぬばか )
ふぐはうまい魚だが猛毒がある。しかしいちがいに恐れて、こんなにうまいもののあることを知らないで過ごすのだからやはり馬鹿である。
26. 不倶戴天 ( ふぐたいてん )
どうしても生かしておけない深い恨みを持っていること。いっしょにこの天の下に生きていることはできないという意味。
本来は、父が殺された時は、その子は必ず、そのかたきを討つべきであることを言ったものであるが、後には父に限らず、主君のかたきにもいう。
【参考】 「倶(とも)に天(てん)を戴(いただ)かず」の音読。
27. 河豚にもあたれば鯛にもあたる ( ふぐにもあたればたいにもあたる )
どこでわざわいが起こるかわからないということ。運が悪いときは何を食べても害になることがある。
28. 河豚は喰いたし命は惜しい ( ふぐはくいたしいのちはおしい )
河豚料理は、おいしいから食べたいが、中毒の危険があるから食べるのをためらう、ということから、
快楽は得たいけれど、あとのたたりがこわくてためらう、という意味。
【類句】 蜜は甘いが蜂が刺す
29. 不言実行 ( ふげんじっこう )
口でいうことよりも実行が大切である。
30. 不幸中の幸い ( ふこうちゅうのさいわい )
不幸な出来事の中でも、いくぶん慰めになるようなこと。
【例】 「泥棒に入られたが、何も盗られなかったのは、不幸中の幸いでした」
31. 巫山の夢 ( ふざんのゆめ )
男女の情交。昔、楚の懐王が高唐に遊んだ時、昼寝の夢に、巫山の神女に会って契りを結び、
その神女が去る時に、自分は巫山の峰に住み、朝には雲となり、暮れには雨となると言った、という故事による。
32. 武士に二言はない ( ぶしににごんはない )
武士は、いったん言ったことは必ず守り通して、背くことはない。
武士は真義を重んじる、ということを、武士の立場から言った言葉。
33. 武士は相身互い ( ぶしはあいみたがい )
武士同士という同じ立場で、お互いに思いやり合い助け合わなければならない。
また、その好意・援助は受けるべきものだ、という意味。