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「せ」からはじまる ことわざ 5

121. 善に従うこと流るるが如し ( ぜんにしたがうことながるるがごとし )

 善とわかれば、これに従うことが、ちょうど水の流れるようで、少しもさからうことなく、速やかなことにいう。

122. 善に強い者は悪にも強い ( ぜんにつよいものはあくにもつよい )

 善に熱中する人は、いったん悪に向かえば、悪にも強い。極端に走る性格をいう。

123. 善人と居れば芝蘭の室に入るが如し
   ( ぜんにんといればしらんのしつにいるがごとし )

 善人といっしょにいれば、自然に感化されて、自分も善人になることをいう。
 「芝」は瑞草、「蘭」は香草のことで、霊芝と蘭(ふじばかま)。かおりのよい草。すぐれたものにたとえる。

124. 善人なおもて往生を遂ぐ況んや悪人をや
   ( ぜんにんなおもておうじょうをとぐいわんやあくにんをや )

 善人でさえ極楽浄土に往生するのだから、悪人こそ救われるのが建前であり、 他力を頼りとする悪人こそ往生できるのが当然である。
 【参考】 有名な親鸞の言葉。

125. 善の裏は悪 ( ぜんのうらはあく )

 よいことがあると、きっと悪いことが相伴って巡ってくる。
 【参考】 「吉のあとは凶」ともいう。

126. 善は急げ ( ぜんはいそげ )

 良いと思ったことは、機会をのがさずすぐ実行する方がいいということ。
 【例】 「いいアイデアが浮かんだので、善は急げで早速作業に取りかかった。」
 【参考】 Make hay while the sun shines.

127. 先鞭を着ける ( せんべんをつける )

 「先鞭」は、ほかの人よりも先に馬に鞭打って、さきがけの功名を立てる意で、人に先んじて手をつけること。

128. 千篇一律 ( せんぺんいちりつ )

 どれもこれも変わりばえがなく、面白味がないこと。 多くの詩篇がみな同じ調子で作られていること。

129. 千万人と雖も我往かん ( せんまんにんといえどもわれゆかん )

 自分自身を反省してやましいことがなければ、たとえ敵が千万人いたとしても、わたしは自分の意見を主張し向かって行こう。

130. 千三つ ( せんみつ )

 取引がまとまるのは千件に三件ぐらいというところから、土地建物の売買や周旋を商売とする人をいう。千三つ屋。 また、千のうち真実は、三つしかないということから、うそつき・ほらふきのことをいう。

131. 前門の虎後門の狼 ( ぜんもんのとらこうもんのおおかみ )

 一つの災いを逃れたかと思うと、さらにまたほかの災いに遭う。 前からも後ろからも危難が襲ってくるたとえ。表門で虎を防いだと思うと、裏門に狼が出てくること。

132. 先憂後楽 ( せんゆうこうらく )

 天下を憂える人は、心配事は世の人がまだ気づかない先から、その問題を心にとめていろいろと処置をし、楽しみは、 世の人の楽しむのを見届けた後に楽しむ。政治家の心がけを表わした宋の名臣范仲淹(はんちゅうえん)の有名な言葉。
 【参考】 東京と岡山の後楽園はこの精神によって名付けたもの。

133. 千羊の皮は一狐の腋に如かず
   ( せんようのかわはいっこのえきにしかず )

 千匹の羊からとった千枚の毛皮も、一匹の狐のわきの下の白い毛皮に及ばない、ということから、 多数の凡人は一人の賢人に及ばない、という意味。

134. 千里眼 ( せんりがん )

 遠い所のできごとや人の心などを、直覚的に感知することができる能力。千里の先までも見抜く能力。 後魏(こうぎ)の楊逸(よういつ)は、民衆のための政治を心がけ、 耳目の役目をする者を広く配置して遠方の情報をよく知ったので、人が千里眼を持っていると言った。

135. 千里行を留めず ( せんりこうをとどめず )

 千里もの長い道を行くあいだに、誰一人としてこれをさえぎるものがない。 天下に敵するものがないことにいう。

136. 千里同風 ( せんりどうふう )

 天下が統一されて平和な状態をいう。遠い千里の先までも同じ風が吹いている意。
 【類句】 万里同風

137. 千里の馬は常にあれども伯楽は常にはあらず
   ( せんりのうまはつねにあれどもはくらくはつねにはあらず )

 一日に千里も走るような名馬は、いつの時代にもいるが、その名馬を見分けるばくろうは、いつもいるとは限らない。 世間に人材はいつの時代にもいるが、これを用いてその才能を十分に発揮させる宰相はめったにいない。
 【参考】 「伯楽」は、馬の鑑定をする人、馬の売買をする商人、ばくろう。

138. 千里の行も足下に始まる ( せんりのこうもそっかにはじまる )

 千里も遠いところに旅行する場合にも、その第一歩は足下から始まる、ということから、 どんな大きな仕事も手近なところから始まる、という意味。

139. 千里の道も一歩から ( せんりのみちもいっぽから )

 千里もの遠い旅路も、足もとの第一歩から始まる。 遠大な事業も手近なところから始まる、という意味。
 【参考】 千里の行も足下より始まる

140. 千里も一里 ( せんりもいちり )

 恋しい人のところに会いに行く時は、どんな遠い所も短く感じられて苦にならない。 「惚れて通えば千里も一里、会わず帰ればまた千里」という俗謡による。

141. 千慮の一失 ( せんりょのいっしつ )

 賢い人でも多くの考えの中には失策もあるということから、十分に注意していたにもかかわらず、思いがけない失敗をする様子。
 【例】 「慎重に事を運んだのに、それに気付かなかったのは千慮の一失だった」
 【類句】 弘法も筆の誤り / 猿も木から落ちる / 上手の手から水が漏れる

142. 千慮の一得 ( せんりょのいっとく )

 愚かな人でも多くの考えの中には一つや二つのよい考えがある。

143. 善を責むるは朋友の道なり ( ぜんをせむるはほうゆうのみちなり )

 互いに善を行なうようにと強く相手に要求するのは、友人の間の正しい在り方である。

144. 善を善として悪を悪とす ( ぜんをぜんとしてあくをあくとす )

 善と善とをはっきり区別すること。また善悪をありのままに書くこと。

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