1. 栄華あれば必ず憔悴あり ( えいがあればかならずしょうすいあり )
栄えるときがあれば必ず衰えることがある。
草木に花が咲いて散り、やがて枯れていくのと同じで、自然の理でありこの世のならいである。
2. 栄華の花 ( えいがのはな )
華やかに咲き誇る花も、やがて散り落ちてしまう。栄えるものは必ず衰える、というたとえ。
3. 栄枯盛衰 ( えいこせいすい )
人の一生には盛んな時と衰える時とがあって、草木のあるいは栄えて花が咲き、あるいは枯れてゆくのと同じである。
4. 郢書燕説 ( えいしょえんせつ )
こじつけて、もっともらしい解説をすること。
郢の君が、燕の国の宰相に送る手紙を口述して書記に書かせていた時、夜で灯火が暗かったので、「燭を挙げよ」と言った。
すると書記は「挙燭」の語を手紙の中に書いてしまった。その手紙を受け取った燕の宰相は、それが書き誤りとは知らず、
「燭は明かりであるから、明をあげよという意味で、真意は賢明な人を登用せよと言うことである」と燕王に申し上げ、
その結果、国がよく治まったという故事による。
5. 嬰児の貝を以て巨海を測る ( えいじのかいをもってきょかいをはかる )
とうていできないことのたとえ。
幼児が海で大海の水をくみ出すことは、あまり隔たりすぎて比較にならないこと。
【参考】 平家物語にある言葉。
6. 詠雪の才 ( えいせつのさい )
女子の才能、文才の優れているのをいう。
晋の謝奕(しゃえき)の娘に道オン(どうおん)という才女がいた。
雪の降る日に叔父の安がやってきて、この雪をどう見るかと尋ねると、兄は塩をまいたようだと答え、
妹は「柳絮(りゅうじょ=柳のわた)が風に舞いとぶようだ」と答えた故事による。
7. 潁川に耳を洗う ( えいせんにみみをあらう )
太鼓の堯の時、潁川のほとりに隠れ住んでいた許由は堯帝が天下を譲ってやろうというのを聞き、
汚れた話を聞いたといって潁川で耳を洗ったという故事。
8. 英雄色を好む ( えいゆういろをこのむ )
英雄と呼ばれる人物は、精力が盛んで征服欲もまた旺盛なため、女色を好む傾向が強いものが多い。
とはいっても「色を好む者必ずしも英雄ならず」である。
9. 英雄人を欺く ( えいゆうひとをあざむく )
英雄は才知にまかせて術策を用いるから、人をあざむくような意外な行動に出ることが多い、ということ。
10. 英雄人を忌む ( えいゆうひとをいむ )
英雄は自分よりすぐれている人のいることを嫌うということ。
そのために英雄は並び立たないのである。
11. 得難きの貨を貴ばす ( えがたきのかをたっとばす )
めったに得られないようなものを尊重し集めることは、
徳行の妨げとなり、わざわいを招くもとになるということ。
12. 易簀 ( えきさく )
賢人の死をいう。「簀」は寝床の下に敷く、竹を編んだすのこ。
孔子の弟子の曾子(そうし)が、死にのぞんで家老の季孫(きそん)から貰った立派な簀を、
身分にふさわしくないといって、無理に易(か)えさせて息を引きとった、という故事による。
13. 益者三友 ( えきしゃさんゆう )
交際して自分の易になる三種の友人。
つまり、まっすぐ(正直)な人、誠のある人、多くのことを聞いて知っている知識のある人である。
14. 易者身の上知らず ( えきしゃみのうえしらず )
易者は、他人の身の上のことはかれこれ言うが、自分のことはどうなるか少しもわからない。
【類句】 陰陽師身の上知らず
15. 会者定離 ( えしゃじょうり )
会った者は、いつかは必ず離れる。この世の無常をいう言葉。
【参考】 「生者必滅、会者定離」という。
16. えせ侍の刀いじり ( えせさむらいのかたないじり )
武士らしくない卑怯な武士、にせ者の武士に限って、さも、武士らしく人前で刀をいじっていばってみせる。
17. えせ者の空笑い ( えせもののそらわらい )
おかしくもないのに声を立てて笑うのはいかがわしい者である。
むやみに追従笑いをする者は腹黒い者か、軽薄な者。
18. 得たり賢し ( えたりかしこし )
物事が自分の思い通りに運んだときなどに発する言葉。
19. 枝は枯れても根は残る ( えだはかれてもねはのこる )
災いや悪事の根を絶つことは難しい、というたとえ。
20. 枝葉のしげりは実少し ( えだはのしげりはみすこし )
木に枝や葉があまりしげるものは実が少ない。
人もことばの多いものは誠意や実行することが少ない、という意味。
21. 枝本より大なれば必ず披く ( えだもとよりだいなればかならずひらく )
木の枝が幹より太い場合には、その木は折れなければ必ず裂ける。
本が弱くて末がはびこれば危険であるというたとえ。
22. 枝を切って根を枯らす ( えだをきってねをからす )
木を枯らそうとするには、まずその枝を切り落として坊主にする、ということから、
敵を倒すのに、始末しやすい末端を攻撃し、自然に敵の本拠が衰えるのを待つ、というやり方のことをいう。
【類句】 葉を截ちて根を枯らす
23. 越鳥南枝に巣くう ( えっちょうなんしにすくう )
故郷が忘れがたいたとえ。
南方の揚子江の南、越の国から北国に飛んで来た渡り鳥は、故郷を慕って必ず南側の枝を選んで巣を作る。
24. 越俎の罪 ( えつそのつみ )
自分の職分を越えて他人の権限に干渉する罪。越権行為の罪である。
荘子に料理人が料理場を片づけない場合でも、神主が樽やまな板を越えて料理人の仕事場に立ち入ることはしない、とある。
【参考】 俎はまな板のこと。
25. 越畔の思い ( えつはんのおもい )
自分の職分を慎み守り、他人の職権を侵すことのない心がけ。
26. 得手に鼻突く ( えてにはなつく )
もっとも得意のことは鼻であしらってするので、かえって失敗すること。
得意のことには注意を払わないので失敗すること。
27. 得手に帆を揚ぐ ( えてにほをあぐ )
自分の得意とする領域に、勇躍して進む。待っていた好機が到来した時、逃さずにこれをつかんで得意になり、
調子にのって事を行う、という意。
【例】 「得手に帆を揚げて、業界を躍進している」
【類句】 追手に帆を上げる