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「た」からはじまる ことわざ 3

64. 宝は身の差合わせ ( たからはみのさしあわせ )

 財産というのは、その持ち主の身命をすくうのに役立つはずのものだ、という意味。

65. 鷹を養うが如し ( たかをやしなうがごとし )

 心のねじけた人を使うには、その欲望を満足させないと不平をいって従わないし、 十分に欲望を満足させればそむき、そのかねあいのむずかしいところが、鷹を飼うのに似ているということ。

66. 薪に油を添える ( たきぎにあぶらをそえる )

 さらに勢いを添えることのたとえ。

67. 薪を抱きて火を救う ( たきぎをいだきてひをすくう )

 災害を除こうとして、かえって災害を大きくするたとえ。 燃えさかる火を消そうとして、水を持たずに薪を持って行き、かえって火勢を強くする、という意味。

68. 多岐亡羊 ( たきぼうよう )

 方針がいろいろあって、どうしてよいか迷うこと。 もと、逃げた羊を捜しに行ったが、枝道が多くてついに見失ってしまったことから、学問の道が多方面に分かれて、真理をとらえることができないたとえ。

69. 沢庵のおもしに茶袋 ( たくあんのおもしにちゃぶくろ )

 少しもききめのないたとえ。

70. 宅を徙してその妻を忘る ( たくをうつしてそのつまをわする )

 うっかり者のたとえ。しかし、もっとはなはだしいのは、自分の身を忘れる者さえあるといった孔子の言葉。

71. 宅を卜するに非ず隣を卜す ( たくをぼくするにあらずとなりをぼくす )

 家をきめるのは、家相のよしあしを見ることよりも、隣家のよしあしを見ることが大切である。 つまり、環境の感化力のほうが恐ろしいことのたとえ。

72. 竹に油を塗る ( たけにあぶらをぬる )

 竹に油を塗るとよくすべることから、弁舌の達者なことのたとえ。
 【参考】 「若竹に油を塗ったよう」は、年が若くて美しいことのたとえ。

73. 竹の子の親まさり ( たけのこのおやまさり )

 竹の子の成長が早いことから、子がその親よりすぐれていることのたとえ。

74. 竹屋の火事 ( たけやのかじ )

 竹は燃えるとパンパンとはじけて大きな音がすることから、怒ってぽんぽんと言うようすをいう。

75. 竹藪に矢を射る ( たけやぶにやをいる )

 無益なことのたとえ。

76. 多芸は無芸 ( たげいはむげい )

 いろいろな芸に通じている人は、かえって専門といえる傑出した面が一つもないものである。
 【参考】 Jack of all trades, and master of none.
 【類句】 何でも来いに名人なし

77. 抱けばおんぶ ( だけばおんぶ )

 親切に抱いてやれば、つぎは背負ってくれとせがむ。恩情になれてつけあがることをいう。

78. 蛸は身を食う ( たこはみをくう )

 蛸は空腹のとき自分の足を食べるといわれる。収入が無くて自分の財産を食いつぶすことにたとえる。

79. 他山の石 ( たざんのいし )

 よその山から出た粗悪な石でも、宝石を磨くのに使える、ということから、他の事がらを参考にして自分に役立てること。 どんなつまらないこと、また、自分より劣っている人の言行でも、 自分の才能や人格を磨く反省の材料とすることができる、という意味。
 【例】 「ユーザーの批判も、他山の石として今後に活かすべきだ」

80. 多勢に無勢 ( たぜいにぶぜい )

 少人数で大勢に向かったのでは、とてもかなわないこと。数の多少で勝負が決まること。
 【類句】 衆寡敵せず

81. 蛇足 ( だそく )

 余計なつけたし。無用のもの。 昔、楚(そ)の国で数名の者が酒を賭(かけ)にして、蛇(へび)を早く描(か)きあげる競争をした。 早くできた一人が得意になり、不必要な足まで描き加えたために、酒をもらいそこなったという故事。

82. 叩かれた夜は寝やすい ( たたかれたよるはねやすい )

 人に害を加えたよりは、自分が害を受けたほうがかえって心が安らかであるという意。

83. 叩けば埃が出る ( たたけばほこりがでる )

 どんなものでも穿鑿(せんさく)していけば、欠点や弱点があるものだ、という意味。
 【類句】 新しい畳も叩けば埃が出る

84. 叩けよさらば開かれん ( たたけよさらばひらかれん )

 何事にせよじっと待っているのでなく、積極的な態度・心構えを執りなさい。 新約聖書に「求めよ、さらば与えられん。叩けよ、さらば開かれん」とある。

85. 多々益々辨ず ( たたますますべんず )

 仕事が多ければ多いほどかえって意欲を燃やし、鮮やかに処理していくの意で、力量が優れ、自分の手腕に余裕があることを表わす。 また、何かが多ければ多いほど好都合だの意をも表わす。 漢の名将の韓信が、高祖に対して、わたくしは兵力は多ければ多いほど上手に使いこなしますといった故事による。
 【参考】 The more, the better.

86. 畳の上の水練 ( たたみのうえのすいれん )

 畳の上での水泳練習。理論や方法だけを詳しく知っていて、実際の役に立たないこと。
 【参考】 「畑水練」に同じ。「畳水練」ともいう。

87. 只取り山の時鳥 ( ただとりやまのほととぎす )

 ただ取りにするという意のしゃれ。骨を折らないで物を得ること。

88. ただより高い物はない ( ただよりたかいものはない )

 ただで物をもらうと、返礼に金がかかったり、恩恵が負担となって相手に何かを求められた時に断れないから、 かえって高いものにつく、という意味。

89. 立聞きは地が三寸くぼむ ( たちぎきはじがさんずんくぼむ )

 人の話をこっそり立ち聞きすることは、罪深いことであるのをいう。

90. 立仏が居仏を使う ( たちぼとけがいぼとけをつかう )

 立っている者が、すわっている者に用をさせる。自分でやれるのに、人にやらせる。 「立仏」は、立った姿の仏像。「居仏」は、すわった姿の仏像。

91. 立ち寄らば大樹の陰 ( たちよらばおおきのかげ )

 身を寄せるならば、小さい木よりも大きい木のほうが安心である。 人に頼るならば、勢力のある人のほうが安全で頼りになるという意味。
 【類句】 寄らば大樹の陰

92. 立っている者は親でも使え ( たっているものはおやでもつかえ )

 自分の用に親を使うなどとは、本来はとんでもない話だが、急ぐ場合には、そばに立っている人なら誰かまわず、 たとえ親でも手伝ってもらえ、という意味。

93. 脱兎の如し ( だっとのごとし )

 非常にすばやいことのたとえ。逃げ出す兎のように足が速い、という意味。
 【参考】 始めは処女の如く終わりは脱兎の如し

94. 立つ鳥跡を濁さず ( たつとりあとをにごさず )

 水鳥は水を濁さずに飛び立って行くの意で、不名誉な汚点を残したり、残る人に迷惑がかかったりしないようにしてそこを去る、ということ。
 【参考】 「飛ぶ鳥後を濁さず」ともいう。
 【例】 「今月で退職するが、立つ鳥跡を濁さずで、身辺整理をきちんとやるつもりだ」

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