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「せ」からはじまる ことわざ 4

91. 狭き門より入れ ( せまきもんよりいれ )

 事をなすのに楽な方法をとるよりは、かえってはいりにくい苦しい方法をとるほうが、自分を鍛え上げるのにはよい。
 【参考】 新約聖書にある言葉。「狭き門」は近ごろ大学入試の難関にたとえていう。

92. 瀬を踏んで淵を知る ( せをふんでふちをしる )

 まず浅いところを渡ってみて、深い場所を知るということから、まずやさしいことを試してみてから、危険な場所を知る。

93. 善悪は地獄極楽 ( ぜんあくはじごくごくらく )

 善悪は来世のものというが、この世にもあって、人の心の善悪がこの世の地獄・極楽をつくるものだ。

94. 善悪は水波の如し ( ぜんあくはすいはのごとし )

 善と悪とは、まったく別物のように思われているが、実は水と波のように、その差はわずかなものである。
 【参考】 「善の裏は悪」ともいう。

95. 先覚者 ( せんかくしゃ )

 学問や見識にすぐれた人。 世間の人に先んじて、物事の道理や移り変わって行く先を覚(さと)る人。

96. 千金の子は市に死せず ( せんきんのしはいちにしせず )

 金持ちの者は、自分の身を大切にするから、町なかで人と争って死ぬような軽はずみなことはしない。 転じて、大望のある者は、つまらぬ者の手にかかって死ぬようなことをしない。
 【参考】 蘇軾の文「留侯論」に「千金の子は盗賊に死せず。何となれば、 其の身の愛す可くして、盗賊の以て死するに足らざればなり」とある。」
 【類句】 金持ち喧嘩せず

97. 千金の子は堂に垂せず ( せんきんのしはどうにすいせず )

 金持ちの者は、自分の身を大切にするから、ころげ落ちる危険を避けて建物の端にはいない。「垂」は「陲」で、端の意味。

98. 千金は死せず百金は刑せられず
  ( せんきんはしせずひゃくきんはけいせられず )

 裁判官に、そでの下を千金おくれば死刑を免れるし、百金おくれば刑罰を許されるということで、 金の力の大きなことと、官吏の私欲の深いことをいう。

99. 千鈞も船を得れば則ち浮かぶ
  ( せんきんもふねをうればすなわちうかぶ )

 重い物でも船に乗せれば浮かぶし、軽いものでも船がないと沈む。 賢者も地位があってこそ、その手腕を発揮することができるの意。

100. 千金を買う市あれど一文字を買う店なし
   ( せんきんをかういちあれどいちもんじをかうみせなし )

 市にはなんでも売っていて、千金の買い物もできるが、文字を売っている店はない。 だから文字は、自分で学ぶよりほかない。

101. 千石取れば万石羨む ( せんごくとればまんごくうらやむ )

 千石取りになれば、万石取りになりたいというように、人の欲望には限りがないたとえ。

102. 千石万石も米五合 ( せんごくまんごくもこめごごう )

 千石万石の知行とりでも、食べる米は一日五合で、普通の人と変わりはない。 欲張っていくら金をためてみても、死んでしまえば、行く先は同じだ。

103. 千載一遇 ( せんざいいちぐう )

 めったにないよい機会。千年目に一度出会う機会という意味。

104. 前車の覆るは後車の戒め
   ( ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ )

 前人の失敗は後人の戒めとなる。 前に行く車がひっくり返るのを見たら、後から行く車は注意せよ、という意味。

105. 前車の轍を踏む ( ぜんしゃのてつをふむ )

 「轍」は車の通ったあとに残る車輪の跡のことで、前の人がしたのと同じ失敗を、後の人が繰り返すことのたとえ。 前に行く車がひっくり返った通りに行って、同じようにひっくり返る意。
 【参考】 「前轍を踏む」ともいう。

106. 善者は弁ならず弁者は善ならず
   ( ぜんしゃはべんならずべんしゃはぜんならず )

 善人は黙々として実行し、口に出して言わない。 よくしゃべる者は善人ではない。

107. 千秋楽 ( せんしゅうらく )

 相撲や演劇などの興行の最後の日。 昔、寺院の法会(ほうえ)の時に演奏する雅楽の名で、最後に奏する習慣があったところから。

108. 千丈の堤も蟻の一穴から
   ( せんじょうのつつみもありのいっけつから )

 一丈は十尺、一尺は三十センチ。ほんのちょっとしたことがもとで、とんでもない大事が起こる、という意味。
 【参考】 「千丈の堤もろう蟻の穴を以て潰ゆ」ともいう。
 【類句】 蟻の穴から堤も崩れる

109. 善書は紙筆を選ばず ( ぜんしょはしひつをえらばず )

 字の上手な人は、紙や筆などの良い悪いは問題にしないで書く。
 【類句】 弘法筆を選ばず / 能書筆を選ばず

110. 前事の忘れざるは後事の師なり
   ( ぜんじのわすれざるはこうじのしなり )

 前に行なったことを忘れなければ、後で事をおこすのによい参考になる。

111. 先生と言われる程の馬鹿でなし
   ( せんせいといわれるほどのばかでなし )

 先生と言われていい気になるほどの馬鹿ではない。 先生という言葉は気軽に使う言葉で、言うほうにはそれほど敬う気がないのだから、 それを真に受けて大きな顔をするのは愚かである、という意味。

112. 戦戦兢兢 ( せんせんきょうきょう )

 恐れてびくびくするさま。恐れ慎むさま。

113. 前世の約束事 ( ぜんせのやくそくごと )

 先の世での善因・悪因によって、現世における運命がきまっているのだという考え方。

114. 栴檀は双葉より芳し ( せんだんはふたばよりかんばし )

 栴檀という香木は芽ばえた時から既によい香気を発することから、 将来大成する人物は、子供の時から優れたところがある、というたとえ。
 【参考】 双葉は「二葉」とも書く。

115. 先手は万手 ( せんてはまんて )

 機先を制することが、どんな手よりも効果があるということ。出鼻をくじけば天狗も降参する。

116. 船頭多くして船山に上る ( せんどうおおくしてふねやまにのぼる )

 物事を進めるにあたって、指図をする人が多いために統一がとれず、全く見当違いのほうに物事が進んでしまうこと。
 【参考】 「船頭」は船のかしら・船長のこと。
 【参考】 Too many cooks spoil the broth.

117. 船頭のそら急ぎ ( せんどうのそらいそぎ )

 船頭が急ぐふりをして客をせかせながら、その実なかなか船を出さないこと。 総じて、急ぐそぶりをすることにたとえる。

118. 千日の萱を一日 ( せんにちのかやをいちにち )

 千日もかかって刈ったかやを、たった一日で燃してしまう。 長い間苦労したものを、一度にだめにしてしまうたとえ。

119. 先入主となる ( せんにゅうしゅとなる )

 最初に頭に入ったことが自分の考えを支配し、他の違った考えが受け入れられず、自由な思考が妨げられること。 固定観念が作られてしまうとなかなか破りにくい意。

120. 千人の指さす所病なくして死す
   ( せんにんのゆびさすところやまいなくしてしす )

 千人もの大勢の人に後ろ指をさされれば、たとえ病気がなくとも死ぬ。
 【類句】 衆口金を鑠す

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