61. 至誠神の如し ( しせいかみのごとし )
邪念がなく、この上もなく誠実であれば心が曇ることがないから、物事を神のように予見することができる。
62. 市井の徒 ( しせいのと )
市中のならずもの。昔は井戸のあったところに人が集まり市ができたから、町のことを市井といった。
63. 死生命あり ( しせいめいあり )
人の生き死には天命で決まっており、人力ではどうにもすることができない。
64. 咫尺 ( しせき )
一. わずかの距離。昔の尺度で、「咫」は八寸、「尺」は十寸。転じて、わずか、少し、狭い意味に用いる。
二. 貴人の前近く進み出てお目にかかる意。
65. 死せる孔明生ける仲達を走らす
( しせるこうめいいけるちゅうたつをはしらす )
すでに死んだ諸葛孔明(しょかつこうめい)が、生きている敵将の司馬仲達を退却させた。
三国時代、蜀(しょく)の諸葛孔明(名は亮)が、魏(ぎ)の司馬仲達(名は懿)と対戦中、五丈原(ごじょうげん)で陣没(じんぼつ)したので、
蜀軍は陣営を引き払って帰ろうとした。司馬仲達はこれを追撃したが、蜀軍が反撃の勢いを示したので、
仲達は孔明が死んだというのも計略だと思い、恐れて退却したという故事。
「走」は、逃げる・退却する意。
66. 児孫のために美田を買わず ( じそんのためにびでんをかわず )
良い田を買って子孫のために財産を残しても本人たちのためにならないから、あえてそのようなことはしない。
67. 地蔵は言わぬがわれ言うな ( じぞうはいわぬがわれいうな )
人を疑って口止めしても、うっかり自分がしゃべってしまうことが多い。
口には気を付けよということ。
68. 親しき仲にも礼儀あり ( したしきなかにもれいぎあり )
どんなに親しい間柄でも礼儀は守らなければならない、という意味で、親しさに任せた言動をすると、仲が悪くなることがある、ということ。
69. 親しき中は遠くなる ( したしきなかはとおくなる )
親密すぎると、遠慮がなくなって不和をおこし、かえって疎遠になるものだ。
70. 滴り積もりて淵となる ( したたりつもりてふちとなる )
一滴一滴のしずくも集まれば深い淵となる。
ごくわずかなものでも数多く集まれば大きな存在となる、という意味。
71. 舌の根は命を絶つ ( したのねはいのちをたつ )
言葉の過ちのために往々にして生命を失うことさえもある。
72. 舌を二枚に使う ( したをにまいにつかう )
言葉に責任がなく、前後の合わないことや、相手次第で違ったことをいうこと。
73. 舌を巻く ( したをまく )
驚いて口がきけない様子。また、ひどく感心する様子。
74. 四知 ( しち )
二人の間だけの秘密であっても、天と神と相手と自分の四者が知っているから、誰にもわからないとは言えない。
後漢の楊震が王密の謝礼の金を断った故事。
【参考】 天知る神知る我知る子知る
75. 七転八起 ( しちてんはっき )
いくたび失敗しても屈せず、たちあがって奮闘すること。
【参考】 「七転」は、「七顛」とも書く。
76. 七転八倒 ( しちてんばっとう )
幾度か起きてはまた倒れ、ついにたちあがり得ないこと。
ころげまわって苦しみもだえること。
【参考】 「七転」は、「七顛」とも書き、しってんばっとうともいう。
77. 七年の病に三年の艾を求む
( しちねんのやまいにさんねんのもぐさをもとむ )
七年もの長い病気に灸をすえようとして、これから三年もかわかさねばならないもぐさを求めていたのでは、
間に合わないということから、普段用意せずに、事あるとき急に求めても得られない。
78. 七歩の才 ( しちほのさい )
詩文の才にすぐれていることをいう。
三国魏の文帝(曹丕(そうひ))が弟の曹植(そうしょく)の才を憎んで殺そうとし、七歩の間に詩を作ることを命じ、出来ねば殺すと言った時、
曹植はすぐに兄弟の不和を嘆いた詩を作り、兄の文帝を赤面させた故事。
【参考】 唐の史青が、曹植は七歩だが、自分は五歩のうちに詩を作れると自薦し、玄宗に試みられて賞揚された。
79. 死中に活を求める ( しちゅうにかつをもとめる )
ほとんど死にそうになったところで、やっと生きる道を発見する。
助かりそうもないところでようやく逃げ道を見いだす。
80. 疾行には善迹なし ( しっこうにはぜんせきなし )
急いでやったことには、よいできのものはない。
81. 知った道に迷う ( しったみちにまよう )
よく知りつくしていることで失敗することがあるたとえ。
得意のことでかえってしくじるものである。
82. 失敗は成功の本 ( しっぱいはせいこうのもと )
失敗した時、その原因を究明し反省することによって次には成功するようになる。
【参考】 「失敗は成功の母」ともいう。
83. 疾風迅雷 ( しっぷうじんらい )
はげしい風とはげしい雷。非常に速くて激しいたとえ。
【類句】 電光石火
84. 疾風に勁草を知る ( しっぷうにけいそうをしる )
はげしい風が吹いて、始めて強い草が見分けられることから、
困難にあって、始めて節操の固いこと、意志の強いことがわかるにたとえる。
85. 櫛風沐雨 ( しっぷうもくう )
雨や風にさらされて苦労を重ねること。風を櫛として髪をとき、雨で髪を洗う意味。
【参考】 「風に櫛(くしけず)り雨に沐(かみあら)う」とも読む。
86. 室に入りて矛を操る ( しつにいりてほこをとる )
他人の室にはいって、その人のほこをとって乱暴を働くことより、師の道をもって、かえって師を害する。
相手方の議論を利用して、相手方を攻撃する、などのたとえ。
87. 疾雷耳を掩うに及ばず ( しつらいみみをおおうにおよばず )
雷鳴があまりに急で、耳を掩ういとまがないということから、行動があまりにも速くて、防ぐいとまのないさま。
88. 湿を悪んで下きに居る ( しつをにくんでひくきにおる )
悪いと知りながら抜け出すことができず、なお悪いことをしているたとえ。
湿気が多い所にいるのをいやがりながら、やはり低い湿気の多い所にいる、という意味。
89. 十死一生 ( じっしいっしょう )
とうてい生きる見込みのないこと。
90. 日月明らかならんと欲すれば浮雲これを蔽う
( じつげつあきらかならんとほっすればふうんこれをおおう )
太陽や月が明るく照ろうとするけれども、雲がさえぎるように、物事にはとかくじゃまが付きまとう。
欲情のために人間の善性がくらまされることと、君主の周囲の奸臣(かんしん)が、君の明をおおうことのたとえ。