61. 柱には虫入るも鋤の柄には虫入らず
( はしらにはむしいるもすきのえにはむしいらず )
つねに働いている者は誘惑にまけないが、なまけている者は誘惑にまけるということ。
62. 走り馬にも鞭 ( はしりうまにもむち )
まっしぐらによく走ること。ますます増進すること。
63. 恥と頭はかき次第 ( はじとあたまはかきしだい )
恥をかくくらいのことはいっこう気にならないということで、不名誉な行為を重ねること。
64. 恥の上の損 ( はじのうえのそん )
恥をかいたり、しかも損をしたりしてあわないこと。
名誉と実行の両面から打撃をうけること。
65. 初め有らざるなし克く終わりある鮮なし
( はじめあらざるなしよくおわりあるすくなし )
はじめは誰でもよくするものだが、最後まで完全に成し遂げる人は少ない。
66. 始めあるものは終わりあり ( はじめあるものはおわりあり )
物事には必ず始めと終わりがあり、永久にそのまま続くことはない、という意味。
67. 始めが大事 ( はじめがだいじ )
どんな事でもいちばん始めにとった態度や方法がそれから後のことを決定するもので、始めを慎重にしなければならないということ。
68. 始めきらめき奈良刀 ( はじめきらめきならかたな )
奈良刀は室町時代後、奈良付近で大量生産された粗悪な刀のことで別名奈良物とも呼ばれる鈍刀。
このようななまくら刀は、はじめのうちは光っていても、じきにさびて使い物にならなくなる。
69. 始めに二度なし ( はじめににどなし )
物事はなんでも始めが大事だが、一度きりでやり直しがきかないから慎重にやらなければならない。
70. 初めの囁き後のどよみ ( はじめのささやきのちのどよみ )
初め、秘密にしてひそひそうわさしていた事柄も、やがては人々の口に言い騒がれて、評判になる。
71. 始めは処女の如く終わりは脱兎の如し
( はじめはしょじょのごとくおわりはだっとのごとし )
初めはぱっとしないが、あとになって手腕を発揮することのたとえ。
最初は、処女のように弱々しく見せて敵を油断させ、のちには、逃げる兎(うさぎ)のように機敏にふるまって、敵が施すすべがないようにする。
【参考】 「脱兎の如し」と用いれば、逃げ足などの速いことにいう。
72. 始めを言わねば末が聞こえぬ ( はじめをいわねばすえがきこえぬ )
はじめから順序よく説明しなければ何故そうなったのか訳がわからないこと。
73. 恥を言わねば理がきこえぬ ( はじをいわねばりがきこえぬ )
内幕まですっかり話さないと相手に通じないということ。
74. 恥を知らねば恥かかず ( はじをしらねばはじかかず )
はずかしいと思う心のない者は、どんなにはずかしい事でも平気で、はずかしいとは感じない。
そういう者を相手に恥や名誉を説いてもむだであるということ。
75. バスに乗り遅れる ( ばすにのりおくれる )
世間の動きから取り残されてしまう。
【参考】 Miss the bus. という語からの訳語。
76. 蓮の台の半座を分かつ ( はすのうてなのはんざをわかつ )
死んでからも一緒に極楽に往生して、同じ蓮の花に仲良く身を託すこと。夫婦仲のよいことをいう。
【類句】 一蓮托生
77. 畠あっての芋種 ( はたけあってのいもだね )
女親がよくなくてはよい子供は生まれないということ。
どんなに種がよくても畑がなければ子はできない。
78. 畑に蛤 ( はたけにはまぐり )
畑を掘って蛤を探したとてあるはずがない。ない事や見当違いのことをいう。
79. 二十後家は立つが三十後家は立たぬ
( はたちごけはたつがさんじゅうごけはたたぬ )
結婚生活をいくらも経験せず、その楽しみを知らない若妻は、夫に死なれると操を立てて、再婚しないで通せるが、
夫婦生活の喜びを知って夫に死なれた女性は、我慢できないで再婚することが多い。
80. 肌に粟を生ず ( はだえにあわをしょうず )
非常に恐ろしいことのたとえ。恐ろしさに、皮膚がかさかさになること。
81. 裸馬の捨て鞭 ( はだかうまのすてむち )
人は無一文になるとすてばちになってめちゃくちゃなことをするということ。
82. 裸で道中はならぬ ( はだかでどうちゅうはならぬ )
無一文では旅行はできない。何をするにも相応の準備が必要である。
83. 裸百貫 ( はだかひゃっかん )
男はどんな働きをするか分らないので、たとえ無一物でも百貫文の値打ちはあるという意味。
84. 破竹の勢い ( はちくのいきおい )
竹は初めの一節を割れば、あとは押すだけで割れることから、猛烈な勢い。とどめがたい勢い。
85. 八細工七貧乏 ( はちさいくしちびんぼう )
なんでもできる人は成功しそうなものだが、そのような人は多芸多能がじゃましてかえって成功せず、貧乏することが多い。器用もよしあしである。
86. 八十の手習い ( はちじゅうのてならい )
年老いてから学問をはじめること。晩学だが学ぶにこしたことはないからいくらおそくてもおそすぎることはない。
87. 八十八夜の別れ霜 ( はちじゅうはちやのわかれじも )
八十八夜を過ぎると、霜はおりなくなる。八十八夜は、立春から数えて八十八日目、五月二、三日ごろ。
「別れ霜」は、春の終わりにおりる霜。
88. 罰は目の前 ( ばちはめのまえ )
悪いことをした者にはすぐ悪い報いがめぐってくるということ。
89. 抜山蓋世 ( ばつざんがいせい )
勇壮な気性の形容。「山を抜き世を蓋(おお)う」と読み、山をも引き抜くほどの力と、一世をおおうほどの壮大な気力。
【参考】 蓋世の雄
90. 白駒の隙を過ぐるが如し ( はっくのげきをすぐるがごとし )
年月のたつのが、非常に早いたとえ。
人の一生は、白い馬が隙間(すきま)をちらりと走り過ぎるのが見えるような、きわめて短いものである、という意味。
【類句】 光陰矢の如し / 烏兎匆匆