1. 糠に釘 ( ぬかにくぎ )
米糠に釘を打ち込むのと同じように、全然きかないこと。いくら意見しても、少しもその効果がないことなどにいう。
【例】 「彼女にお願いしても糠に釘で、まったくやってくれない」
【類句】 豆腐に鎹 / 暖簾に腕押し
2. 糠味噌が腐る ( ぬかみそがくさる )
聞くに耐えないほど歌が下手だということをからかって、また自ら謙遜していう時の言葉。
【例】 「彼女はカラオケ好きだが、糠味噌が腐りそうなほどの実力だ」
3. 糠喜び ( ぬかよろこび )
何のかいもない喜び。無益の喜び。喜び損のこと。
4. 抜き差しならぬ ( ぬきさしならぬ )
事態が深刻になり、どうしようもなくなる様子。
【例】 「気楽に考えていたが、抜き差しならぬ事態になってしまった」
5. 抜きつ抜かれつ ( ぬきつぬかれつ )
力の伯仲する者が、互いに優位に立とうと、激しく争う様子。
【例】 「今年の日本シリーズは、抜きつ抜かれつの手に汗握る戦いだった」
6. 抜け駆けの功名 ( ぬけがけのこうみょう )
戦場で、密かに陣地を抜け出し、敵を攻めて手柄を立てる、ということから、
競争相手に知られないうちに事に着手し、勝利や成功を得ること。
【例】 「今回の新商品は抜け駆けの功名で、他社に比べ断トツの売り上げになった」
7. 抜け鞘持たん ( ぬけさやもたん )
抜いた刀の鞘を持つということで、さあ早く戦えということ。
しかし、後楯は引き受けたというわけで助勢すること。
8. 抜け目がない ( ぬけめがない )
他人はどうあれ、自分だけは得をしようと気を配り、要領よく振る舞う様子。
【例】 「彼は普段優しいが、あれでなかなか抜け目がない奴だ」
9. 抜けるよう ( ぬけるよう )
空がすっかり晴れ渡り、青く澄み切って美しい様子。また、肌がたいへん白く美しい様子。
【例】 「今日は抜けるような青空の下で公園を散歩した」
10. 盗人猛々しい ( ぬすっとたけだけしい )
悪いことをしながら平然としていて、とがめられると逆に相手に食ってかかったりする様子を非難して言う言葉。
【例】 「人のものを食べておいて、すぐ食べないからだとは、盗っ人猛々しい」
11. 盗人上戸 ( ぬすびとじょうご )
甘い菓子も酒も両方とも好きな人をいう。両刀使い。また、いくら酒を飲んでも顔や態度に出ない人をいう。
12. 盗人と知者の相は同じ ( ぬすびととちしゃのそうはおなじ )
人は顔つきを見ただけではわからないということ。
盗人も徳を積んだ高僧も人相は同じだということ。
13. 盗人に追銭 ( ぬすびとにおいせん )
泥棒に金を取られたうえ、帰りの足代として更に金をやる。
自分に害を加える相手に利益を与え、損の上に損を重ねるような愚かな行為をいう。
【参考】 「泥棒に追銭」ともいう。
14. 盗人に鍵を預ける ( ぬすびとにかぎをあずける )
悪人とは知らないで、かえって悪事の便宜を与えるという意味。
【参考】 「盗人に鍵」ともいう。
15. 盗人にも三分の理 ( ぬすびとにもさんぶのり )
盗人にも、盗みを正当化する少しの理屈はあるものである。どんなことでも理屈は何とか付けられる、という意味。
【参考】 「泥棒にも三分の理」ともいう。
16. 盗人にも仁義 ( ぬすびとにもじんぎ )
盗人の仲間でさえ礼儀があること。
17. 盗人の隙はあれども守り手の隙なし
( ぬすびとのすきはあれどもまもりてのすきなし )
盗人は人のすきをねらって盗むのだが、いつも人のすきをねらっていなければならないことはなく、
休もうと思えばいつでも休める。
18. 盗人の取り残しはあれど火の取り残しはなし
( ぬすびとのとりのこしはあれどひのとりのこしはなし )
盗難はどんなに沢山取られることがあっても少しは助かるが、
火事の場合は丸焼けになり、盗難よりも火災のほうが恐ろしいこと。
19. 盗人の昼寝 ( ぬすびとのひるね )
盗人が、夜かせぐために昼のうちに寝ておくこと。何気ないふりをしているが、実はちゃんと目的がある、という意味。
20. 盗人も戸締まり ( ぬすびともとじまり )
盗人もわが家の戸締まりはする。人の物をとる泥棒も自分の家は守るのである。戸締まりはよくせよということ。
21. 盗人を捕らえてみれば我が子なり
( ぬすびとをとらえてみればわがこなり )
事が意外でどう処理してよいか苦しむ。また、身近の者であっても油断してはいけない、という意味。
22. 盗人を見て縄をなう ( ぬすびとをみてなわをなう )
事が起こってから、慌てて対策を考える意で、事前の準備を怠っていては、いざという時に間に合わないということ。
【参考】 「盗人を捕らえて縄をなう」「泥棒を見て縄をなう」「泥棒を捕らえて縄をなう」などともいう。
【例】 「明日出発なのに今から用意するなんて、盗人を見て縄をなうようなものだ」
【類句】 戦を見て矢を矧ぐ / 敵を見て矢を矧ぐ
23. ぬるま湯につかる ( ぬるまゆにつかる )
これといった不快な刺激を受けることもなく居心地がいいので、その環境に甘んじてのんきにしている。
【例】 「今春から社会人なのだから、ぬるま湯につかったよう生活はやめなさい」
24. 濡れ衣を着せられる ( ぬれぎぬをきせられる )
「濡れ衣」は無実の罪の意で、策略にはまり、無実の罪を負わされる、という意味。
【例】 「たまたまそこに居たというだけで、濡れ衣を着せられた」
25. 濡れ手に粟 ( ぬれてにあわ )
濡れた手で粟を掴むと、粟粒がくっついてたくさん掴めることから、苦労しないで多くの利益を得ることをいう。
【参考】 「濡れ手で粟の掴み取り」ともいう。
【類句】 一攫千金
26. 濡れぬ先こそ露をも厭え ( ぬれぬさきこそつゆをもいとえ )
濡れないうちは草の露に触れることさえいやがるが、いったん濡れてしまえば、いくら濡れてもかまわなくなる。
男女の間でも、一線を越えてしまえば、あとはずるずると深みにはまる。また、いったん過ちを犯してしまうと、
もっとひどいことでも平気でするようになる、という意味。
27. 濡れぬさきの傘 ( ぬれぬさきのかさ )
雨にぬれないさきに傘を用意するというので、手回しのよいこと。用心のよいことをいう。