1. 才余りありて識足らず ( さいあまりありてしきたらず )
才気はありあまるほどあるが、残念ながら見識が足りないこと。
2. 歳寒の松柏 ( さいかんのしょうはく )
ほかの草木が枯れしぼんだあとまでも、松柏は強い寒さにも負けないで、
青々として色を変えないことから、困難に堪えて固く節操を守ること。
3. 細工は流流仕上げをご覧じろ
( さいくはりゅうりゅうしあげをごろうじろ )
入念に工夫は凝らしているので、あとは結果をご覧下さい、という意味で、
自分の施した細工・工夫に大して自信満々であることを誇示する言葉。
【例】 「仕掛け花火の設置は完了した。細工は流流仕上げをご覧じろというわけだ」
4. 歳月人を待たず ( さいげつひとをまたず )
年月の流れは非常に速くて人を待ってくれないから、今という時を大切にして努力せよ、ということ。
【参考】 「時は人を待たず」ともいう。
【参考】 Time and tide wait for no man.
【類句】 盛年重ねて来たらず / 光陰矢の如し
5. 細行を矜まざれば終に大徳を累わす
( さいこうをつつしまざればついにたいとくをわずらわす )
ちょっとした行ないをつつしまないと、ついには大きな徳に影響を及ぼすことにもなる。
6. 菜根を噛み得ば百事做すべし ( さいこんをかみえばひゃくじなすべし )
粗食にたえ、困難をしのべば、万事に成功することができる。
7. 最後に笑う者の笑いが最上
( さいごにわらうもののわらいがさいじょう )
あまりに気早に喜んではいけない。
「始めの勝ちはくそ勝ち」というくらいで、最後の勝利を収めた者が快心の笑いを漏らすものである、という意味。
【参考】 He laughs best who laughs last.
8. 才子才に倒れる ( さいしさいにたおれる )
才能にすぐれた人は、自分の才能に頼りすぎてかえって失敗する、という意味。
9. 才子多病 ( さいしたびょう )
天才的な才能のある人は神経が鋭いが、肉体がそれについて行けず、とかく病気がちである、という意味。
【類句】 佳人薄命
10. 采薪の憂い ( さいしんのうれい )
自分の病気をへりくだっていう語。薪をとって来たその疲労のための病気。
一説に病気で薪をとりに行けない意ともいう。
【参考】 『礼記(らいき)』曲礼(きょくらい)下には「負薪の憂い」とある。
11. 材大なれば用を為し難し ( ざいだいなればようをなしがたし )
人物が大きいと世に用いられない。
材木が大きすぎると利用されにくい、ということから、世に用いられないのは、偉すぎるからで悲しむにはあたらない、という意味。
12. 采は投げられた ( さいはなげられた )
一度こうしようと決め、実行に移した以上、最後までやり抜くほかはない、ということ。
【参考】 「采」はさいころの意。「賽」とも書く。シーザーがルビコン川を渡る時に言ったといわれる言葉。
【例】 「采は投げられたのだから、このプロジェクトは成功させるしかない」
13. 財布が軽けりゃ心が重い ( さいふがかるけりゃこころがおもい )
金がなければ心はゆううつである、という意味。
【参考】 「財布重けりゃ心が軽い」「財少なければ悲しみ少なし」などという語もある。
【参考】 A light purse makes a heavy heart. の訳語。
14. 財布の紐が長い ( さいふのひもがながい )
ひもが長いので、なかなか財布から金が出ないことから、けちで金を出ししぶるたとえ。
15. 財布の紐が緩む ( さいふのひもがゆるむ )
購買欲にかられたり気が大きくなったりして、つい無駄遣いをしてしまうこと。
【例】 「海外旅行でブランドものを見ると、ついつい財布の紐が緩んで大量買いしてしまう」
16. 財布の紐を首に掛けんよりは心に掛けよ
( さいふのひもをくびにかけんよりはこころにかけよ )
金を盗まれないように用心するより、無駄遣いしないように注意せよ、という意味。
17. 財宝は地獄の家苞 ( ざいほうはじごくのいえづと )
金や宝を貯えても、結局はあの世への土産となるにすぎない。蓄財も、考えてみればむなしいものだ、という意味。
18. 財宝は身の敵 ( ざいほうはみのかたき )
財宝をもったためにかえって身を誤ることが多いのをいう。
【類句】 璧を懐いて罪あり
19. 竿の先に鈴 ( さおのさきにすず )
おしゃべりの人の形容。釣竿などの先に鈴をつけると、よく揺れて鳴りっぱなしである。
おしゃべりはしゃべり出したら止まらないからいう。
【類句】 笹の葉に鈴
20. 杯に推参なし ( さかずきにすいさんなし )
杯をすすめるのに、身分の上下はない、相手の身分が高くても遠慮はいらない。
酒席は無礼講である、という意味。
21. 魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ
( さかなはとのさまにやかせよもちはこじきにやかせよ )
魚を焼くときには、何度もいじると身がくずれるから、殿様のようなおおような人がよい。
餅はたえずひっくり返してこがさないようにしなければならないから、乞食のようにがつがつした人が適任である。
魚と餅の上手な焼き方と、何をするにも適任者をえらぶ必要があるということのたとえ。
【類句】 柿の皮は乞食に剥かせ瓜の皮は大名に剥かせよ
22. 酒屋へ三里豆腐屋へ二里 ( さかやへさんりとうふやへにり )
いなかの不便な土地のたとえ。
23. 先立つ物は金 ( さきだつものはかね )
何をするにも、まず金が必要であることをいう。
24. 先んずれば人を制す ( さきんずればひとをせいす )
人より先に物事を行えば他人を押さえて有利になるが、遅れると人に押さえられて不利になる、ということから、
先手を打つことが肝要である、という意味。
25. 鷺を烏 ( さぎをからす )
白いものを黒だと言い張る。明らかに事実と違っていることを、いろいろとこじつけて言いくるめること。
【参考】 「鷺を烏と言いくるめる」ともいう。
26. 策士策に溺れる ( さくしさくにおぼれる )
駆け引きのうまい人は、あまり自分の策略に頼りすぎて、かえって失敗する。
27. 桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿 ( さくらきるばかうめきらぬばか )
桜と梅の剪定法を教える言葉。桜は枝や幹を切るとそこから腐りやすいので切ってはいけないが、
梅は切らないとむだな枝が伸びて翌年花が咲かなくなる。