61. せっかちのしくじり ( せっかちのしくじり )
あわて者はしくじることが多い。
62. 折檻 ( せっかん )
もとは、君主を強く諫(いさ)める意。わが国では転じて、広く、きびしく意見して戒める意。また、体をたたいたりなどしてこらしめることにもいう。
漢の朱雲が悪臣の張禹(ちょうう)を殺させてほしいと成帝に願い出た時、帝は大いに怒って朱雲を死罪にしようとした。
御史(ぎょし)が朱雲を殿上から引きおろそうとしたが、朱雲が檻(てすり)にしがみついて動かないので檻が折れたという故事による。
63. 節季女に盆坊主 ( せっきおんなにぼんぼうず )
節季は、ここでは歳末のこと。
歳末の女と、盆の坊主は時の花形で忙しいことから、非常に多忙なことのたとえ。
64. 節季の風邪は買ってもひけ ( せっきのかぜはかってもひけ )
忙しいときには、なかなか休養できないが、病気なら休める。
65. 節句倒しは薬礼になる ( せっくだおしはやくれいになる )
節句の日にはだれでも仕事を休むのに、自分だけことさら働いてみても、結局は医者の薬代になるのがおちである。
「節句倒し」は、節句働きのことで、村全体の行事であるから、その日に自分だけ働くのは罪悪と考えられた。
66. 席巻 ( せっけん )
かたはしから他国の領土を攻め取ること。「席」は「蓆」と同じく、むしろ。
むしろやござを巻くようにかたはしから土地を攻略する、という意味。
【参考】 「席捲」とも書く。
67. 舌耕 ( ぜっこう )
講義や演説などによって生活をすること。
農夫が田畑を耕して食糧を得て生活するのと同じく、弁舌でもって生活のもとを得ることを、耕すといった語。
【参考】 「筆耕」は、報酬をとって字を筆写すること。また、それによって生活することをいう。
68. 切磋琢磨 ( せっさたくま )
学問や道徳に努め励むこと。また、友人同士が互いに励まし合って向上をはかることをいう。
玉や石や象牙の類を、切ったり、磋(と)いだり、琢(う)ったり、磨(みが)いたりして、立派に完成することにたとえる。
69. 切歯扼腕 ( せっしやくわん )
歯ぎしりをし、自分の腕を強く握りしめることから、非常にくやしがったり、怒ったりするようす。
70. 折衝 ( せっしょう )
相手との談判・かけひき。
【参考】 樽俎折衝
71. 節制は最良の薬なり ( せっせいはさいりょうのくすりなり )
72. 雪中の松柏 ( せっちゅうのしょうはく )
節操が極めて堅いこと。
松や柏(このてがしわ)は常緑樹で、寒い雪の中でも葉の色を変えない木であるから、困難の中にあっても節操を変えない人にたとえる。
【参考】 「歳寒の松柏」ともいう。
73. 雪隠で饅頭 ( せっちんでまんじゅう )
きたない場所でおいしいものを食べても不快である。
手段方法を問わずに自分だけ利益を占めようとする意。
74. 雪隠と持仏 ( せっちんとじぶつ )
どうしてもなくてはならないもののたとえ。
「持仏」は、いつも自分のまわりにおいて信仰する仏。「雪隠」は便所のこと。
75. 雪隠虫も所贔屓 ( せっちんむしもところびいき )
雪隠虫はウジ虫のことで、どんな場所でも住んでいるところを贔屓にするものだ、という意味。
76. Z旗を掲げる ( ぜっときをかかげる )
「Z旗」は、日露戦争で、日本海海戦の際、戦艦三笠(みかさ)に掲げられた「皇国の興廃この一戦にあり各員一層奮励努力せよ」の信号旗のことで、
非常事態に当たって、みんなで一層奮励努力をしようと士気を高めること。
77. 窃ぶの疑い ( せっぶのうたがい )
自分の心の迷いから、疑うまじき人を疑うこと。「ぶ」は、おの。
ある人がおのをなくして、隣の子が犯人ではないかと疑ったが、疑えば疑うほど顔つきもことばも、すべてあやしかった。
しかし、そのおのが谷から出て来たので疑いが晴れた。すると隣の子のどこにもあやしい点はなかった、という故事による。
78. 雪上霜を加う ( せつじょうしもをくわう )
物の多くあるうえに、さらにまた変わりばえのしないものを加えることのたとえ。
79. 節は時を嫌わず ( せつはときをきらわず )
時節が来たら、日のよしあしは問題でない。すぐに着手する。思い立ったが吉日である。
80. 節を折る ( せつをおる )
やむを得ない事情で、自分の主義・主張を貫くことをあきらめ、他人に従う。
【参考】 「節を屈する」「変節」ともいう。
81. 背中に眼はない ( せなかにめはない )
後のほうは見えない。かげでこっそりやる悪事には気がつかないたとえ。
82. 背の子を三年探す ( せなのこをさんねんさがす )
すぐそばにあるものを、あちこちと探し回ることのたとえ。
83. 銭ある時は鬼をも使う ( ぜにあるときはおにをもつかう )
銭さえあれば、どんな者をも使うことができる。
学歴はなくとも金があれば、大学出をあごで使える。
84. 銭ある者は生き銭なき者は死す
( ぜにあるものはいきぜになきものはしす )
銭があれば死ぬ病人も助かり、銭がなければ生きる命も助からない。
人間万事金の世の中、医者も裁判も金の力に弱い。
85. 銭あれば木仏も面をかえす ( ぜにあればきぶつもつらをかえす )
どんな冷淡な者でも、金のあるほうには顔を向ける。金の力になびかない者はない。
「木仏」は、木でつくった仏像。転じて感情の冷ややかな人。
86. 銭なき男は帆のなき舟の如し
( ぜになきおとこはほのなきふねのごとし )
銭のない男は、帆のない舟のように動きがとれない。
銭がなければ、男は活動できない。
87. 銭なしの市立ち ( ぜになしのいちだち )
銭がなくて市に行っても、何も買えない。あてもなく奔走すること。
88. 背に腹は代えられぬ ( せにはらはかえられぬ )
背中のことのために腹を代用することはできない。
目前の重大なことのためには他を犠牲にすることもやむを得ない、という意味。
【参考】 「背」は他者を、「腹」は自分を意味する。
89. 銭は銭だけ ( ぜにはぜにだけ )
銭を出せば、それだけの値打ちのものが手にはいる。
90. 是非は道によって賢し ( ぜひはみちによってかしこし )
物事のよしあしの判断は、そのことの専門の者がよくできる。