33. 怪我の功名 ( けがのこうみょう )
怪我は「過ち・失敗」の意味。失敗したと思ったことや何気なくやったことが、思いがけなく良い結果を生むこと。
【参考】 「過ちの功名」ともいう。
【例】 「彼女は買うものを間違えたが怪我の功名で、すぐにそれが必要になるときがきた」
34. 逆旅 ( げきりょ )
宿屋。旅館。「逆」は迎えるの意味。旅人を迎える所。
35. 逆鱗に触れる ( げきりんにふれる )
天子のお怒りにあう。広く目上の人の怒りにあうこと。竜は元来おとなしいが、その喉の下に逆さについた鱗があり、
これに触れると人を殺すといわれる。もと、竜は天子の象徴で、天子にも臣下が触れてはならない逆鱗がある、
ということであったが、今は親や上役に怒られることにいう。
【例】 「食事の好き嫌いを言って、親の逆鱗に触れる」
36. 下戸と化物はない ( げことばけものはない )
この世の中に化物のないのと同じように、酒のまったく飲めないという人はない。
また、けいこ次第で飲めるようになる。
37. 下戸の建てた蔵もない ( げこのたてたくらもない )
酒を飲まないからといって、その分を貯蓄して蔵を建てたという話は聞かない。
酒を飲まなくても、一生を通じてはっきりした利益があるものではない、という意。
38. 下戸は上戸の被官 ( げこはじょうこのひかん )
酒宴の席では、下戸は上戸の家来(被官)のようなもので、頭があがらないこと。
39. 袈裟で尻拭く ( けさでしりふく )
紙のかわりに袈裟で尻を拭く、きわめてだらしのないことのたとえ。
40. 下種と鷹とに餌を飼え ( げすとたかとにえさをかえ )
卑しい者や性質の荒い者には、心付けや食物を与えて手なずけて使うのがよい。
41. 下種ない上﨟はならず ( げすないじょうろうはならず )
身分の卑しい者があってこそ、身分の高い人もやっていけるのである。
上下相持ち、世の中は共持ちである。
42. 下種の後思案 ( げすのあとじあん )
考えの浅い者は、事に当たってその時は、よい考えが浮かぶ余裕がなく、事が終わったあとになって考え付く。
【参考】 「下種の後知恵」「下種の知恵はあとから」ともいう。
【参考】 It is easy to be wise after the event.
【例】 「今ごろになって名案が浮かんだなどと言っても下種の後思案で、何の役にも立たない」
43. 下種の一寸のろまの三寸馬鹿の明けっ放し
( げすのいっすんのろまのさんずんばかのあけっぱなし )
戸や障子をしめる時、下種は一寸ほど残し、のろまは三寸ほど残し、愚か者は明けっ放しにしたままにする。
それによって人の注意力や品格の劣っていることがわかる、という意味。
【参考】 「一寸」は約三センチ。「馬鹿の三寸間抜けの一寸」ともいう。
44. 下衆のかんぐり ( げすのかんぐり )
品性の卑しい者は何かにつけて気を回しすぎ、邪推をしたがるものだということ。
【参考】 「下衆」は「下種」とも書く。
【例】 「彼女が何か悪いことをしているというのは下衆のかんぐりだ」
45. 下種の逆恨み ( げすのさかうらみ )
卑しい人間は、人が好意で忠告してくれたことでも、かえってその人を恨む。
【類句】 心無しの人怨み
46. 下種の謗り食い ( げすのそしりぐい )
卑しい者は、まずいまずいと言いながらたくさん食べる。
47. 下種は槌で使え ( げすはつちでつかえ )
卑しい者は、道理を説いて仕事をさせようとしてもなかなか理解しないので、叱りつけて使わなければならない、という意味。
48. 下駄と焼き味噌 ( げたとやきみそ )
外形が少し似ていても、実質が非常に違うもののたとえ。
板につけて焼いた味噌の形が下駄に似ているからいう。
49. 下駄も阿弥陀も同じ木のきれ ( げたもあみだもおなじきのきれ )
足にはかれる下駄も人におがまれる仏像も、もとは同じ木からできたものである。
はじめ(もと)は同じでも、末には非常に違うことのたとえ。
50. 闕所の門へ馬つなぐ ( けつしょのもんへうまつなぐ )
とばっちりのかかる危険のあるところへ、自分から近寄ること。
闕所は領地や官を没収されて追放以上の刑に処せられること。
51. 月下氷人 ( げっかひょうじん )
男女の縁をとりもつ人。仲人(なこうど)。「月下老」と「氷人」との二つの故事をふまえた合成語。
唐の韋固(いこ)が旅行中、月夜に老人にあった。その老人は、袋の中の赤い縄で、天下の男女の縁を結ぶ人であった。
数年後、韋固はその老人の予言通りに良縁があって結婚した。また、晋の令狐策(れいこさく)が、氷の上で氷の下の人と話をしたという夢を、
占いの名人の索タン(さくたん)に占ってもらったところ、それは君が、結婚の仲人をする前兆だと言われた。
後にその言葉通りに結婚の仲人をした。
52. 月旦氷 ( げったんひょう )
人物の批判。「月旦」は毎月の一日(ついたち)。
後漢の許劭(きょしょう)が従兄の許靖(きょせい)と毎月の一日に、郷党の人物評をした故事による。
53. 煙あれば火あり ( けむりあればひあり )
煙が立っていれば、必ず火がある。うわさが立つのは何か根拠があるからだということ。
【類句】 火の無い所に煙は立たぬ
54. 下面似菩薩内心如夜叉 ( げめんじぼさつないしんにょやしゃ )
顔は菩薩のように美しくやさしく見えるが、その心根は夜叉のように意地悪く恐ろしい。
本来は、女性が仏道修行の妨げとなることを言ったもの。
【参考】 「下面如似菩薩内心如夜叉」ともいう。
55. 獣にも屠所の歩み ( けものにもとしょのあゆみ )
屠所とは獣類を屠殺する場所で、この屠所へ引かれてくると、獣でも歩き方が変わるということ。
56. 螻蛄の水渡り ( けらのみずわたり )
初めのうちは熱心にやって、途中でいやになってやめてしまう人をいう。まねをしても成しとげないこと。
ケラはよく泳ぐが少しするとやめてしまうことからいう。
57. げらげら笑いのどん腹立て ( げらげらわらいのどんばらだて )
感情の変化のはげしい者、感情の起伏の多い者のことをいう。
58. 毛を吹いて疵を求む ( けをふいてきずをもとむ )
毛を左右に吹き分けて、中のきずを探し求めるように、小さな過ちをきびしく取り出して吟味することから、
あら探しをする、無理に他人の欠点や悪事をあばいて追求する、という意味。
わが国では、人の悪事を指摘しようとして、かえって自分の欠点を暴露する意味に使われる。
【類句】 藪をつついて蛇を出す
59. 毛を見て馬を相す ( けをみてうまをそうす )
毛並みのよしあしを見て、馬のよしあしを判断する。
表面だけを見てその実力を見ないで判断することのたとえ。
60. 喧嘩すぎて空威張り ( けんかすぎてからいばり )
けんかがすんでから、急に威張りだす。虚勢のこと。
61. 喧嘩過ぎての棒千切 ( けんかすぎてのぼうちぎり )
喧嘩をしているうちこそ棒切れの必要があるが、治まった後では役に立たない。時機に遅れて役に立たない意。
「千切」は「乳切」とも書き、両端を太く中央を少し細く削った棒。
【参考】 「喧嘩過ぎての向こう鉢巻(はちまき)」「喧嘩過ぎての空威張(からいば)り」「争い果てての棒千切」ともいう。
62. 喧嘩両成敗 ( けんかりょうせいばい )
喧嘩をした者はどちらがいいとか悪いとかを論ぜず、両方とも罰すること。江戸時代のしきたり。
63. 賢が子賢ならず ( けんがこけんならず )
親が賢くても子は必ずしも賢くはないということ。
賢い親の子には往々にして愚かな子が生まれていること。