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「た」からはじまる ことわざ 2

32. 大食腹に満つれば学問腹に入らず
  ( たいしょくはらにみつればがくもんはらにはいらず )

 食べ過ぎると、頭の働きがにぶくなり、学問しても身につかない。

33. 大樹の下に美草なし ( たいじゅのもとにびそうなし )

 大木のかげになっているところには、よい草は生えない。 人材の進路のふさがっているところには、有能な人は寄ってこないというたとえ。

34. 大人は赤子の心を失わず ( たいじんはせきしのこころをうしなわず )

 一国の主君たる者は、その領地の民をあかごのようにいたわって、民の心を失わない。 また、大徳の人はいろいろの事柄に通じていても、あかごのときのすなおで正直な心をいつまでも忘れないで、 これを広めて徳を大きくしたものだという意。

35. 大事の中の小事なし ( だいじのなかのしょうじなし )

 大事をなす場合には小事を問題にしている暇はない、という意味。
 【類句】 大行は細謹を顧みず

36. 大声は里耳に入らず ( たいせいはりじにいらず )

 高尚な道理は、一般の人には理解されがたい。 「大声」は、本来は高尚な音楽、「里耳」は、、俗人の耳。

37. 大智は愚の若し ( たいちはぐのごとし )

 ほんとうに知恵のある人は、一見しただけでは凡人にその偉大さがわからなくて、愚か者のように見える。
 【参考】 「大賢は愚に似たり」ともいう。

38. 大地を見抜く ( たいちをみぬく )

 非常にすぐれた眼識で、物事を見破る。

39. 大敵と見て恐れず小敵と見て侮らず
  ( たいてきとみておそれずしょうてきとみてあなどらず )

 敵が大勢または強くても、恐れずひるまず、少人数でも弱くても、侮らず油断しない。

40. 泰斗 ( たいと )

 最高の権威者。その道の大家。大学者。 泰山と北斗星は世間から仰ぎ尊ばれているものであるから、そのような人という意味。

41. 大徳は小怨を滅ぼす ( たいとくはしょうえんをほろぼす )

 恩恵が広大であると、わずかな怨(うら)みは自然に消えてなくなってしまう。

42. 大道廃れて仁義あり ( たいどうすたれてじんぎあり )

 道徳が行なわれている時は人情が醇朴(じゅんぼく)で仁義を唱える必要はないが、 道徳が行なわれなくなると世の中に虚偽が多くなって仁義を唱える必要が生じてくる。 また、世の中が退廃してくると、義理・人情という美徳が表われてくる。

43. 大同小異 ( だいどうしょうい )

 細かい部分でわずかな違いはあっても、全体としてはほとんど変わりはないこと。
 【参考】 「五十歩百歩」と同じ。

44. 鯛なくば狗母魚 ( たいなくばえそ )

 タイがなければエソで間に合わせる。つまり、なければ代用品でがまんするより仕方がないの意。 エソは体長約40センチ、細くて、上等のかまぼこ材料。しかしタイは魚の王で、エソの及ぶところではない。

45. 大難が小難 ( だいなんがしょうなん )

 災難が予期したよりも軽くてすむこと。 もっと大きい災難だと思えば、あきらめがつく。

46. 鯛の尾より鰯の頭 ( たいのおよりいわしのかしら )

 大きい団体で、人のしりにつき従うよりも、小さい団体でもよいから、その長になれとのたとえ。

47. 大の虫を生かして小の虫を殺せ
  ( だいのむしをいかしてしょうのむしをころせ )

 やむをえぬ場合には、大きなものを救うためには小さなものを犠牲にせよ。
 【参考】 「大を生かして小を殺せ」ともいう。

48. 大は小を兼ねる ( だいはしょうをかねる )

 大きいものは小さいものの効用を合わせ持つ。 小さいものより大きいもののほうが有用で、大きいものは小さいものの代わりに使うことができる、ということ。
 【例】 「大は小を兼ねるというわけで、少し大きめの旅行カバンを買った」

49. 大病に薬なし ( たいびょうにくすりなし )

 すべて物事が極端に達したときは、手の施しようがないたとえ。

50. 太平象なし ( たいへいしょうなし )

 世の中が太平なときには、別にこれといって徴候はあらわれない。 それがすなわち太平のしるしであるということ。

51. 大弁は訥なるが如し ( たいべんはとつなるがごとし )

 人を感動させるすぐれた弁舌家は、駄弁をろうしないから、かえって訥弁のように見える。

52. 大木に蝉の止まったよう ( たいぼくにせみのとまったよう )

 大きなものに小さなものがつかまっていることの形容。大小の差が大きいことのたとえ。

53. 大木の下に小木育つ ( たいぼくのしたにしょうぼくそだつ )

 勢力のある人のもとには、多くの人々が庇護(ひご)されていることのたとえ。

54. 大味は必ず淡し ( たいみはかならずあわし )

 濃厚な味は、一時はよいと思っても、あきやすいものである。 至ってよい味というものは、必ず淡泊なものである。

55. 鯛も一人はうまからず ( たいもひとりはうまからず )

 鯛のようにうまいものでも、一人でポツンとして食べたのではうまくない。 食事は大勢でいっしょに食べるのがよいということ。

56. 大勇は怯なるが如し ( たいゆうはきょうなるがごとし )

 ほんとうに勇気のある人は、落ちついていて、みだりに人と争わないから、ちょっと見ると臆病者のようである。 「大勇」はまことの勇気。大事の場合に奮いたつ勇気。「怯」は、ひきょう。臆病。

57. 大欲は無欲に似たり ( たいよくはむよくににたり )

 大きな望みを抱く者は、小さな利益は問題にしないから欲がないように見える。 また、大欲の者はとかく欲のために目がくらんで損を招くことが多く、その結果無欲の者と同じことになる、という意もある。

58. 大利は利ならず ( たいりはりならず )

 大きな利益は、ちょっと見ては、利益のようには見えない。

59. 斃れて後已む ( たおれてのちやむ )

 倒れて死ぬまでやり通す。生きている限り最大限の努力をし続ける、という意味。

60. 高きに登るには卑きよりす ( たかきにのぼるにはひくきよりす )

 物事をなすには、すべて一定の順序がある。 労を惜しんで、一足とびに行なっては失敗する。

61. 鷹は飢えても穂をつまず ( たかはうえてもほをつまず )

 鷹はどんなにひもじくても、烏や雀のように農民の汗水たらして耕した畑に降りて穂をつついて食べるような不義はしない。 正義の人は窮しても不正な金品を受け取ったりはしないことのたとえ。

62. 宝の持ち腐れ ( たからのもちぐされ )

 役に立つものを持っていながら、しまい込んで使わない。才能や手腕がありながらそれを活用しない、という意味。
 【例】 「良いパソコンを持っていても、その性能を使いこなせなければ宝の持ち腐れだ」

63. 宝の山に入りながら空しく帰る
  ( たからのやまにいりながらむなしくかえる )

 大きな利益を手に入れられる好機会に恵まれながら、何も得られないで空しく終わってしまう。

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