1. 威あって猛からず ( いあってたけからず )
威厳はあるが、たけだけしくない。人格者にとって必要な態度を示したもの。
2. いい後は悪い ( いいあとはわるい )
よいことのあった後には、悪いことがありがちである。
いいことばかりで調子づいている者への戒め。
3. 言い勝ち功名 ( いいがちこうみょう )
しゃべりまくる者が勝つ。黙っていてはよい意見も通らなくなるたとえ。
4. 言いたい事は明日言え ( いいたいことはあすいえ )
思ったことをすぐ言わないで、一夜考えてから言えば失敗がないということ。
とくに興奮しているときなど注意が必要。
5. 唯唯諾諾 ( いいだくだく )
事の是非にかかわらず、ただ、はいはいと言って人の意見に従うこと。
6. 言うは易く行なうは難し ( いうはやすくおこなうはかたし )
口で言うだけなら誰でも出来るが、それを実行することはむずかしいものだという意味。
【参考】 Easier said than done.
7. 家柄より芋茎 ( いえがらよりいもがら )
落ちぶれても家柄を自慢する者をあざけったことば。家柄よりも、食べられる芋茎の方が値打ちがあるという意味。
8. 家給し人足る ( いえきゅうしひとたる )
家も人もじゅうぶんにあって、富み栄えていること。
9. 家に杖つく頃 ( いえにつえつくころ )
五十歳のころをいう。昔、五十歳になれば屋敷内で杖をつくことが認められた。
10. 家に無くてならぬものは上框と女房
( いえになくてならぬものはあがりかまちとにょうぼう )
家庭には主婦がいなくてはならぬものであること。
上框は上り口の床の端の横木で、これのない家はない。
11. 家貧しくして孝子顕る ( いえまずしくしてこうしあらわる )
恵まれた家庭では子供の親孝行が目につかないが、貧乏であると、子供の孝行がはっきりとわかる。
12. 家貧しくして良妻を思う ( いえまずしくしてりょうさいをおもう )
貧乏になると、良い妻の内助の功の必要を痛感する。
13. 家を移して妻を忘る ( いえをうつしてつまをわする )
移転して妻を置き忘れた、うかつな人のたとえ。
14. 烏賊の甲より年の劫 ( いかのこうよりとしのこう )
イカの甲は役に立たないが、年とった人の経験は大切なものだ。
老人の忠言を軽んじてはいけない。
【類句】 亀の甲より年の劫
15. 怒りは敵と思え ( いかりはてきとおもえ )
腹を立てることは、必ず他人の怒りや恨みを招くことになる。
自分を滅ぼす敵と思って怒りを慎めよという戒め。
16. 怒りを遷さず ( いかりをうつさず )
八つ当たりをしない。怒った気持ちを関係のない者に向けるようなことはしない。
17. 怒れる拳笑顔に当たらず ( いかれるこぶしえがおにあたらず )
怒ってふりあげたげんこつも、笑顔で応対されては打ち下ろせない。
18. 毬栗もうちから破れる ( いがぐりもうちからわれる )
時期がくれば毬栗が自然に破れるように、人間も年頃になればひとりでに色気付くということ。
19. 生き馬の目を抜く ( いきうまのめをぬく )
生きている馬の目玉を抜き取る、という意味から、他人を出し抜いて、すばしこく利益を得ることのたとえ。
【例】 「生き馬の目を抜く行動により、会社で昇進していった」
20. 行きがけの駄賃 ( いきがけのだちん )
何かをするついでに他のことをすること。また、そうして利益を得ること。
【類句】 往きがけの駄賃
21. 生二両に死五両 ( いきにりょうにしにごりょう )
生産に二両、葬式に五両の入費がかかることから、
この世の中は生まれても死んでも金がかかる、ということのたとえ。
22. 生き身は死に身 ( いきみはしにみ )
生きている者は、一度は必ず死ぬものである。
【類句】 生者必滅
23. 衣錦の栄 ( いきんのえい )
立身出世して故郷に帰る栄誉。
【参考】 錦を着て郷に還る
24. 戦を見て矢を矧ぐ ( いくさをみてやをはぐ )
事が起こってから急いで準備をするたとえ。
【類句】 盗人を見て縄をなう
25. 異口同音 ( いくどうおん )
多くの人が、口をそろえて同じことをいう。
皆の意見が一致すること。口は違うが声が同じ、という意味。
【注意】 「異句同音」と書くのは誤り。
26. 生簀の鯉 ( いけすのこい )
死ぬべき運命にある身のたとえ。いけすに飼われている鯉は、いずれ料理される運命にあるということ。
【参考】 「生簀の魚(うお)」ともいう。
27. 意見と餅はつく程練れる ( いけんともちはつくほどねれる )
餅はつけばつくほどよく練れるように、人の意見も聞けば聞くほど利するところが多い。
28. 韋弦の佩 ( いげんのはい )
自分の性質の欠点を直すために努力すること。
西門豹(せいもんひょう)は自分のせっかちな性質を直す手段として、いつも柔軟な韋(なめし皮)を腰に帯び、
董安干(とうあんう)は自分ののんびりした性質を直すために、いつもぴんと張る弓の弦を身につけていたという。
29. 諍果てての契り ( いさかいはててのちぎり )
けんかがすんでから、仲がよくなること。次の言葉の転じたもの。
30. 諍い果てての乳切木 ( いさかいはててのちぎりぎ )
乳切木は、両端を太く中央をやや細くけずった棒で物をになうためのもの。時機を逸して役に立たないことの意。