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「か」からはじまる ことわざ 4

91. 歌人は居ながらにして名所を知る
  ( かじんはいながらにしてめいしょをしる )

 歌よみは、名所を歌った古歌を知っているために、自分では行ったことのない名所もよく知っている。

92. 佳人薄命 ( かじんはくめい )

 美人は、生まれつき病弱であったり、美しさゆえに運命にもてあそばれたりして、短命や不孝であることが多い、ということ。
 【参考】 「美人薄命」ともいう。
 【類句】 才子多病

93. 鎹思案 ( かすがいじあん )

 二つのことを、どちらもはずすまいとする思案。 二兎を得んとする思案。実現がむずかしいこと。

94. 霞に千鳥 ( かすみにちどり )

 霞は春、千鳥は冬のものなので、それが一緒ではふさわしくない、あり得ないことのたとえ。

95. 苛政は虎よりも猛し ( かせいはとらよりもたけし )

 税金をきびしく取り立てるむごい政治の苦しみは、虎が人を食う害よりもひどい。 舅(しゅうと)も夫も子も虎に殺されながら、むごい税金がないからといって、なお虎の出る土地に住んでいる婦人を見て、孔子が言った言葉。

96. 稼ぐに追いつく貧乏神 ( かせぎにおいつくびんぼうがみ )

 いくら稼いでも、どうしても貧乏から抜け出すことが出来ないという意味。

97. 稼ぐに追いつく貧乏なし ( かせぎにおいつくびんぼうなし )

 不平・不満を抱かず、毎日一生懸命働いていれば、次第に暮らし向きは豊かになるものだということ。
 【例】 「稼ぐに追いつく貧乏なしで、休みも取らずにまじめに働いてきたおかげで、やっと家計にゆとりが出るようになった」

98. 稼ぐ男にくり女 ( かせぐおとこにくりおんな )

 せっせと働く男と、家にあって家計をうまくやりくりする女。 理想的な夫婦をたとえたもの。

99. 風が吹けば桶屋が儲かる ( かぜがふけばおけやがもうかる )

 物事の因果関係が、回り回って意外な結末になることをたとえていう。 大風が吹くと、ほこりが舞い上がって目にはいり、目がつぶれる人が大勢できる。 その人たちが三味線をひいて門付けなどをするので、三味線がたくさん必要になる。 そこで三味線の胴に張るために猫の皮が大量に入用となる。そのため猫を取り尽くしてしまって鼠がはびこる。 鼠がわがもの顔にふるまって食物を入れてある桶をかじる。だから桶屋が繁盛して儲る。

100. 風に順いて呼ぶ ( かぜにしたがいて )

 風下に向かって呼べば、風によって声が遠くまで達するように、勢いに乗じて事をなせば、 すみやかに容易に成功することのたとえ。

101. 風の前の塵 ( かぜのまえのちり )

 風が吹けば塵はどこかえへ吹き飛ばされるところから、もろくはかないことのたとえ。
 【参考】 平家物語の言葉。

102. 風邪は百病の本 ( かぜはひゃくびょうのもと )

 風邪を引くと、あらゆる病気を引き起こす本になるから用心せよ。
 【参考】 「風邪は万病の本」ともいう。

103. 風は吹けども山は動ぜず ( かぜはふけどもやまはどうぜず )

 周囲のさまざまな紛争に少しも動かされず、自若(じじゃく)としていること。 また、周囲の事情や評判に心をとめず、初一念をつらぬくこと。

104. 風待つ露 ( かぜまつつゆ )

 風に吹き落とされる露のはかなくもろいことのたとえ。

105. 風をとらえ影を追う ( かぜをとらえかげをおう )

 手に取ることのできないものを、捕えようとする。

106. 堅い石から火が出る ( かたいいしからひがでる )

 普段温厚な人や慎み深い人も、時には思いきった事をするのをいう。

107. 堅い木は折れる ( かたいきはおれる )

 堅いものは折れやすく、こわれやすい。 やわらかいものはよく耐えるということのたとえ。

108. 堅き氷は霜を踏むより至る ( かたきこおりはしもをふむよりいたる )

 霜が降りればやがて堅い氷が張る寒い冬がやってくる。すべて物事は早めに用意することが必要である。 また、災難は小さなことから次第に大きくなるものであるから、最初のうちに注意せよ、という意味。
 【参考】 『易経(えききょう)』坤卦(こんか)に「霜を踏んで堅氷(けんぴょう)至る」とある。

109. 敵の前より借金の前 ( かたきのまえよりしゃっきんのまえ )

 借金のつらいものであることのたとえ。 金を貸してくれた人を見るとコソコソとわき道にかくれるように、貸した人の前には頭が上がらない。

110. 難きを先にし獲るを後にす ( かたきをさきにしうるをのちにす )

 むずかしい骨の折れる仕事を自ら進んで引き受け、それによる利益のことは問題にしない。

111. 片口きいて公事をわくるな ( かたくちきいてくじをわくるな )

 一方の言い分だけを聞いて訴訟の判決をしてはいけないということ。 賢明な人は原告と被告両者の言うことを聞いてから判定するが、暗愚(あんぐ)な人は一方だけの言い分を聞いて判定する。

112. 片手で錐は揉まれぬ ( かたてできりはもまれぬ )

 心をあわせて協力しなければ、物事はできないことのたとえ。

113. 形見は思いの種 ( かたみはおもいのたね )

 形見の品があると、それが思い出の種となって、かえって苦しい思いをする。

114. 火中の栗を拾う ( かちゅうのくりをひろう )

 他人の利益のために、無理をして危険なことをする。 動機は善意でも、自分に災いがふりかかるようなことをするのは愚かである、という意味。
 【参考】 イソップ物語にある、「猫が猿におだてられて、囲炉裏の中の栗を拾ってやろうとして、大やけどした」 という話に基づく言葉。

115. 隔靴掻痒 ( かっかそうよう )

 思うようにならなくて、非常にもどかしい意。 「靴を隔てて痒きを掻く」とも読み、靴の上からかゆいところをかくようにもどかしいということ。

116. 合従連衡 ( がっしょうれんこう )

 縦の同盟と横の同盟。「従」は縦、「衡」は横。 戦国時代に蘇秦(そしん)が、南北に並んだ趙・魏・韓・燕・斉・楚の六カ国の、 縦の連盟を組織して西方の強国の秦に対抗させようとした外交策を合従といい、 そののち張儀(ちょうぎ)が六カ国を説いて横に秦に服従して、存立を図らせようとした外交策を連衡といった。

117. 渇すれども盗泉の水を飲まず
   ( かっすれどもとうせんのみずをのまず )

 どんなに困窮しても悪いことはしない、というたとえ。孔子が旅行の途中でのどが渇いたが、そこの泉の名が盗泉というので、 たとえ名前だけでも、身が汚れるとしてその水を飲まなかったという故事による。
 【参考】 「渇しても盗泉の水を飲まず」ともいう。

118. 癩の瘡うらみ ( かったいのかさうらみ )

 癩病(らいびょう)患者が梅毒患者をうらやむ。醜い不自由な者同士でも、少しでもよいものをうらやむこと。 どうにもならない愚痴をこぼす意。「うらみ」は「うらやみ」の転。

119. 勝った自慢は負けての後悔 ( かったじまんはまけてのこうかい )

 勝ったときにあまり自慢している者は、負けたときに引っ込みがつかなくなり、 面目がなくて後悔しなければならないこと。自慢は慎めよ。

120. 勝って兜の緒を締めよ ( かってかぶとのおをしめよ )

 戦いに勝っても、勝ちにおごって気を許さないで、心を引き締めよ、という意味。

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