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「い」からはじまる ことわざ 3

61. いずれ菖蒲か杜若 ( いずれあやめかかきつばた )

 菖蒲と杜若とは、よく似た花で美しい。美しく並んだ花は、どれが菖蒲でどれが杜若か、区別がつかない。 どちらも良くて選択に迷うたとえ。

62. 何れを見ても山家育ち ( いずれをみてもやまがそだち )

 大勢いるが、どちらを見ても田舎育ちで、上品そうな顔立ちは一人もいない。
 【参考】 歌舞伎の「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」から出た語。

63. 伊勢へ七度熊野へ三度 ( いせへななたびくまのへさんど )

 あちこちの寺社へ何度も信心参りをする。信心の厚いことをいう。
 【参考】 伊勢は三重県の伊勢神宮、熊野は和歌山県の熊野三社をさす。

64. 葦巣の悔 ( いそうのくい )

 住居が不安定なために心配のこと。 水辺のあしに巣をつくる鳥が風や水でいつも危険にさらされた生活をしている事からいう。

65. 急がば回れ ( いそがばまわれ )

 急ぐ時には危険な近道を通るよりも、遠くても安全な道を回るほうが、結局は早く目的地に着く、ということから、 物事はあわてずに着実な手段を選んで行わなければいけないという戒めの言葉。
 【参考】 Make haste slowly.
 【例】 「早く上級コースにいきたいが、急がば回れで基本から練習している」

66. 急ぎの文は静かに書け ( いそぎのふみはしずかにかけ )

 急ぎの手紙ほど大切な用件である場合が多いものであるから、 書き誤りや書き落としのないように落ち着いて書かなければならない。

67. 磯の鮑の片思い ( いそのあわびのかたおもい )

 鮑は片貝(貝殻が一枚)で、ただ磯にへばり着いているだけである。 そのように、こちらが先方を恋するだけで、相手は何とも思っていないことのたとえ。
 【参考】 「鮑の片思い」「貝の片思い」ともいう。

68. 痛い上の針 ( いたいうえのはり )

 悪いことの上にさらに悪いことが重なること。
 【類句】 泣きっ面に蜂 / 弱り目に祟り目

69. 痛くもない腹を探られる ( いたくもないはらをさぐられる )

 腹痛でもないのに、痛い箇所はここかあそこかと探られる。身に覚えの無いのに疑われること。

70. 板子一枚下は地獄 ( いたごいちまいしたはじごく )

 船乗り業の危険なことをいう。「板子」は、和船の底にある上げ板。 板子の下は船底、その船底の下は海で、船乗りは海のまっただ中で、浪任せ風任せの仕事をしている。

71. 戴く物は夏も小袖 ( いただくものはなつもこそで )

 暑い夏には着ることもない小袖(絹の綿入れ)であっても、人からもらうものなら何でも辞退しない。欲の深いことのたとえ。
 【参考】 「貰う物は夏も小袖」ともいう。

72. 鼬のなき間の貂誇り ( いたちなきまのてんぼこり )

 鼬のいない所で貂(鼬の一種)が威張る。自分より強い者がいない所で大いに威張ること。
 【類句】 鳥無き里の蝙蝠

73. 鼬になり貂になり ( いたちになりてんになり )

 手をかえ品をかえ、いろいろやってみること。
 【参考】 テンはイタチ科の小獣。

74. 鼬の最後っ屁 ( いたちのさいごっぺ )

 鼬が敵に追われた時、悪臭を放って逃げることから、苦し紛れにとる非常手段。

75. 鼬の道 ( いたちのみち )

 交際や音信が絶えること。鼬は同じ道を二度通らないと言い伝えられるところから、 鼬が人の前を横切ることは、交際が耐える不吉な前兆であるという俗信がある。
 【参考】 「鼬の道切り」ともいう。

76. 痛む上に塩を塗る ( いたむうえにしおをぬる )

 悪いことの上に悪いことが積み重なる。
 【類句】 泣きっ面に蜂 / 弱り目に祟り目

77. 異端 ( いたん )

 その世界や時代で、正統と考えられている信仰や思想からはずれているもの。 聖人の教えと端緒(出発点)を異にする学問・学説をさす。

78. 韋駄天 ( いだてん )

 猛烈な勢いで走る人。もともと、仏法守護の神の名で、足が速く、よく走ったという。
 【参考】 「韋駄天走り」と使う。

79. 一衣帯水 ( いちいたいすい )

 一筋の帯のように狭い川。海峡などについても言う。

80. 一押し二金三男 ( いちおしにかねさんおとこ )

 女性を獲得するには、第一に押しが強いことが必要で、金があることや男前のよいことは、二の次三の次である。
 【類句】 押しの一手

81. 一か八か ( いちかばちか )

 もともと、ばくち打ちの用語で、うまくいくかどうか予想の立たぬことを、運を天に任せて思い切ってやってみる様子。
 【例】 「有り金全部をかけて、一か八かの大勝負に出る」

82. 一議に及ばず ( いちぎにおよばず )

 あれこれ議論する必要はない。 待ち望んでいた事柄が持ちこまれた場合などによく使われる語。

83. 一芸に名あれば世に遊ぶ事なし
  ( いちげいになあればよにあそぶことなし )

 一芸に熟達していれば、食いはぐれることはない。

84. 一期一会 ( いちごいちえ )

 茶の湯で、一生に一度の出会いを表わす語で、一生に一度しかめぐり会える機会がないものと心得て、 何かとの出会いを大切にすべきである、という戒めの言葉。

85. 一合取っても武士は武士 ( いちごうとってもぶしはぶし )

 たとえ縁は少なくても武士は武士の本分があり誇りがある、百姓とはちがうということ。

86. 一毫の差千里の差となる ( いちごうのさせんりのさとなる )

 たとえわずかの差ではずれても、はずれたのはやはりはずれたのである。 一点の差で不合格になっても、不合格は不合格である、という意味。

87. 一事が成れば万事成る ( いちじがなればばんじなる )

 よいことにはよいことが重なり続くという意味。

88. 一字千金 ( いちじせんきん )

 詩や文章のすぐれているのをほめる語。一字の価値が千金に相当するという意味。 秦の呂不韋(りょふい)が『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』を著したとき、一字でも増損できる者があったならば、 千金を与えると懸賞を出した故事による。

89. 一日三秋 ( いちじつさんしゅう )

 非常に、思い慕うこと。わずか一日会わないと、三年も会わないように感じられて待ち遠しい。
 【参考】 「三秋」は三度の秋で、三年の意。「一日千秋(いちじつせんしゅう)」ともいう。

90. 一日作さざれば百日食わず ( いちじつなさざればひゃくにちくわず )

 農民が忙しい時に一日仕事を休めば、百日分の食糧がなくなるということ。 趙の粛公が国内を巡遊しようとしたとき宰相が今は農繁期だからと言ってこれをやめさせた故事。

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