121. 合点承知之助 ( がってんしょうちのすけ )
合点だ、承知した、という語を二つ重ねて人名のようにした語呂合わせのしゃれ。
122. 河童に塩を誂える ( かっぱにしおをあつらえる )
見当ちがいのことのたとえ。
塩は海水からとれるが、海の塩を川に住む河童に頼めば、運ぶうちに川水でとけてしまう。
123. 河童に水練 ( かっぱにすいれん )
泳ぎの上手な河童に泳ぎ方を教えることで、なんの足しにもならない。
不必要なことをする愚かさのたとえ。
124. 河童の川流れ ( かっぱのかわながれ )
泳ぎのうまい河童でも、時には水に流されることもある。名人・達人も時には失敗することもあるという意味。
【類句】 猿も木から落ちる / 弘法も筆の誤り / 上手の手から水が漏る
125. 河童の寒稽古 ( かっぱのかんげいこ )
河童ははだかで水中に住んでいるから寒さは感じない。
苦痛を与えようともなんとも感じないことのたとえ。
寒稽古は寒中の水泳練習。
126. 河童の屁 ( かっぱのへ )
たやすいこと。「木端(こっぱ)の火」がなまったもの。
【参考】 「屁の河童」ともいう。
127. 渇えて死ぬは一人飲んで死ぬは千人
( かつえてしぬはひとりのんでしぬはせんにん )
飢え死にする人は少ないが、酒を飲み過ぎて死ぬ人は多い。
ぜいたくで死ぬ人は多いということ。
128. 勝つことよりも負けぬことを考えよ
( かつことよりもまけぬことをかんがえよ )
勝とう勝とうとするよりも、負けないように心がければ、自然に勝つことになる。
129. 渇に臨みて井を穿つ ( かつにのぞみていをうがつ )
のどが渇いてから井戸を掘る。
事態が差し迫った状態になってからあわてて準備をしても、手遅れで間に合わないことをいう。
【類句】 盗人を見て縄をなう
130. 刮目して見る ( かつもくしてみる )
目を刮(こす)ってよく注意して見ること。
今までとは違った見方で相手の進歩や変化を見直すことをいう。
131. 勝つも負けるも時の運 ( かつもまけるもときのうん )
勝ち負けは、実力だけで決まるものではなく、その時々の運によって左右されることとが多い。
132. 褐を被て玉を懐く ( かつをきてたまをいだく )
知識や才能を人に知られないように隠すこと。
「褐」は、あら布で作った粗末な衣服、「玉」は、立派な才能のたとえ。
みすぼらしい身なりをして、自分の持つ優れた才能を、世間に知られないように隠しているという意味。
133. 勝てば官軍負ければ賊軍 ( かてばかんぐんまければぞくぐん )
何事も勝った者のやったことが正しいとされる、という意味。
【参考】 「勝てば官軍」ともいう。
【類句】 力は正義なり
134. 我田引水 ( がでんいんすい )
他人の迷惑を考えず、自分の田に水を引く意から、自分の都合のよいように強引に事を進めたり話をこじつけたりすること。
135. 瓜田に履を納れず ( かでんにくつをいれず )
瓜の畑で靴がぬげて、かがんで靴を履こうとすると、瓜を盗むと疑われる、ということから、
疑いを受けるような、まぎらわしい行為は避けたほうがよい、というたとえ。
【参考】 「李下に冠を正さず」の句と対になる。
136. 門松は冥土の旅の一里塚 ( かどまつはめいどのたびのいちりづか )
門松は正月を祝うめでたい印であるが、正月を迎えるごとに年を取って死に近づくともいえるので、
門松は死への一里塚のようなものである。「一里塚」は、昔、街道に一里(約四キロ)ごとに土を高く盛り、
榎(えのき)などを植えて里程の目標とした塚。
【参考】 一休和尚(いっきゅうおしょう)の狂歌で「めでたくもありめでたくもなし」と続く。
137. 廉を倒さぬ ( かどをたおさぬ )
器物や衣類などが古くなっても形を崩さない、しっかりしている意から、
人が苦境に立っても、もとの体面を崩さず、格を守り続けること。
【参考】 「角を絶やさぬ」はそのなまり。
138. 門を塞げる ( かどをふさげる )
不義理をして、その家を訪問することが恥ずかしくなって行けなくなること。
139. 鼎の軽重を問う ( かなえのけいちょうをとう )
権力あるものの実力を疑うこと。「鼎」は、古代中国で使われた三本足の大きな金属の釜で、王位や権威の象徴とされた。
楚の壯王が天下を取ろうとする野心があって、無礼にも周王室の宝物である鼎の重さをを尋ねたという故事により、
統治者を軽蔑して、これに代わって天下を取ろうとすることのたとえにいう。
「鼎の軽重を問われる」といえば、実力を再評価される、実力を低く見られる意にも使われる。
140. 鼎の沸くが如し ( かなえのわくがごとし )
鼎の中で湯が煮えたつように、騒がしく乱れる様子。また、議論の沸騰することにもいう。
【参考】 鼎沸
141. 金釘流 ( かなくぎりゅう )
下手な字を、流派のように言った語。
142. 金轡をはめる ( かなぐつわをはめる )
口止めのために賄賂(わいろ)を贈ってしゃべらせない。また、金銭を与えて苦情を言わせないようにすること。
【類句】 金の轡を食(は)ます
143. 悲しき時は身一つ ( かなしきときはみひとつ )
困窮したときは、人は頼りにならない。自分自身にたよるほかはない。
落ちぶれるとだれも寄りつかなくなるものである。
144. 悲しみに悲しみを添うるな ( かなしみにかなしみをそうるな )
失意の人や不幸な人を慰め、死を弔い遺族を慰めるような場合にどのような言葉がよいかは、みな人の迷うところである。
死に面しても涙をみせぬ、取り乱さないのが立派な態度とされているが、それは一種の虚栄心である。
そうした態度を否定してただ嘆きにうちまかせて、「悲しみを増すような弔いをしてはならない」と親鸞は説いている。
145. 金槌の川流れ ( かなづちのかわながれ )
鉄の頭のついた方が水中に沈み、木の柄の方が浮いていることから、頭の上がらないことをいう。
出世の見込みのないたとえ。
146. 叶わぬ時は親を出せ ( かなわぬときはおやをだせ )
言いわけに困ったときに、親を口実に引っぱり出すことが多い。
147. 蟹の念仏 ( かにのねんぶつ )
口の中で何かわからぬことをぶつぶつ言うこと。
148. 蟹の横這い ( かにのよこばい )
蟹の歩き方のように、他から見ると不自由のようでも、当人にとっては自然なことのたとえ。
149. 蟹は甲羅に似せて穴を掘る ( かにはこうらににせてあなをほる )
人はそれぞれ自分に釣り合った考えや行動をするものである、という意味。
150. 鐘鋳るまでの土鋳型 ( かねいるまでのつちいがた )
鐘が鋳あがるまでは鋳型は大事なものだ。目的を達するまでの手段に用いる物のこと。
成功するまでは粗末なものでも我慢しなければならないこと。