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「は」からはじまる ことわざ 2

31. 掃き溜めに鶴 ( はきだめにつる )

 掃き溜めに舞い降りた鶴。むさくるしい場所に不似合いに、きわだって優れたものが現れた、という意味。
 【参考】 「掃き溜めの鶴」「ごみために鶴」「掃き溜めに鶴が降りる」「鶏群の一鶴」ともいう。

32. 馬脚を露す ( ばきゃくをあらわす )

 芝居で人が馬のように見せていたのが、何かのはずみに足が見えてしまうことから、 ごまかしていた素性や実力の程度がわかってしまうことをいう。化けの皮がはがれる。
 【例】 「偉そうなことを言っていたが、そこを間違うなんて、ついに馬脚を露したな」

33. 破鏡 ( はきょう )

 夫婦の離別。離婚。 陳(ちん)の徐徳言(じょとくげん)の夫婦が戦乱のために別れる時、後日の印に鏡を破って、一片ずつを持ったという故事による。
 【参考】 「破鏡の憂き目にあう。」と使う。

34. 白眼 ( はくがん )

 人をにらみつける目つき。人を冷遇する目つき。 晋の阮籍は、自分の気に合った人には青眼(黒眼)で迎え、気に入らない人には白眼で迎えたという故事。
 【参考】 「白眼視する。[冷たい目つきで人を見ること、冷遇すること。]」と使う。

35. 莫逆の友 ( ばくぎゃくのとも )

 非常に親密な友。意気投合した親友。 「莫逆」は「逆(さか)らうこと莫(な)し」と読み、互いの心がぴったり合って、逆らうことがない意。

36. 白玉楼 ( はくぎょくろう )

 文人が死んでから行くという楼。「楼」は高い建物。
 【参考】 「若くして白玉楼中の人となる。[文芸に携わっていた人が、年若くして死んだ。]」と使う。

37. 柏舟の操 ( はくしゅうのみさお )

 寡婦の貞操をいう。再婚しないで亡夫への操を立てること。 衛の太子共柏の死後、その寡婦が父母の勧める再嫁を断って、柏舟の詩を作った故事による。

38. 白寿 ( はくじゅ )

 九十九歳の俗称。「百」の字の「一」を除くと「白」になるからのしゃれ。

39. 麦秋 ( ばくしゅう )

 麦が熟して収穫する初夏のころ。麦の熟すときを、一般の穀物が実る秋に擬した語。
 【参考】 「むぎあき」とも読む。

40. 麦秀の嘆 ( ばくしゅうのたん )

 亡国のなげき。 殷(いん)の箕子(きし)が、滅びた殷の都の跡を通り過ぎ、麦畑となっているのを見て、悲しみのあまり麦秀の歌を作った故事による。

41. 白刃踏む可し ( はくじんふむべし )

 刀のむきみを踏むことをも辞さない。勇気のあること。

42. 莫大 ( ばくだい )

 きわめて大きいこと。「これより大なるは莫(な)し」という意味。

43. 博奕と相場は死ぬまで止まぬ ( ばくちとそうばはしぬまでやまぬ )

 ばくちと相場に手を出すとやみつきになり、一生やめることができない。

44. 伯仲の間 ( はくちゅうのかん )

 どちらがまさっているか、優劣がつけにくいこと。 「伯仲」は、兄弟の順序を「伯(はく)・仲(ちゅう)・叔(しゅく)・季(き)」といい、「伯」は長兄、「仲」は次兄で、年齢があまり違っていないからいう。

45. 白髪三千丈 ( はくはつさんぜんじょう )

 積もる憂いの形容。長年の憂いが積もって頭髪が白くなり、長く伸びた、と嘆じた語。 「三千丈」は、長いことを示す誇張した表現。

46. 白馬は馬に非ず ( はくばはうまにあらず )

 戦国時代の公孫竜(こうそんりゅう)が唱えた、詭弁(きべん こじつけの議論)の説の一つ。 馬は白馬だけに限らない、白馬を馬といえば、他の黒馬や赤馬は馬でないことになる。 馬という抽象的概念と白馬という具体的概念とは違うのだから白馬は馬ではないのである、という論。
 【参考】 堅白同異の弁
『韓非子(かんぴし)』外儲説(がいちょせつ)左上に、宋国(そうこく)の弁論家の児説(げいえつ)が、白馬は馬に非ず、というのを持論として、 斉(せい)の国都に集まっていた天下一流の弁論家たちを抑えつけ、得意になり白馬に乗って関所を通ったところが、あっさり馬の税を取られてしまった、という冷やかしの話がある。

47. 薄氷を踏む ( はくひょうをふむ )

 非常に危険な状況に身を置く様子。
 【参考】 「深淵に臨んで薄氷を踏む」ともいう。

48. 薄氷を履むが如し ( はくひょうをふむがごとし )

 非常に危険なことのたとえ。薄く張った氷の上を歩くように、きわめて危険であるという意。

49. 白眉 ( はくび )

 多くの中で最もすぐれているもの。傑出しているもの。 三国時代、蜀(しょく)の馬氏(ばし)に五人の子がいて、皆すぐれていたが、その中でも馬良(ばりょう)が最もすぐれていた。 その馬良の眉に白い毛がまじっていたので、世人は五人兄弟のうち、白眉が一番よいといった故事による。

50. 白璧の微瑕 ( はくへきのびか )

 ほとんど完全なものに、ごくわずかの欠点がある、というたとえ。 「白璧」は、輪の形をした平たく白い宝玉。これから「玉にきず」という語が出来た。

51. 白面の書生 ( はくめんのしょせい )

 年が若くて経験に乏しい学者。青二才。

52. 伯楽 ( はくらく )

 馬の良否をよく見分ける人。もと、星の名で、天帝の馬をつかさどったので、馬を見分けることにすぐれた人の名となった。

53. 化物と義弘は見たことがない
  ( ばけものとよしひろはみたことがない )

 見たことがないことのたとえ。有る有ると世間ではいうが化物と義弘の銘刀は見たことがないというのである。
 【参考】 「義弘」は鎌倉末期の名匠で正宗の門人。

54. 化け物も引っ込む時分 ( ばけものもひっこむじぶん )

 時機はもうとっくに過ぎてしまっていることにいう。 夜も明けてあたりは明るくなり、化け物はもうとうに引っ込む時分ということから。

55. 箱根知らずの江戸話 ( はこねしらずのえどばなし )

 箱根山も知らない関西の人が江戸の話を得意に話すことで、そこに行ったこともなければ、見たこともないが、 いかにも知っているかのように話すことをいう。

56. 箸が転んでもおかしい ( はしがころんでもおかしい )

 箸が転がるような何でもないことでもおかしがってけらけらと笑う、十代後半の年頃の女の子を指す言葉。

57. 馬耳東風 ( ばじとうふう )

 「東風」つまり春風が吹くと人は喜ぶが、馬には何の感動もない、ということから、 人の意見や批判などを、気にとめず聞き流す、という意味。
 【類句】 馬の耳に念仏

58. 箸と主とは太いがよい ( はしとしゅうとはふといがよい )

 はしは太いのが丈夫でよいが、主人もしっかりした主人でないとたよりにならない。

59. 箸にも棒にもかからない ( はしにもぼうにもかからない )

 ひどく劣っていて、何とも扱いようがない様子のことをいう。
 【例】 「うちの子はぐうたらで、箸にも棒にもかからない」

60. 箸より重い物を持たない ( はしよりおもいものをもたない )

 金持ちの家に生まれて、大事に育てられ働いた経験が全くないことをいう。

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