1. 似合い似合いの釜の蓋 ( にあいにあいのかまのふた )
どんなものにも、それぞれ、それにふさわしい相手があるということ。
2. 似合わぬ僧の腕立て ( にあわぬそうのうでたて )
見たところ不似合いでおかしいもののたとえ。寺僧が腕力を自慢するのはおかしい。
3. 匂い松茸味しめじ ( においまつたけあじしめじ )
キノコの中で、匂いのよいのは松茸、味のよいのはしめじである、ということ。
【参考】 ここでいう「しめじ」は「ブナしめじ」などではなく、「本しめじ」のこと。
4. 二階から目薬 ( にかいからめぐすり )
二階にいる人が階下にいる人に目薬をさすように、思うようにならないでもどかしいことから、
回り遠くて直接効果のないことを言う。
【参考】 「天井から目薬」ともいう。
5. 二月は逃げて走る ( にがつはにげてはしる )
二月はとても早く過ぎるような感じがするもので、正月が終わったかと思うともう三月がやって来る。
6. 苦瓢にも取柄あり ( にがひさごにもとりえあり )
どんなつまらぬ物にも長所があるという事。
苦瓢はにがくて食えないが、ひしゃくにはなる。ひょうたんのこと。
7. 握れば拳開けば掌 ( にぎればこぶしひらけばてのひら )
心の持ちよう一つで同じ物でもいろいろに変わることのたとえ。
人を打つこぶしも、人をなでるてのひらも、もとは同じ手である。
8. 憎い鷹には餌を飼え ( にくいたかにはえをかえ )
手向かう者にはとくをさせてなつかせるのがよい。
9. 憎い嫁から可愛い孫が生まれる
( にくいよめからかわいいまごがうまれる )
嫁を憎む姑はいても、孫を憎む姑はいないということ。
10. 肉食の者 ( にくしょくのもの )
常に肉を食べることのできる者、ということから、地位の高いもの、厚禄(こうろく)を食(は)む者、という意味。
11. 憎まれっ子世にはばかる ( にくまれっこよにはばかる )
人に憎まれるような者が、かえって世間では幅をきかす、という意味。
12. 逃ぐるも一手 ( にぐるもいって )
進んで戦うばかりが能ではなく、逃げることも一つの戦法だということ。
13. 逃ぐる者道をえらばず ( にぐるものみちをえらばず )
逃げる者は、いろいろ道を選択している暇などがないこと。
敵に追われれば道がよいとか悪いとかいってはおられない。
14. 濁り酒は髭につく ( にごりざけはひげにつく )
そまつな物や安い物にはそれ相応の短所があるということ。
「濁り酒」は清酒に対するもので、昔はかすごめといった。
15. 濁りに染まぬ蓮 ( にごりにそまぬはちす )
泥の中に生えても美しい花をつけるはすということで、周囲の汚れた境遇にそまらないで潔白な性格を保つことのたとえ。
16. 西風と夫婦喧嘩は夕限り ( にしかぜとふうふげんかはゆうかぎり )
夫婦喧嘩は夕方になるとおさまるものだということ。
17. 錦の御旗 ( にしきのみはた )
赤地の錦に金銀で日月を刺繍した官軍の旗のことをいい、大義名分として掲げ、誰にも反対できないような都合のいい口実のこと。
18. 錦は雑巾にならぬ ( にしきはぞうきんにならぬ )
ぼろ布は雑巾になっても錦は雑巾には都合が悪い。
よいものならなんでも役に立つと思うがそうではないということ。
19. 錦を着て郷に還る ( にしきをきてきょうにかえる )
立身出世して故郷に帰ること。
【参考】 「錦」は、二色以上の色糸や金糸銀糸を使って、きれいな模様を織り出した厚地の高価な織物。
「故郷に錦を飾る」ともいう。立身出世しても故郷に帰らないのを「錦を着て夜行く」という。
20. 錦を衣て夜行くが如し ( にしきをきてよるいくがごとし )
昼ならば晴晴しく見える錦の衣を暗夜にきること。
立身出世しても故郷に帰らず知人にその栄誉を知らせないことをたとえていう。
漢の朱買臣は初め家が貧困をきわめたが、少しも意とせず、もっぱら読書にはげんだため、武帝に抜擢され会稽(かいけい)の太守に任ぜられた。
そのとき武帝は「富貴にして故郷に帰らざるは錦を衣て夜行くが如し」といったので、得々として故郷に帰ったという。
21. 西と言うたら東と悟れ ( にしというたらひがしとさとれ )
人の言葉の裏にある意味を察する必要があるということ。
22. 西の海 ( にしのうみ )
災厄を追い払うという、西方にある冥界。また、厄払いのこと。
23. 西の海へさらり ( にしのうみへさらり )
一年の災厄などを払う厄払いの文句。災難や悪い事を、きれいに捨ててしまって忘れること。
24. 二豎 ( にじゅ )
病気のこと。病魔。春秋時代、晋の景公が病中に見た夢で、病気の神が二人の豎子(子供)の姿となってあらわれた、という故事による。
【例】 二豎に侵される。二豎の訪(おとな)うところとなる。
25. 二千石 ( にせんせき )
漢代の群の長官の年俸は二千石の穀物であったことから、地方長官のことをいう。
26. 二束三文 ( にそくさんもん )
二束で三文ということで、量が多くても値段が非常に安いこと。
金剛ぞうり(いぐさ・わらなどで作った丈夫なぞうり)が二足で三文だったことからいう。
27. 二足の草鞋を履く ( にそくのわらじをはく )
江戸時代、ばくち打ちで捕吏(ほり)を兼ねる者があったことから、表向きの仕事、公的な仕事のほかに、
同じ人がそれと相反するような他の仕事を同時にすること。
【例】 「最近は医者でタレントというような二足の草鞋を履く人が増えてきた」
28. 似た者夫婦 ( にたものふうふ )
仲の良い夫婦は性質や好みが似ているものだということ。また、そのような夫婦のことをいう。
【例】 「二人のくせや言動はよく似ている。まさに似た者夫婦だ」
29. 二張の弓を引く ( にちょうのゆみをひく )
二心を持つことで、浮かれ心をもつことなどにいう。
30. 日計足らず歳計余り有り ( にっけいたらずさいけいあまりあり )
その日その日の計算は足りないが、一年分の計算にすると利益がある、という意味。
目前の利益は少ないが久しくすれば結局は利益がある。
31. 日光を見ずして結構と言うな ( にっこうをみずしてけっこうというな )
日光の東照宮の建築の美しさこそは「けっこう」という言葉に値する。
【類句】 ナポリを見てから死ね
32. 似て非なる者 ( にてひなるもの )
ちょっと見ると似ているが、本質は違うもの。まやかしもの。
【例】 「我が子をかわいがることと、甘やかすことは似て非なるものである」