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「し」からはじまる ことわざ 11

301. 死んだ子の年を数える ( しんだこのとしをかぞえる )

 とっくの昔に死んだ子が生きているとすれば、今は幾つになっているだろうか、と年を数える。 いまさら言ってもしかたがない過去のことについて思い出したり、愚痴をこぼしたりすること。
 【参考】 「死児の齢(よわい)を数える」ともいう。

302. 死んでの長者より生きての貧乏
   ( しんでのちょうじゃよりいきてのびんぼう )

 死んで長者と尊ばれるよりは、貧乏しても生き残るほうがよい。

303. 死んで花実が咲くものか ( しんではなみがさくものか )

 「花実」は名声と実利のことで、生きているからこそいいこともあるので、死んでしまっては何にもならない。 無駄に命を捨ててはならないということ。
 【参考】 「死んで花実がなるものか」ともいう。

304. 心頭を滅却すれば火もまた涼し
   ( しんとうをめっきゃくすればひもまたすずし )

 どのような苦痛に遭っても、これを超越して心に留めなければ、その苦痛を感じない。
 【参考】 甲州慧林寺(えりんじ)の禅僧快川(かいせん)が織田勢に寺を焼き討ちされた時、火炎の中でこの句を唱えたというので有名。

305. 紳に書す ( しんにしょす )

 忘れないために、大帯に書きつけておくこと。転じて、よく覚えていて忘れず、常に手本とする。 「紳」は貴人の結ぶ大帯。腰で結んで、そのあまりをたらして飾りとしたもの。

306. 信は荘厳より起こる ( しんはそうごんよりおこる )

 信心は寺社の装飾によって始まるの意で、内容はまず形式から導かれることをいう。 また、信心も外観や形式に左右されることにいう。

307. 親は泣き寄り他人は食い寄り ( しんはなきよりたにんはくいより )

 身内の者は不幸に際しては心から悲しんで集まって来るが、他人はその実、食べ物が目的で集まる。

308. 心腹に落つ ( しんぷくにおつ )

 ふに落ちる。合点がゆく。「心腹」は、こころ。胸のうち。

309. 辛抱が大事 ( しんぼうがだいじ )

 何事もがまん強く、最後までやり抜くことが肝心である。

310. 辛抱する木に金がなる ( しんぼうするきにかねがなる )

 何事もがまんし辛抱して励む木には、やがて金がなるようになる。 効果がすぐ現われないといって投げ出すのではなく、なによりも辛抱強さが大切である、という意味。

311. 辛抱は金挽臼は石 ( しんぼうはかねひきうすはいし )

 ひきうすは石でできており、心棒が鉄でできていることから、それにかけて、 忍耐せねば金持ちになれないことをいう。

312. 神明に横道なし ( しんめいにおうどうなし )

 神は道理のないことや、不正なことはしない。

313. 森羅万象 ( しんらばんしょう )

 宇宙空間に存在するありとあらゆるもの。 「森羅」は、限りなく並びつらなる、「象」は、形のあるものという意味。

314. 真を保つ ( しんをたもつ )

 天から授かった自然のままを失わないこと。

315. 人口に膾炙す ( じんこうにかいしゃす )

 広く人々の口にもてはやされる。詩文などが多くの人にほめたたえられて、広く知れわたること。 「膾」は、さしみ、「炙」は焼き肉。共においしく御馳走(ごちそう)で、だれにでも賞味されるからいう。

316. 沈香も焚かず屁もひらず ( じんこうもたかずへもひらず )

 香を焚くほど風流で魅力的でもなく、おならをして人に嫌われるでもない。 特に役に立つこともないが害にもならぬ、平々凡々な状態。 可もなく不可もないというタイプの人。「沈香」は香の一種。

317. 人後に落つ ( じんごにおつ )

 人のうしろに下がるということから、人に負ける。他人より劣る意。
 【参考】 「人後に落ちず」といえば、他人に劣らない、他人にひけを取らない意となる。

318. 仁者は憂えず ( じんしゃはうれえず )

 仁者は道理に従ってやましいことがないから、物事に心配しない。

319. 仁者は敵なし ( じんしゃはてきなし )

 仁者は深い愛をもって人に接するから、天下に敵というものがない。

320. 仁者は山を楽しむ ( じんしゃはやまをたのしむ )

 人の道を心得た人は山を愛し好む。 それは天命に安んじていて静かで安らかで、山のように動じないからである。

321. 人事を尽くして天命を待つ ( じんじをつくしててんめいをまつ )

 できる限りのことを全力を尽くして行なった上で、その結果は運を天に任せるだけだの意で、 どんな結果になろうと悔いはないという心境を表わす言葉。

322. 人生意気に感ず ( じんせいいきにかんず )

 人間は金銭や名誉のためではなく、相手の心意気に感じて行動するものである。 心と心との激しい触れあいが何ものよりも尊い。

323. 人生字を識るは憂患の始め
   ( じんせいじをしるはゆうかんのはじめ )

 人間は字を覚える学問をして道理がわかるようになると、そのためにいろいろ心配事が多くなる。 むしろ無学で何も知らないほうが気楽である。

324. 人生朝露の如し ( じんせいちょうろのごとし )

 人生は、きわめてはかないものである。 人の一生は、日が出ればすぐにかわいてしまう朝の露のように、はかないものである。

325. 人生は行楽せんのみ ( じんせいはこうらくせんのみ )

 人生は短くはかないものであるから、ただおもしろく一生を送ることだ。

326. 人生僅か五十年 ( じんせいわずかごじゅうねん )

 人間の寿命を五十歳としていったときの語。 唐の詩人杜甫(とほ)が「人生七十古来稀(まれ)なり」と詠じてから七十歳を「古稀(こき)」(古希)としていたが、 今は七十歳は稀(まれ)ではなく普通になり、百歳が稀となった。

327. 人中の騏驥 ( じんちゅうのきろ )

 多くの人にひいでた天才。ずば抜けた人。 「騏驥」は、一日に千里も走る名馬で、秀才のたとえ。

328. 人面獣心 ( じんめんじゅうしん )

 人の道にはずれて、恩や恥を知らない人。 顔は人間に違いないが、心は獣と同じであるという意。恩義を知らない者をののしっていう語。

329. 刃を迎えて解く ( じんをむかえてとく )

 竹を割るとき、初めに刃物を入れれば、あとの数節は、刃物の力をかりないでも、たやすく割れるように、 向かうところ敵のない勢いをいう。

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