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「し」からはじまる ことわざ 6

151. 弱冠 ( じゃっかん )

 男子の二十歳。転じて、広く年が若いことをいう。 昔、男は二十歳を「弱」といい、元服して冠をかぶったのでいう。
 【参考】 注意として、「若冠」と書くのは誤り。

152. 蛇の道は蛇 ( じゃのみちはへび )

 大蛇の通る道は、蛇ならばおのずからわかるはずだ。 同じ仲間のことはその道の者にはすぐわかる。同類のものは互いにその事情に通じている、という意味。
 【参考】 「蛇の道はくちなわが知る」ともいう。

153. 蛇は寸にして人を呑む ( じゃはすんにしてひとをのむ )

 大蛇は一寸くらいの小さいころから、自分よりはるかに大きな人間を呑むほどの勢いがある。 偉人や英雄は幼少の頃から常人と違った気概があるというたとえ。
 【参考】 牛を食らうの気

154. 醜夷に在りて争わず ( しゅういにありてあらそわず )

 自分と同じ水準の中にあっては争わない。大勢に順応して逆らわない。 「醜」は、「衆」と同じ、「夷」は、「平」。多くの仲間。自分と同じ水準の者。

155. 衆寡敵せず ( しゅうかてきせず )

 人数の差がありすぎて勝ち目がないこと。 多人数には少人数はかなわない意。多勢(たぜい)に無勢(ぶぜい)。

156. 習慣は自然の如し ( しゅうかんはしぜんのごとし )

 習慣は、いつの間にか身にうつり染まって、ついにその天性のようになる。

157. 習慣は第二の天性なり ( しゅうかんはだいにのてんせいなり )

 習慣が人の性行に影響することはきわめて大きい。
 【参考】 Custom is a second nature. の訳語。

158. 衆曲は直を容れず ( しゅうきょくはちょくをいれず )

 多数の悪人の中では、少数の正しい意見は取り入れられない。 多数の悪に、少量の善はのまれてしまう。

159. 衆口金を鑠す ( しゅうこうきんをとかす )

 讒言(ざんげん)の恐ろしいたとえ。 多くの人が一致して言う言葉は、金属をもとかすほどの力があるという意味。

160. 衆口は禍福の門 ( しゅうこうはかふくのもん )

 民衆の言った言葉のために、わざわいを招いたり、幸福を得たりすることが多いから、常に世論の動向に注意せねばならない。

161. 秋毫 ( しゅうごう )

 ごくわずか。いささか。「毫」は、にこ毛。 秋になって抜けかわったばかりのやわらかい先の細い獣の毛の意。
 【参考】 『孟子』梁恵王上に「明は以て秋毫の末を察するに足れども、輿薪(車に積んだ薪)を見ず」とある。

162. 宗旨の争い釈迦の恥 ( しゅうしのあらそいしゃかのはじ )

 宗旨争いをあざけった言葉で、各宗派が自分のほうが正しいといって、 他の宗派をけなすのは、本元の恥をさらすようなものだ、という意味。

163. 袖手傍観 ( しゅうしゅぼうかん )

 ある状態を目前にして、何の手出しもしないで、ただ成り行きにまかせて見守っていること。

164. 終身斉家治国平天下 ( しゅうしんせいかちこくへいてんか )

 天下を治めるには、まず自分の身を修め、次に家庭を平和にし、 次に国を治め、最後に天下を平定統治するという順序に従わなければならない。儒教の根本理論。

165. 終身道を譲るも百歩を枉げず
   ( しゅうしんみちをゆずるもひゃっぽをまげず )

 仮に一生涯、人に道を譲ったとしても合計して百歩にもならない。 譲歩しても大した損はないのだから、人には譲るものだという教え。

166. 秋霜烈日 ( しゅうそうれつじつ )

 刑罰や権威などが、非常にきびしいたとえ。 秋の冷たい霜(しも)と、夏の烈(はげ)しい日光の意味。

167. 舟中も敵国 ( しゅうちゅうもてきこく )

 同じ舟に乗り合わせた者は、利害が共通であるが、心変わりすれば敵となる。 味方たる者も、心をひるがえせば、たちまち敵となるというたとえ。

168. 姑なければ村姑 ( しゅうとめなければむらじゅうと )

 嫁入り先に姑がいなくても、気楽かと思えば、村の者が陰口をきいたり世話をやいたりして、やっぱりうるさいもの。

169. 姑の仇を嫁が討つ ( しゅうとめのあだをよめがうつ )

 姑にいじめられたかたきを、自分の息子の嫁ではらす。 だから嫁いじめは順繰りに続くものだ。

170. 姑の十七見た者がない ( しゅうとめのじゅうしちみたものがない )

 姑は嫁を意見するのに、とかく自分の若い頃のときを持ち出すが、 誰も姑の若い頃を見た者がなく、事実かどうか疑わしいものだ。

171. 秋波 ( しゅうは )

 こびを送る目つき。色目。 美人の目の澄んでいることは秋の水波のようであるということによる。

172. 驟は日を終えず ( しゅうはひをおえず )

 にわか雨は、一日中降ることはない。 どんな暴威もそう長くは続かないことのたとえ。

173. 愁眉を開く ( しゅうびをひらく )

 「愁眉」は心配そうな顔つきの意で、状況が好転し、明るい気分になる。
 【類句】 眉を開く

174. 珠玉の瓦礫に在るが如し ( しゅぎょくのがれきにあるがごとし )

 立派な宝石が、かわらや小石にまじっているように、英才が凡人の群れにまじっているのにたとえる。

175. 菽水の歓び ( しゅくすいのよろこび )

 貧しい中にも、よく父母に孝行をするよろこび。菽水は、豆と水。 豆を食い水を飲み、最低の生活をすること。

176. 菽麦を弁ぜず ( しゅくばくをべんぜず )

 愚か者。大ばか者。「菽」は豆。 豆と麦との違いも見分けられない愚か者という意味。

177. 祝融の災い ( しゅくゆうのわざわい )

 火事。火災。「祝融」は火の神。
 【類句】 回禄の災い

178. 主従は三世 ( しゅじゅうはさんせ )

 もと、主人と家来の契りは、過去・現在・未来にわたる、ということ。
 【参考】 「親子は一世、夫婦は二世、主従は三世」という。

179. 守銭虜 ( しゅせんりょ )

 けちんぼ。金をためることだけを考え、少しでも減らすまいとする金持ちをののしる語。
 【参考】 「守銭奴」ともいう。

180. 手足を措く所なし ( しゅそくをおくところなし )

 安心していられない。気を許して手や足を置くところもない状態である、という意味。

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