55. 猿に烏帽子 ( さるにえぼし )
猿に烏帽子をかぶせる。つまり、人柄に似合わない言動のたとえ。
56. 猿の尻笑い ( さるのしりわらい )
猿が、同じ猿の尻が赤くておかしいといってそれを笑う。自分のことを顧みないで他人の欠点を笑うこと。
【類句】 目糞鼻糞を笑う
57. 猿の水練魚の木登り ( さるのすいれんうおのきのぼり )
やることが反対なのをいう。
58. 猿も木から落ちる ( さるもきからおちる )
木登りの巧みな猿でもたまには木から落ちることがある、ということから、その道の達人でも失敗することがあるものだということ。
【類句】 河童の川流れ / 弘法も筆の誤り
59. 去る者は追わず ( さるものはおわず )
自分のもとを去ろうとする者はむりに引き留めない。
60. 去る者は日々に疎し ( さるものはひびにうとし )
死んでしまった人は、日数がたつにつれて世間からしだいに忘れ去られてゆく。
親しかった人も、遠く離れてしまうとしだいに疎遠になる、という意味。
【参考】 Out of sight, out of mind.
61. 騒ぐ烏も団子一つ ( さわぐからすもだんごひとつ )
騒いでも騒がないでも結果は同じ。
あわてても、もがいても、一生は一生だということのたとえ。
62. 触らぬ神に祟りなし ( さわらぬかみにたたりなし )
なまじそのことに関わり合わなければ、災いを招くこともない、ということから、余計なことに手出しするのを戒めた言葉。
【例】 「彼女は今機嫌が悪いので、触らぬ神に祟りなしで、近づかない方がいいよ」
63. 触り三百 ( さわりさんびゃく )
うっかり触っただけで、三百文の損をする。
ちょっと口や手を出しただけで思わぬ損をすることがあるから、引っ込んでいた方がよい、という意味。
64. 座を見て皿をねぶれ ( ざをみてさらをねぶれ )
出席している人たちの意見がどのへんにあるかを見きわめてから、それに合うように発言するのがよい、という意味。
65. 山雨来たらんとして風楼に満つ
( さんうきたらんとしてかぜろうにみつ )
事が起ころうとする前に、なんとなく穏やかでない様子がただようこと。
山からにわか雨が降りそうになる時、一陣の風が高楼いっぱいに吹き込んで来るという意味。
66. 三界に垣なし六道に辺なし
( さんがいにかきなしろくどうにほとりなし )
三界へでも六道へでも、各人の心がけ次第でどこへでも行ける。
善因には善果が、悪因には悪果が、必然的に生ずるものだ。
三界とは、欲界・色界・無色界の三つの世界で、これをいっさいの衆生が生死輪廻する。
六道とは、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上で、いっさいの衆生が善悪の業因によって、
必ず行かねばならない六種の迷界。「辺」は境界。
67. 三界の首枷 ( さんがいのくびかせ )
人生の愛着や苦悩におぼれて、逃れることのできないきずな。
【参考】 子は三界の首枷
68. 三顧 ( さんこ )
目上の人が、ある人に仕事を引き受けてほしいと、礼を厚くして頼むこと。
三国時代に、蜀(しょく)の劉備(りゅうび)が諸葛孔明(しょかつこうめい)を三度その草庵(そうあん)に訪ね、軍師として迎えた故事による。
69. 三顧の礼 ( さんこのれい )
目上の人が優れた人に礼を尽くして仕事などを頼むこと。
【参考】 三顧
70. 三国一 ( さんごくいち )
天下第一。日本、唐(中国)、天竺(インド)の三国で全世界を表わす。
【参考】 「三国一の花嫁・花婿」などと使う。
71. 三歳の翁百歳の童子 ( さんさいのおきなひゃくさいのどうじ )
幼少でも思慮分別を備えた人がおり、年をとっても愚かな人もいる。
72. 三舎を避く ( さんしゃをさく )
恐れはばかって相手を避けること。また、相手に一目置くこと。
相手に対して、三日の行程だけ退いて敬意を表する意。
【参考】 「一舎」は、軍隊の一日の行程で三十里(わが国の五里、約20キロメートル)。
73. 山椒は小粒でもぴりりと辛い ( さんしょうはこつぶでもぴりりとからい )
体は小さくても、決して侮れない才覚・手腕・気迫などを備えていることのたとえ。
74. 蚕食 ( さんしょく )
片はしから他国の領土を侵略すること。蚕が桑の葉を食べるようすにたとえた語。
75. 三尺下がって師の影を踏まず
( さんじゃくさがってしのかげをふまず )
先生に随行する時は、先生から三尺後ろに下がって従い、先生の影も踏んではいけない。先生を敬う心掛けを説いた言葉。
もと仏教の作法で、師僧に従って歩く場合の心得であった。
【参考】 「七尺去って師の影を踏まず」ともいう。
76. 傘寿 ( さんじゅ )
八十歳の俗称。「傘」の略字が「八十」に似るからいう。
77. 三十の尻括り ( さんじゅうのしりくくり )
人間も三十になると、しまりができて、堅実な暮らしができるようになる。
78. 三十六計逃げるに如かず ( さんじゅうろっけいにげるにしかず )
数多くの戦略の中でも、自分に分が悪いときは機を見て逃げ出し、身の安全を図るのが最上の策であるという、中国の古代の兵法から、
面倒なことが起こりそうになったら、逃げ出すのが一番いい、ということ。
【参考】 「三十六計走るを上計となす」とも言う。
【例】 「喧嘩に巻き込まれそうになり、三十六計逃げるに如かずと、その場から去った。」
79. 三十六計走るを上計となす
( さんじゅうろっけいはしるをじょうけいとなす )
計略にはいろいろあるが、なんといっても、逃げ出すのが最上の計略だ。
逃げるべき時には逃げて身の安全を図るのがよい、という意味。
【参考】 「三十六計」は、昔の兵法にある三十六種の計略。「三十六計逃げるに如かず」ともいう。
80. 算術者の不身代 ( さんじゅつしゃのふしんだい )
算術(数学)の先生は計算がうまいはずなのに、貧乏して暮らす。
職業と生活が矛盾することのたとえ。