241. 升を以て石を量る ( しょうをもってこくをはかる )
一升ますで、一石の物をはかるように、小さな基準をもって、大きなものをはかると誤差ができる。
同様に、小人の狭い心で、君子の心を推しはかっても、正しくははかれないというたとえ。
242. 杵臼の交わり ( しょきゅうのまじわり )
やとい人同士の交わり。上下の隔てなく交際すること。
243. 諸行無常 ( しょぎょうむじょう )
この世のすべてのものは絶えず移り変わり消滅するもので、一刻の間も同じ状態を保つことがない。
仏教の根本的な考え方の一つで、人生のはかなさをいう言葉。
【参考】 『平家物語』の冒頭に「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・」とある。
244. 食言 ( しょくげん )
うそをつく。前に言ったことと違ったことを言うこと。
一度口から出した言葉をまた口に入れる、という意味。
245. 食指動く ( しょくしうごく )
食べたいと思う気が起こる。また、ある事を求めようとする心が起こること。「食指」は人差し指。
昔、鄭(てい)の公子宋(こうしそう)が、自分の食指が何となく動くのを見て、おいしい御馳走(ごちそう)にありつける前兆だと言った故事。
「食指を動かす」と用いて、物をほしがる意に使われる。
246. 燭を秉って夜遊ぶ ( しょくをとってよるあそぶ )
昼間だけでは物足りず、夜間も燭火(しょっか)をつけて遊ぶ。
時の過ぎゆくのを惜しんで、夜も遊ぶこと。
247. 食を願わば器 ( しょくをねがわばうつわ )
食を乞おうとするには、まずそれを入れる器物を用意する必要がある。
物が欲しかったら、まずそれを得る準備をせねばならない。
248. 初心忘る可からず ( しょしんわするべからず )
何事によらず習い初めのときの、謙虚で真剣な気持ちを失ってはならないということ。
世阿弥(せあみ)が能楽の修業について言ったことばに基づく。
249. 蜀犬日に吠ゆ ( しょっけんひにほゆ )
見識の狭い人が賢人のすぐれた言行を怪しみ疑って非難するたとえ。
蜀(しょく)は山地で雨が多いので日を見ることが少なく、たまに太陽を見ると犬が怪しんで吠えたという。
250. 書を校するは塵を掃うが如し
( しょをこうするはちりをはらうがごとし )
書物を校正することは、いくら塵を払っても払い尽くせないように、完全無欠に誤脱をなくすことはむずかしいということ。
251. 上医は国を医す ( じょういはくにをいす )
すぐれた医者は、戦乱や悪い風俗などをなおすのが第一のつとめで、個人の病気をなおすのはその次である。
これより医者を国手という。
252. 城下の盟 ( じょうかのちかい )
戦争に負けて降伏すること。
敵に首都まで攻め込まれて結ぶ降伏のちかい。もっとも屈辱的な講和条約。
253. 城狐社鼠 ( じょうこしゃそ )
その身を安全な主君のそばにおいて悪事をする者。君主のそばにいる奸臣(かんしん)のたとえ。
城にすむ狐と土地の神を祭った社(やしろ)に巣くう鼠は、城や社をこわさなければそれらを取り除くことが出来ないので、
手をつけることが出来ない。
【参考】 「狐鼠」ともいう。『説苑(ぜいえん)』善説篇(ぜんぜいへん)には、「稷狐社鼠(しょくこしゃそ)」とある。
【類句】 獅子身中の虫
254. 上戸は毒を知らず下戸は薬を知らず
( じょうこはごくをしらずげこはくすりをしらず )
酒の好きな人は、その酒が毒になることを知らず飲み過ぎ、
酒の嫌いな人は、その酒が薬になることを知らずに飲まない。
255. 常山の蛇勢 ( じょうざんのじゃせい )
昔、中国の常山という山に卒然という蛇がいて、その頭を打てば尾が力を合わせてこれを防ぎ、
尾を打てば頭が加勢にき、胴を打てば頭と尾が一緒になってこれを防いだということから、
首尾相応じて攻防し、敵の乗ずるすきがないようにする陣法。
また文章が首尾照応して、各部分の関係が緊密で一貫しているものにもたとえる。
256. 上梓 ( じょうし )
書物を出版すること。「梓」はあずさ(正しくは、とうきささげ)、版木や棺を作るのに用いる良材。
昔の書物は版木に彫って刷ったものだからいう。
257. 盛者必衰 ( じょうしゃひっすい )
今現在勢い盛んに栄えている者も、いつかは必ず衰える。この世は無常であることをいう言葉。
【参考】 「せいじゃひっすい」とも読む。「しょうじゃひっすい」古文の読みくせ。
258. 上手の手から水が漏れる ( じょうずのてからみずがもれる )
どんなに上手な人でも、時には失敗することがある。
普段は全く危なげなく何かをしている人が、たまたま失敗したときに言う言葉。
【例】 「毎月恒例の行事で、上手の手から水が漏れて、大損害を出してしまった」
259. 冗談から泣きが出る ( じょうだんからなきがでる )
冗談が本当になって、ついには大変なことがおこる。
260. 上知と下愚とは移らず ( じょうちとかぐとはうつらず )
この上ない天才と、この上ない馬鹿者とは、どのような教育をしても変わらない、という意味。
261. 情張りは棒の下 ( じょうはりはぼうのした )
いつも強情を張っている者は、ついには人に打たれるようになる。
262. 女子と小人とは養い難し ( じょしとしょうじんはやしないがたし )
家に使役している女子と小人は、物事の節度を知らず道理を理解することができないで、馴れやすく恨みやすくて扱いにくい。
【参考】 「小人」には [一]徳の無い人。人格の劣った人。 [二]地位のない人。下賤の人。 [三]男の使用人。
の三意があり、ここは、[三]の意味。また、「女子」も家庭内で使役している女子をいう。
263. 助長 ( じょちょう )
ある傾向や性質などを発達させること。
急に生長させようとして、無理に力を添えて、かえって害になる。
助力してかえって逆効果になる意。
264. 白河夜船 ( しらかわよふね )
ぐっすり眠りこんでいて、何があったかを全く知らないこと。
京都の白河のことを聞かれて、川の名だと思い、夜船で通ったから何も見えなかったと言ったために、
京見物に行ったといううそがばれてしまったことから生まれたことば。
【参考】 白河は京都の北にある地名。
265. 知らざるを知らずとなせ これ知るなり
( しらざるをしらずとなせ これしるなり )
知らないことは知らないとせよ。
知っていることと知らないこととを区別する、それがほんとうに物事を知っていることである。
知らないことを知っているように繕っていては、知識も学問も進まない。
266. 知らずは人真似 ( しらずはひとまね )
自分の知らないことをやるときは、人のする事をまねるのが無難である。
267. 知らぬ顔の半兵衛 ( しらぬかおのはんべえ )
「半兵衛」は擬人化した言い方で、知っていながら、わざと全く知らないふりをしている様子。
また、そのような様子をしている人。
268. 知らぬが仏 ( しらぬがほとけ )
知ればこそ腹も立つが、知らなければ心が仏のように穏やかでわだかまりもない。
当人だけが事件や真相を知らずにのんきに構えているのをあざけっていう場合にも使う。
【例】 「だまされたとも気付かず、知らぬが仏で喜んでいる」
269. 知らぬは亭主ばかりなり ( しらぬはていしゅばかりなり )
女房の情事を知らないでいるのは、町内でその当の亭主だけである。
浮気されている(肝心なことを知らないでいる)夫の間抜けさをあざけっていう語。
【参考】 「町内で知らぬは亭主ばかりなり」という川柳の一部。
『柳多留(やなぎたる)』七篇には「店中で知らぬは亭主一人なり」とある。
270. 知らぬ仏より馴染みの鬼 ( しらぬほとけよりなじみのおに )
たとえ悪人でも懇意な人のほうが、近づきのない善人よりよい。