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「う」からはじまる ことわざ 2

31. 兎を見て犬を放つ ( うさぎをみていぬをはなつ )

 ウサギを見つけてから犬を放して追わせても遅くはない。 失敗してから気がついてやり直しても、決して遅すぎるということはない。
 【参考】 「兎を見て犬をかえりみる未だ晩しとせず」ともいう。

32. 牛売って牛にならず ( うしうってうしにならず )

 牛を売った代金で、代わりの牛を買おうとしても金が足らない。 だれでも自分の物は高く評価しがちで、売りは安く買いは高く、人にもうけられるだけだ。

33. 牛と呼び馬と呼ぶ ( うしとよびうまとよぶ )

 牛と呼ばれれば牛と思い、馬と呼ばれれば馬と思うように、是非善悪は人にまかせて、自分は一切かかわらないこと。

34. 牛に馬を乗り換える ( うしにうまをのりかえる )

 速い馬をやめて遅い牛に乗り換える。優れているものを捨てて、それよりも劣っているものをとること。 その反対を「牛を馬に乗り換える」という。

35. 牛に対して琴を弾ず ( うしにたいしてことをだんず )

 いくら説ききかせてもだめなこと。 愚かなものに立派なよい道理を説いたところでわからない、無益であること。 魯の賢者、公明儀は牛に対して清角の操という琴の名曲を弾いて聞かせたが、牛は草を食って知らぬ顔。 聞かないのではない耳に合わないのである、という故事から出た語。
 【類句】 馬の耳に念仏

36. 牛に引かれて善光寺詣り ( うしにひかれてぜんこうじまいり )

 善光寺(長野市にある寺)の近くに住んでいた老婆が、さらしていた布を、隣家の牛が角に引っかけて走っていくのを追って行くうちに、 善光寺に達し、日頃は不信心であったが、それが縁で信仰するようになったという話から、 本心からではなく、他のものに誘われてたまたま善いことをする、という意味。

37. 牛の歩み ( うしのあゆみ )

 牛ののろのろした歩きぶりから、進歩・進展のおそいことのたとえ。牛歩。

38. 牛の一散 ( うしのいっさん )

 歩みの遅い牛でも、いっさん(一目散)に走り出すことがあるように、常に鈍い愚人が考えもせずにはやり進むこと。 先のことも考えずに、むやみにはやりたつこと。

39. 牛の小便と親の意見 ( うしのしょうべんとおやのいけん )

 牛の小便はだらだらと長い。そのくせ肥料としては効き目がない。親の小言も同じで、長いだけで効果はないという意味。

40. 牛の角を蜂がさす ( うしのつのをはちがさす )

 蜂が牛の角を刺しても、牛は痛くもなんともない、ということから、なんとも感じないことのたとえ。
 【参考】 「鹿の角を蜂がさす」ともいう。

41. 牛は牛づれ馬は馬づれ ( うしはうしづれうまはうまづれ )

 それ相応の似合わしい相手どうしが一緒になるのが一番よい、という意。
 【類句】 似た者夫婦 / 破鍋に綴蓋

42. 牛も千里馬も千里 ( うしもせんりうまもせんり )

 巧いかまずいか、遅いか早いかの違いはあっても、行きつくところは結局同じである。 あわてることはないというたとえ。

43. 烏集の交わり ( うしゅうのまじわり )

 利益で結ばれた交わり。いつわりが多くて実のない交わり。 烏衆は無関係のものの集まり。烏合。

44. 後に目無し ( うしろにめなし )

 うしろに目はないから、見えない、知らない。人間に盲点のあることのたとえ。

45. 後ろ指を指される ( うしろゆびをさされる )

 背後から指をさされて非難される。陰で悪口を言われること。

46. 牛を馬に乗り換える ( うしをうまにのりかえる )

 遅い牛をやめて速い馬に乗り換える。都合のよい、すぐれたほうに換える意。
 【参考】 「馬を牛に乗り換える」の対。

47. 牛を食らうの気 ( うしをくらうのき )

 幼い時からすぐれた気性があること。 虎や豹の子は、小さいうちから大きな牛を食おうとするほどの気概がある。
 【参考】 「食牛(しょくぎゅう)の気」ともいう。

48. 氏無くして玉の輿 ( うじなくしてたまのこし )

 女は家が卑しくても、美しければ貴人の目に留まり、結婚することによってたちまち富貴のみになれる。
 【参考】 「輿」は、昔貴人が使った、肩にかつぐ乗り物。

49. 氏より育ち ( うじよりそだち )

 家柄や身分より、育てられ方の方が人格の形成に大切である、ということから、 人の価値は、血統よりも、環境や教育や努力によるところが大きい、という意味。

50. 臼から杵 ( うすからきね )

 物事のさかさまなことのたとえ。 うすは女、きねは男で、男から女に言いよるべきであるのに、女から男に働きかけること。

51. 薄き氷を履む如し ( うすきこおりをふむごとし )

 薄い氷をふめばすぐに割れて水中に落ちることから、非常に危険なことのたとえ。

52. 嘘から出た真 ( うそからでたまこと )

 初めは嘘であった事が、偶然に本当の事となる。物事は偶然に支配されやすく、意外なことがよく起きるということ。
 【参考】 「まこと」の部分は「実」「誠」「まこと」と書くこともある。

53. 嘘つきは泥棒の始まり ( うそつきはどろぼうのはじまり )

 嘘をつくのは、ちょっとしたことでも、それが始まりとなって平気で嘘を言うようになり、 ひいては、泥棒のような悪事を働いても恥じないようになる。

54. 嘘と坊主の頭はゆったことがない
  ( うそとぼうずのあたまはゆったことがない )

 嘘は絶対に言ったことがない。「言う」と「結う」とをかけたしゃれの語。

55. 嘘の皮が剥がされる ( うそのかわがはがされる )

 うわべを取り繕った嘘を皮にたとえたもので、嘘をついてごまかしていたことが何かのきっかけで見破られる。

56. 嘘八百 ( うそはっぴゃく )

 うそのありったけ。八百は多いこと。うそをたくさんいう。

57. 嘘八百を並べる ( うそはっぴゃくをならべる )

 何とか話のつじつまを合わせるために、次から次へと嘘をつき続ける。

58. 嘘も方便 ( うそもほうべん )

 物事を円満に運ぶための手段として、時と場合によっては嘘もつかなければならぬこともある、という意味。
 【参考】 「方便」は、目的を遂げるために用いる便宜の手段。
 【類句】 うそもまことも話の手管

59. 有象無象 ( うぞうむぞう )

 たくさん集まったくだらない者ども。群衆。「象」は形。 もともと仏教で、形があるもの形がないもののすべて、天地間にある一切のもの、の意。

60. 謡長じて舞となる ( うたいちょうじてまいとなる )

 謡を習ったら舞を習う。趣味や道楽は、だんだん深入りしやすいことのたとえ。

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