64. 懸河の弁 ( けんがのべん )
すらすらとよどみなく話す弁舌。
「懸河」は、急流や滝。立て板に水を流したようにしゃべりまくる意味。
65. 牽強付会 ( けんきょうふかい )
道理に合わないことを、自分の都合のよいようにむりに理屈をこじつけること。
【参考】 「牽強付会の言をなす」と使う。
66. 献芹 ( けんきん )
人に物を贈るときの謙遜(けんそん)の語。
野人がつまらない芹(せり)を、美味だとして身分の高い人に献上するという意味から。
また、君主に忠義を尽くすことをへりくだっていう。
67. 拳拳服膺 ( けんけんふくよう )
いつも心に抱いて忘れずに守ること。
「拳拳」は、両手でささげ持つこと。「服膺」は、胸につけること。
68. 健康な時においても病を忘るべからず
( けんこうなときにおいてもやまいをわするべからず )
どんな健康な時でも、病気にならぬように用心をせよということで、
平常の健康に注意せよ、という意味。
69. 健康は富に優る ( けんこうはとみにまさる )
どんなに金持ちでもからだが弱くては、楽しい生活も充実した幸福な人生も送ることができず、何にもならない。
【参考】 「健康は大いなる財産」ともいう。
【参考】 Health is better than wealth. の訳語。
70. 乾坤一擲 ( けんこんいってき )
自分の運命をかけて、のるかそるかの勝負をすること。
「乾坤」は天地。天地をかけて大勝負をする意。
71. 現在の果を以て未来を知る ( げんざいのかをもってみらいをしる )
現在の身のあり方を見れば、来世のことも推測できるということ。
人は宿業によって、前世でした報いで現世にあらわれ、現世でしたことの報いが来世にあらわれるのであるから、
来世もわかるということになる。
72. 賢者は中道を取る ( けんじゃはちゅうどうをとる )
教養のある人は、かたよらない中正の道を歩み、極端な過激なことはしない。
73. 賢者は長い耳と短い舌を持つ
( けんじゃはながいみみとみじかいしたをもつ )
賢い人は人の言うことをよく聞くが、自分から言葉を発することが少ない。
【類句】 賢者は九聞いて一しゃべる
74. 賢者ひだるし伊達寒し ( けんじゃひだるしだてさむし )
賢者は超然として俗人を相手にしないからいつも貧乏であるし、
伊達者はだての薄着をして見栄をはるので寒い思いをすることから、やせ我慢をすることを笑う言葉。
また世間並のことをしないと損をするというたとえ。
【参考】 「軍者ひだるし儒者寒し」「遠慮ひだるし伊達寒し」ともいう。
75. 献上の鴨 ( けんじょうのかも )
着物が汚いのに足袋や履物ばかりが新しくきれいなのをののしっていう語。
江戸時代、将軍へ献上する鴨は白紙でその足を包んだからいう。
76. 賢人は危きを求めず ( けんじんはあやうきをもとめず )
賢い人は危険なところに近寄らない。
危ない所や危険なことに近づくのは愚か者である。
【類句】 君子危うきに近寄らず
77. 賢人は賢人を以て索め盗人は盗人を以て求むべし
( けんじんはけんじんをもってもとめとうじんはとうじんをもってもとむべし )
仲間の消息はその仲間がいちばんよく知っているから、その仲間にきくのがよい。
【類句】 蛇の道は蛇
78. 健全なる精神は健全なる身体に宿る
( けんぜんなるせいしんはけんぜんなるしんたいにやどる )
精神と身体は一体であって、身体が健全であると精神も健康である。
【参考】 ローマの詩人ユヴェナリスの、「健全な身体に健全な精神があるように祈るべきである」という語に基づく。
【参考】 A sound mind in a sound body. は英訳。
79. 健啖 ( けんたん )
「啖」は、食べる意味で、盛んに食べる。多量の食物を平らげること。
80. 軒輊 ( けんち )
上がり下がり。高低。優り劣り。優劣。
「軒」は前方が高く上がっている車、「輊」は前方が低く下がっている車。
81. 犬兎の争い ( けんとのあらそい )
両者が争って弱り、第三者に利益をとられること。
犬が兎を追いかけ、山を上ったりしているうちにどちらも疲れて死んだのを、
農夫が自分のものにしたという寓話から。
82. 捲土重来 ( けんどちょうらい )
前に敗れた者が、勢いを盛り返し、意気込んでやって来ること。
砂ぼこりを巻きあげて再びやって来る意。
【参考】 「重来」は、「じゅうらい」とも読む。
83. 賢は愚にかえる ( けんはぐにかえる )
賢い人も時によっては愚か者をよそおう。平時にあっては愚か者のように見える。
84. 犬馬の心 ( けんばのこころ )
主君や親のために尽くす忠誠心をいう。
85. 犬馬の養い ( けんばのやしない )
親を養うのに、犬や牛馬に食物を与えて養うのと同じように、
ただ口腹を満たすだけで敬愛の念のないことをいう。
86. 犬馬の歯 ( けんばのよわい )
自分の年齢をへりくだっていう語。犬や馬のようにむだな年齢を重ねるという意味。
【参考】 「歯」は「齢」と同じ。
87. 犬馬の労 ( けんばのろう )
主君または他人のために、力を尽くして奔走すること。
他人に対して自分の労苦をへりくだって言う言葉。
【参考】 「主人のために犬馬の労を惜しまない」と使う。
88. 堅白同異の弁 ( けんぱくどういのべん )
こじつけの論理。詭弁。
堅くて白い石は、目で見た時は色の白いのがわかるが堅いことはわからない。手で触れると堅いことはわかるが色はわからない。
だから、堅いことと白いこととは同時には成立しないといった、戦国時代の公孫竜(こうそんりゅう)が唱えた説。
【参考】 白馬は馬に非ず
89. 倹以て廉を助く可し ( けんもってれんをたすくべし )
生活をつつましく質素にしていることは、清廉潔白を守る助けとなるということ。
90. 倹約とけちは水仙と葱 ( けんやくとけちはすいせんとひともじ )
倹約とけちとはよく似ているが、まったく違ったものである。
それは水仙とねぎが似てはいるがまるで違うのと同じである。
【参考】 「ひともじ」は、ねぎの女房言葉。
91. 権輿 ( けんよ )
物事のはじめ。おこり。起源。
はかりは権(おもり)から、車は輿(荷台)から作り始めるからいう。
92. 剣を売りて牛を買う ( けんをうりてうしをかう )
武事をやめて農業に力を尽くすこと。
キョウ隊が渤海の太守になって赴任して行ってみると、土地の人はぜいたくで農業をきらっていたので、
自分から田畑を作ってみせて農業をすすめた。刀剣を持っている者が多かったので剣を売って牛を買い、
刀を売って犢(こうし・子牛)を買わせたので、みな富貴となった故事。
93. 賢を見て斉しからんことを思う ( けんをみてひとしからんことをおもう )
賢人をみて、自分もその人と同じようになりたいと思うこと。
94. 乾を旋し坤を転ず ( けんをめぐらしこんをてんず )
天下の面目を一新することをいう。天(乾)と地(坤)を回転させる。