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「た」からはじまる ことわざ 1

1. 田歩くも畦歩くも同じ ( たあるくもあぜあるくもおなじ )

 方法や経路はちがっても、目的は同じであるということ。

2. 太陰は市に隠る ( たいいんはいちにかくる )

 真に道に達した隠者は俗事に心を乱さないから山林に隠れる必要もなく、町の中に住んでいる。

3. 大恩は報ぜず ( たいおんはほうぜず )

 小さな恩義には負い目を感じるが、あまり大きな恩には気がつかないで、かえって平気でいるものである。

4. 大海は芥を選ばず ( たいかいはあくたをえらばず )

 大海は川からごみが流れ込むのを問題にしない。 大人物は度量が広くてさまざまな人を受け入れる、という意味。

5. 大海を手で塞ぐ ( たいかいをてでふさぐ )

 とうていできないことを、しようとすることのたとえ。

6. 大喝一声 ( たいかついっせい )

 大きな声でしかりつける。どなりつける。 「喝」は、もと禅宗(ぜんしゅう)で、死者に引導(いんどう)を渡す時に、大きなかけ声をかけること。

7. 大廈の材は一丘の木にあらず
 ( たいかのざいはいっきゅうのきにあらず )

 大きい建物の用材は、一つの山から切り出した木だけではない。 大きな事業は、必ず大勢の力によるもので、決してひとりの力ではできないことのたとえ。

8. 大廈の顛れんとするや一木の支うるところに非ず
 ( たいかのたおれんとするやいちぼくのささうるところにあらず )

 国家が滅びそうになった時には、一人の力ではどうすることもできないたとえ。 「大廈」は大きな建物。大きな家が倒れそうな時には、とても一本のつっかい棒で支えられるものではない、という意味。

9. 大姦は忠に似たり ( たいかんはちゅうににたり )

 大悪人は、うまく表面をつくろってなかなかしっぽを出さないから、かえって忠誠な人のように見える。

10. 大器晩成 ( たいきばんせい )

 「大器」は大きな器物。大きな器物は簡単には出来上がらない。器物を人物にたとえた語で、 大人物は若いころは目立たず、年を取ってから大成する、という意味。

11. 大義親を滅す ( たいぎしんをめっす )

 大きな道義のためには私情を捨てる。 君臣間の大義を全(まっとう)うするためには、父子兄弟の情愛を犠牲にすることがある、という意味。 春秋時代、衛の君主を殺した公子州吁(こうししゅうく)が、石厚(せきこう)と共に陳の国に行った時、 厚の父の石サク(せきさく)が二人を反逆者として殺した故事。

12. 大疑は大悟の基 ( たいぎはたいごのもとい )

 大きな疑いを持つことによって大きな悟りを得ることができる。 疑いを持たなければ悟りを開くことはできない。

13. 大義名分 ( たいぎめいぶん )

 臣下が君主に対して守らなければならない道義と分限の意から、自分のすることを正当化するための、表面は筋の通った理由づけ。

14. 大魚は小池に棲まず ( たいぎょはしょうちにすまず )

 大きな魚は、小さな池にはすまない。 同様に、大人物はつまらぬところで、あくせくとして働かない。

15. 大吉は凶に還る ( だいきちはきょうにかえる )

 あまりにも良すぎると、かえって凶になる。 易(えき)で陽の卦(か)が最上になると陰の卦になることをいう。

16. 大工の掘っ立て ( だいくのほったて )

 他人のためにばかりせっせとつとめて、自分のことには手が回らないたとえ。

17. 大賢は愚なるが如し ( たいけんはぐなるがごとし )

 非常に賢い人は、利巧ぶらないから、ちょっと見たところでは、愚か者のようである。

18. 大行は細謹を顧みず ( たいこうはさいきんをかえりみず )

 大事を成そうと志す者は、小さな慎みなどは気にしない、という意味。 鴻門の会の宴会の半ばで、身の危険を感じた沛公(はいこう(漢の高祖))が便所に立ち、そのまま逃げだそうとし、 項羽(こうう)に対する暇乞(いとまご)いの挨拶をどうしようといった時、家来の樊かい(はんかい)がそのまま立ち去らせるために言った言葉。

19. 大巧は拙なるが若し ( たいこうはせつなるがごとし )

 本当に上手なものは、かえって下手なように見える。

20. 太公望 ( たいこうぼう )

 魚釣(うおつ)りをする人をいう。 周の武王の軍師となって殷を滅ぼし、天下を統一した太公望は、武王の父の文王に見出(みいだ)される前は、 世を逃れて渭水(いすい)のほとりで魚釣りをしていたという故事による。

21. 大功を成す者は衆に謀らず ( たいこうをなすものはしゅうにはからず )

 大事業をなしとげる者は、あまり多くの人と相談しないで、自分の判断で行なうものだ。

22. 大功を論ずる者は小過を録せず
  ( たいこうをろんずるものはしょうかをろくせず )

 大きなてがらを論じて、これを賞するときは、そのかげに小さな過失があっても、大目に見て追求しない。

23. 大国を修むるは小鮮を烹るがごとし
  ( たいこくをおさむるはしょうせんをにるがごとし )

 大国を治めるには、小魚をにるときのように、大様にしたほうがよい。「小鮮」は、生の小魚。 これをにるときには、はらわたやうろこをとらず、そのままにて、あまりはしでつつかないほうがよい。

24. 太鼓も撥の当たりよう ( たいこもばちのあたりよう )

 やり方次第で、相手の感応も違うことのたとえ。 太鼓は大きくたたけば、大きく響き、小さくたたけば、小さく響くことから。

25. 太鼓を叩く ( たいこをたたく )

 他人のいうことに調子を合わせる。あいづちを打つ。迎合する。

26. 大根食うたら菜っ葉は干せ ( だいこんくうたらなっぱはほせ )

 大根を食ったら、その葉は捨てないで干しておけば、あとで役に立つ。 どんなつまらぬものでも、しまっておけば、役に立つことがあるのたとえ。

27. 大根を正宗で切る ( だいこんをまさむねできる )

 大げさなことをする。大根ぐらいを切るのに、正宗の名刀を使うことはない。 また、大人物につまらぬ仕事をさせること。

28. 醍醐味 ( だいごみ )

 深い味わい。最高の楽しさ。「醍醐」は、牛乳・羊乳を精製した濃くて甘い食品。 昔の人はめったに口にすることはできず、最高の味覚とし、仏法の真髄にたとえた。

29. 泰山頽れて梁木壊る ( たいざんくずれてりょうぼくやぶる )

 山のうちで最も仰ぎ尊ばれる泰山がくずれ、建物のうちで最も大切な梁がこわれる意で、 孔子が自分の死を予知して歌ったことば。転じて、一世の師と仰がれる人の死をいう。

30. 太山に登りて天下を小とす ( たいざんにのぼりててんかをしょうとす )

 高山に登って下を見おろすと、すべてのものは小さく見える。 すべて観点が高くなると、凡俗の意見や事柄は取るに足らぬものになるたとえ。 「太山」は、泰山と同じ、中国五岳の一つ。

31. 大山鳴動して鼠一匹 ( たいざんめいどうしてねずみいっぴき )

 一大事だと前宣伝が大きく、あれこれ騒ぎ立てた割には、たいした結果にならなかった様子。
 【参考】 「大山」は「泰山」とも書く。
 【例】 「制作費数十億円といわれた映画も、大山鳴動して鼠一匹、興行収入は大したことなかった」

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