151. 腹の立つように家倉建たぬ ( はらのたつようにいえくらたたぬ )
お金をもうけるのは容易ではないということ。
倉を建てるのはそんな手軽なわけにはいかないのである。
152. 腹は借り物 ( はらはかりもの )
母親の腹は一時借りただけで、生まれた子の貴賤(きせん)は、母は問題ではなく父による。
153. 腹は立て損喧嘩は仕損 ( はらはたてそんけんかはしぞん )
思ってみても得るところはないし、喧嘩をすれば損をするから、怒りは押さえなければならない。
154. 腹八分目に医者いらず ( はらはちぶんめにいしゃいらず )
満腹になるまで食べず、八分目ぐらいでやめておけば腹をこわす心配はなく、医者に掛からないで済む。
暴飲暴食を戒める言葉。
155. 張りつめた弓はいつか弛む ( はりつめたゆみはいつかゆるむ )
緊張はいつまでも続くものではない。
張りつめたものはいつかはゆるむ時が来るものである。
156. 針とる者車をとる ( はりとるものくるまをとる )
小さな悪事でもきびしく戒めなければならないということ。
157. 針の穴から天を覗く ( はりのあなからてんをのぞく )
小さな狭い見識でもって大きな物事を判断しようとするたとえ。
【類句】 管の穴から天を覗く / 葦の髄から天井覗く
158. 針の筵 ( はりのむしろ )
針のさしてあるむしろ。安らかでない座席の形容から、いつも苦しめられ、非常につらい思いをしなければならない境遇。
また、絶えず気を使っていて、一時も心の休まることがない立場。
159. 針は包まれぬ ( はりはつつまれぬ )
形は小さくてもばかにはできないということ。
160. 針程の事を棒程に言う ( はりほどのことをぼうほどにいう )
小さなことを大げさに言いふらすこと。
【類句】 針小棒大
161. 針を倉に積む ( はりをくらにつむ )
ちりも積もれば山となるので、小金をせっせとためこむこと。
162. 春植えざれば秋実らず ( はるうえざればあきみのらず )
なんにもしないのによい報いを期待してもだめである。春には必ず種をまくのは鉄則である。
原因のないところに結果があるはずがない。
163. 葉を截ちて根を枯らす ( はをたちてねをからす )
木を枯らそうとするには、まずはじめに枝葉を落として坊主にする。
助けをする部分をまず除き去り、それから目指すものを滅ぼす、という意味。
【参考】 「枝を切って根を枯らす」ともいう。
164. 万悪淫を首とし百行考を先とす
( ばんあくいんをはじめとしひゃっこうこうをさきとす )
すべての悪事のもとは、何といっても女色にふけることからはじまり、
よい行いは孝行がまず第一で、それから次第に善行が伸びていくものである。
165. 挽歌 ( ばんか )
死者を悼(いた)む歌。もと、葬式の時、柩を載せた車を挽(ひ)く者が歌った歌。
【参考】 「輓歌」とも書く。
166. 反間 ( はんかん )
間者。間諜(かんちょう)。スパイ。敵国に入って敵状を探ったり、敵方に不利な言いふらしをする者。
また、敵の間者を逆に利用することにもいう。
敵の間者を味方に引き入れて、反対に利用したり、あるいは、気づかないふりをして、偽りの状況を示して、
敵方に誤った報告などをさせること。
167. 盤根錯節 ( ばんこんさくせつ )
紛糾(ふんきゅう)して解決困難な事件や事柄。
後漢の虞ク(ぐく)が盗賊の横行する朝歌県の長に任ぜられた時、気の毒がった友人に対して答えた語。
「盤根」はわだかまり。曲がった根。「錯節」は入れまじった節。
168. 万歳の後 ( ばんざいののち )
貴人の死を忌んでいう語。
【参考】 「百歳の後」ともいう。
169. 万死一生を顧みず ( ばんしいっしょうをかえりみず )
決死の覚悟をかためること。
170. 万死に一生を得る ( ばんしにいっしょうをうる )
とても助かる見込みのなかったところを、かろうじて助かることをいう。
万が一にも生きられないような危機を、やっとのことで逃れた。
171. 万事休す ( ばんじきゅうす )
すべて終わりである。転じて、何とも手の施しようがない。
もはやだめである、という意に用いる。
172. 半寿 ( はんじゅ )
「半」の字が八と十と一とに分けられることから、八十一歳の俗称。
173. 伴食宰相 ( ばんしょくさいしょう )
無能な大臣。唐代、宮中に毎日出勤する高官には食事を賜った。
そこで、会食をするだけで、実力も実権もない大臣を、あざけっていった言葉。
174. 繁盛の地に草生えず ( はんじょうのちにくさはえず )
繁盛しているところは、人通りがはげしいから草の生えるときがない。
いつも働いている者がぼけないことや、いつも使っている道具がさびつかないことのたとえ。
175. 万乗の君 ( ばんじょうのきみ )
天子のこと。「乗」は、兵車一台をいう語。
昔、天子の領内には一万台の兵車を常備したのでいう。後には大諸侯も万乗の兵車を保有するようになった。
176. 万卒は得易く一将は得難し
( ばんそつはえやすくいっしょうはえがたし )
兵卒はいくらでも集めることができるが、すぐれた一人の大将は、なかなか得がたい。平凡な人間の多いことをいう。
177. 般若湯 ( はんにゃとう )
仏寺で酒をいう。昔、僧は酒を飲んではいけないことになっていたので、酒の隠語として用いた。
「般若」は仏語で知恵のこと。適量の酒は血のめぐりを良くするので知恵のよくなる湯と言った。
178. 万能足りて一心足らず ( ばんのうたりていっしんたらず )
あらゆる事に精通しているが、ただ一つ真心が足りない。
179. 反哺の考 ( はんぽのこう )
烏でさえ孝行をするということ。
烏の子は成長してからは餌をくわえて来て親に与え、幼いとき養育してもらった恩に報いるといわれている。
180. 反面の識 ( はんめんのしき )
ちょっとした知り合い。後漢の応奉(おうほう)は、ある時、戸の間から顔を半分出していた人を見ただけであったのに、
数十年の後に道で会った時に、その人を覚えていたという故事による。
【類句】 一面識