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「し」からはじまる ことわざ 2

31. 地獄にも鬼ばかりではない ( じごくにもおにばかりではない )

 地獄のようなつらいこの世にも、慈悲深い人はいる。

32. 地獄にも知る人 ( じごくにもしるひと )

 どこでも、知人にめぐり会う。どこに住んでも、知人ができる。どの土地でも、知人がいた方が心強い。

33. 地獄の一丁目 ( じごくのいっちょうめ )

 苦しみにおちいった第一歩。破滅に向かった矢先のこと。

34. 地獄の上の一足飛び ( じごくのうえのいっそくとび )

 極めて危険なことのたとえ。

35. 地獄の釜の蓋もあく ( じごくのかまのふたもあく )

 正月と盆の十六日は、地獄の鬼さえも罪人を許して責めないそうだから、この世でも仕事をやめて休もうという意。 殺生の戒めにも用い、またこの日をやぶ入りとして、奉公人にも休養を与えた。

36. 地獄の沙汰も金次第 ( じごくのさたもかねしだい )

 死後に行くといわれる地獄・極楽の行く先を決定する、厳正と言われる閻魔の判定も、 結局は金を出せば有利な判決をしてもらえる。まして、この世の中は金の力で左右されるものである。 どんなにむずかしいことでも、金さえあればどうにでもなる、という意味。
 【類句】 仏の沙汰も銭

37. 地獄は壁一重 ( じごくはかべひとえ )

 正しい道を一歩踏みはずすと、たちまち罪悪を犯すようになる。 ちょっとした心の緩みで罪悪を犯しやすい、というたとえ。

38. 地獄へも連れ ( じごくへもつれ )

 どんな所へ行くにしても、道連れがあったほうがよい。

39. 獅子吼 ( ししく )

 大いに雄弁を振るうこと。大演説。「獅子」はライオン。 もと仏教で、獅子がほえて百獣を恐れさせるように、威力をもって悪魔や外道を恐れ伏させ正しい道を明らかにする、仏の説法をいう。

40. 肉食った報い ( ししくったむくい )

 禁制になっている獣肉を食った報い。不義や放蕩(ほうとう)などをしたために受ける苦しい報い。 悪いことをしたことに対する当然の報い。
 【参考】 「肉」は鹿や猪の肉のことで、伊勢神宮ではこれを忌んだ。

41. 獅子身中の虫 ( しししんちゅうのむし )

 「獅子」はライオン。獅子の体内に寄生して恩恵を受けている虫が、かえって獅子を死に至らしめる、ということから、 内部から災いを起こすもの。味方でありながら味方を害するもの、のことをいう。 また、仏徒でありながら仏道を害するものにたとえる。

42. 志士仁人は生を求めて以て仁を害するなし
  ( ししじんじんはせいをもとめてもってじんをがいするなし )

 国家・社会のために心を尽くそうとする人や、仁徳のある人は、自分の生存のために、 博愛の徳をそこなうようなことはしない。生命を捨てても仁の道を全うする。
 【参考】 論語にある言葉。

43. 死して後やむ ( ししてのちやむ )

 死ぬまで努力してやめない。
 【参考】 「斃れて後已む」と同じ。

44. 死しての長者より生きての貧人
  ( ししてのちょうじゃよりいきてのひんじん )

 いくら金があったところで、死人ではなんにもならない。 貧乏でもいいから生きていたほうがよい。

45. 死屍に鞭打つ ( ししにむちうつ )

 死んだ後までもその人の悪口をいう。死んだ人を非難し攻撃する。 父と兄を殺した楚の平王の死体にむち打って生前の恨みをはらした伍子胥(ごししょ)の故事。

46. 獅子の子落とし ( ししのこおとし )

 「獅子」はライオンのことで、獅子は子を産むと、その子の強弱を試すために、深い谷に投げ込み、自力で這い上がるものだけを育てると言い伝える。 自分の子に辛苦をなめさせてその力を試すことにいう。

47. 獅子の座 ( ししのざ )

 仏が人中にあるのは、獅子が百獣の中にあるように、最も尊いものであるところから、仏の座席、高僧の座席をいう。

48. 獅子の分け前 ( ししのわけまえ )

 強い者が利益を独占することのたとえ。 強いライオンが弱い動物たちを働かせて、その成果を一人占めし、働いたものにはちっとも分け前を与えない。
 【参考】 イソップの話から出たことば。

49. 獅子奮迅 ( ししふんじん )

 ものすごい勢いで奮闘するようす。「獅子」はライオン。 獅子が暴れまわるように、猛烈な勢いで動きまわること。

50. 私淑 ( ししゅく )

 尊敬する人が過去の人や遠方の人であるため、直接には教えを受けられないが、その著書などによって、間接にその人を模範として慕い学ぶこと。 「私」は、ひそかに、の意、「淑」は、よくする意。 その人の言行や著書を通じて、ひそかに我が身をよくすること。孟子が百五十年ほど昔の孔子に私淑した故事による。
 【参考】 注意として、会って教えを受けることが出来る人に「私淑する」と使うのは誤り。その場合は「親炙」という。

51. 支証の出し後れ ( ししょうのだしおくれ )

 すでに手遅れになって、効力のないたとえ。 争っているときに証拠を出すべきなのに、争いがすんでから出したのでは、もはや手遅れだ。

52. 師匠の出し後れ ( ししょうのだしおくれ )

 「支証の出し後れ」のなまりで、師匠がその場で答えられず、あとになって、あれはこうだと講釈するたぐい。

53. 師匠は鐘の如し ( ししょうはかねのごとし )

 鐘は大きくつけば大きく鳴り、小さくつけば小さく鳴るが、師匠もその通りで、 教わる弟子の熱意の大小によって、その教授の程度が違うという意味。

54. 四十八手 ( しじゅうはって )

 相撲の手の総称。頭で行なう反、手で行なう捻、腰で行なう投、足で行なう掛の四手のそれぞれに十二の変化がある。 また、人をあやつる種々の手段をさしていう。

55. 地震雷火事親父 ( じしんかみなりかじおやじ )

 もと、恐ろしいものを順にあげて言った語。

56. 事実は小説よりも奇なり ( じじつはしょうせつよりもきなり )

 この世で実際に起こる出来事には、虚構の小説以上に不思議で変わったことがある、という意味。  【参考】 Truth is stranger than fiction.

57. 耳順 ( じじゅん )

 六十歳の称。孔子が「六十而耳順(六十にして耳順(みみしたが)う)」といった語に基づく。
 【参考】 不惑

58. 爾汝の交わり ( じじょのまじわり )

 非常に親しい間柄。 「爾」も「汝」も、ともに「なんじ」と読み、お前、きさまの意味。 互いに、相手を呼び捨てにして「お前」「きさま」と呼び合えるような親しい交友関係、という意味。

59. 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり ( しずむせあればうかぶせあり )

 苦境に陥ることもあれば栄えることもあって、人の運命の盛衰は定まらない。

60. 沈めば浮かぶ ( しずめばうかぶ )

 吉凶は巡り巡るもので、不幸に陥ってもまた幸運に会うこともある。

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