151. 一朝一夕 ( いっちょういっせき )
わずかの時日。ひとあさか、いとばん。一日か二日の意。
152. 一朝の患 ( いっちょうのうれい )
突然ふりかかった心配事。突然の災難。
153. 一丁字を識らず ( いっていじをしらず )
無学文盲の意。「一丁」は「一个(一箇のこと)」が誤ったもの、一個の文字も知らないということから。
154. 一擲千金 ( いってきせんきん )
思いきりよく大胆なことをする。惜しげもなく一度に大金を投げ出して、勝負にかけること。
155. 一頭地を抜く ( いっとうちをぬく )
他の人よりも一段と優れている意。人々の上に頭をぐっと出しているということ。
156. 一刀両断 ( いっとうりょうだん )
思いきりよく、ずばりと物事を解決する。決断のすみやかなさま。
一太刀で真っ二つに切ってしまうことから。
【類句】 快刀乱麻を断つ
157. 一時違えば三里の遅れ ( いっときちがえばさんりのおくれ )
一時は、約二時間。二時間出遅れると、先に出た人に三里も遅れてしまう。
158. 一敗地に塗る ( いっぱいちにまみる )
再起不能なほど徹底的に大敗する意。完全に負けて、死体の内蔵が泥まみれになる。
【参考】 「一敗地に塗れる」とも。
159. 一髪千鈞を引く ( いっぱつせんきんをひく )
非常に危険なこと。一本の髪の毛で、三千斤の重いものを引っ張る意。
【参考】 「一鈞」は三十斤(約6.68キログラム)。
160. 一飯の徳も必ず償い睚眥の怨も必ず報ゆ
( いっぱんのとくもかならずつぐないがいさいのうらみもかならずむくゆ )
人から受けた恩と恨みは必ず返す意。「睚眥」は、目を怒らせてにらむこと。
一度食事を振る舞われたぐらいの小さい恩にも必ずお返しし、ちょっとにらまれたぐらいの恨みにも必ず仕返しした。
161. 一斑を見て全豹を卜す ( いっぱんをみてぜんぴょうをぼくす )
物事のごく一部分から全体を推察する意。
豹の皮の一つの模様を見ただけで、豹の全体の美しさを推量すること。
【参考】 「斑」は、まだら、ぶち。
【類句】 蛇首を見て長短を知る
162. 一匹狂えば千匹の馬も狂う
( いっぴきくるえばせんびきのうまもくるう )
群衆はわずかの暗示にもたやすく動かされること。付和雷同する群集心理をいう。
163. 一夫関に当たれば万夫も開くなし
( いっぷかんにあたればばんぷもひらくなし )
要害堅固な地。険しい地勢のところに関所があるので、一人の男が関所を守れば、
万人の兵が攻めても陥落させることができない。守るにやすく攻めるに難い、極めて険しい地形、という意味。
164. 一辺倒 ( いっぺんとう )
ある一方だけに傾いてしまう。一つのことだけに執着する。
165. 溢美の言 ( いつびのげん )
ほめ過ぎの言葉。「溢」は、度を越すという意味。
166. いつまでもあると思うな親と金
( いつまでもあるとおもうなおやとかね )
いつまでも親の頼りにしていてはいけない。
そしてまた、倹約を心がけ不時の用意をしておくことが大切であるという戒め。
167. 何時も月夜に米の飯 ( いつもつきよにこめのめし )
いつも月夜と米の飯がつづけば万歳であるが、そうはいかないものであること。
また、いつまでつづいても飽きないこと。
168. いつも柳の下にどじょうはおらぬ
( いつもやなぎのしたにどじょうはおらぬ )
一度そこにいたからといって、いつも同じ柳の木の下にどじょうがいるわけではない。
そのことで一度味を占めたからといって、それをすればいつも同じようなうまいことがあるとは限らない、という意味。
169. 乙夜の覧 ( いつやのらん )
天子の読書。天子は夜まで政務を執り、乙夜(午後九時から十一時)になってから読書した。
170. 偽りの頭に宿る神あり ( いつわりのこうべにやどるかみあり )
神は正直の頭に宿るものと思ったらまちがいだ。
うそを言って金をもうける商人にも宿る神があるということ。
171. 佚を以て労を待つ ( いつをもってろうをまつ )
孫子の説いた必勝法。こちらは動かず、休養して英気を養い、遠方から攻めてくる疲れ切った敵を迎え討つ。
【参考】 「佚」はゆったりする意。
172. 井出の下帯 ( いでのしたおび )
男女が一度別れてから、再びめぐりあって契りを結ぶこと。
山城の一国(京都府)井出の里で、通りかかりの男が帯を取って女に与えたのを、
女は長く忘れず男を待っていて、ついに縁を結んだ大和物語の故事による。
173. 従兄弟同士は鴨の味 ( いとこどうしはかものあじ )
いとこ同士の夫婦仲は、鴨の味のようによい味。仲のむつまじいこと。
174. 井戸の端の童 ( いどのはたのわらべ )
危険なことのたとえ。いつ落ちるかわからないことから。
175. 田舎に京あり ( いなかにきょうあり )
田舎にもにぎやかなところもあれば、みやびたところもある。ばかにしたものではない。
【参考】 「京に田舎あり」と続く。「田舎に名所あり」ともいう。
176. 田舎の学問より京の昼寝 ( いなかのがくもんよりきょうのひるね )
田舎にいて学問をしてもたかが知れている、それよりも都会にいて昼寝をする方が深い見識を身に付けることができる、という意味。
177. 稲荷の前の昼盗人 ( いなりのまえのひるぬすびと )
神罰をおそれぬ悪人のずうずうしさのたとえ。
昼日中神社の前で人の物を盗み、神社の賽銭箱をあらしても平気でいる。
178. 往に跡へ行くとも死に跡へ行くな
( いにあとへいくともしにあとへゆくな )
妻を離別したあとへ後妻に嫁ぐのはよいが、死別したあとへは行くものではない。
死んだ妻の美点ばかり追憶して比較されるから。
179. 井に座して天を観る ( いにざしててんをみる )
井戸の底から天を見る意で、見解のせまいこと。
また、自分のせまい見識をもっていたずらに他をそしること。
【類句】 管を以て天を窺う / 葦の髄から天のぞく / 管の穴から天を覗く
180. 犬一代に狸一匹 ( いぬいちだいにたぬきいっぴき )
よいチャンスにはなかなか出会えないたとえ。
犬の一生に狸のような大きな獲物をとるのは一度くらいだ。