1. 追従も世渡り ( ついしょうもよわたり )
世の中をうまく渡るには、時にはへつらいおべっかを言わなければならないこともあるということ。
2. 朔日ごとに餅は食えぬ ( ついたちごとにもちはくえぬ )
世の中は、いつもよいことばかりではない。
ついたちに餅が出たからといって、毎月のついたちに餅が出るとは限らない。
【類句】 いつも柳の下にどじょうはおらぬ
3. つうと言えばかあ ( つうといえばかあ )
互いに気心が知れていて、ひとこと言えば相手にすぐその話の内容が通じる様子。
【参考】 略して「つうかあ」ともいう。
【例】 「結婚して20年経ち、つうと言えばかあの仲になった」
4. 杖に縋るとも人に縋るな ( つえにすがるともひとにすがるな )
みだりに人をたよるなという戒め。
5. 杖の下に回る犬は打てぬ ( つえのしたにまわるいぬはうてぬ )
懐いていてすがってくるものには、むごい仕打ちはできない、という意味。
【類句】 尾を振る犬は叩かれず / 袖の下に回る子は打たれぬ
6. 杖柱と頼む ( つえはしらとたのむ )
非常に頼みとすることのたとえ。
7. 杖ほど掛かる子はいない ( つえほどかかるこはいない )
老人にとって、杖ほどにも頼みになる子供がいない。
杖のほうが子よりもたよりになる、つまり頼みがいのある子供の得がたいことのたとえ。
8. 使う者は使われる ( つかうものはつかわれる )
人を使う者は、かえって人に使われているようである。
人に仕事をしてもらうには、それに伴っていろいろと心を使わなければならないことが多く、苦労が絶えない。
9. 使っている鍬は光る ( つかっているくわはひかる )
人は自分の仕事に精出しているときが、いちばん生き生きとして、美しく見えるものだ。
10. 月明らかに星稀なり ( つきあきらかにほしまれなり )
月の光におおわれて、星がまばらに見える。
転じて、大賢の出現によって、小人がけずられることのたとえ。
魏の曹操が、蜀の劉備の敗走したのをそしった言葉。
11. 月とスッポン ( つきとすっぽん )
月とスッポンはどちらも丸いが、全く異質なものであることから、二つのものの違いが非常に大きい様子。
【例】 「同じ誕生日なのに、月とスッポンほど性格が違う」
12. 月に叢雲花に風 ( つきにむらくもはなにかぜ )
名月には雲が、桜の花には風が、その観賞のじゃまをする。
この世の中のよいことにはとかく邪魔が入りやすく、思うにまかせないことが多い、という意。
【類句】 好事魔多し
13. 月の前の灯 ( つきのまえのともしび )
名月と比較されたのではろうそくの光はみじめなもの。
立派な物に比較されて、引き立たないことのたとえ。けおされて、見るかげもないもののたとえ。
14. 月日変われば気も変わる ( つきひかわればきもかわる )
月日がたてば、人の気持ちも考え方もかわるものだ。
15. 月日に関守なし ( つきひにせきもりなし )
月日には、その運行を止める関所番はいない。月日の経つのは早い、という意味。
【類句】 光陰矢の如し
16. 月日の鼠 ( つきひのねずみ )
月日の過ぎゆくことをいう。仏説によると、人が象に追われて、木の根を伝わって井戸の中に隠れたところ、
四匹の毒蛇がかもうとし、また黒白二匹の鼠がいて、かわるがわるこの根をかじろうとするというので、
象は無常に、鼠は日月に、毒蛇は地・水・火・風にたとえるところから。
【参考】 単に「月の鼠」ということもある。
17. 月満つれば則ち虧く ( つきみつればすなわちかく )
物事は盛んになれば、やがては衰えるものである、というたとえ。
月は満月になると、やがて次第に欠けて細くなってゆく。物事は盛りに達すれば、やがては衰えるものである。
18. 月夜に釜をぬかれる ( つきよにかまをぬかれる )
明るい月夜に釜を盗まれる。油断のはなはだしいたとえ。
19. 月夜に提灯 ( つきよにちょうちん )
道も明るい月夜に提灯をともす。不必要でむだなこと。また、ぼんやりしてはっきりしないことをあらわす。
20. 月夜に提灯も外聞 ( つきよにちょうちんもがいぶん )
実際には不必要だが、世間体のためには必要なこともあるとのたとえ。
21. 月夜の蟹 ( つきよのかに )
月夜のかにには身が少ないというところから、頭の足らない人のことをいう。
22. 月を指させば指を認む ( つきをゆびさせばゆびをみとむ )
月を指でさして教えると、教えられた人は月を見ないでその指を見る。
道理を説明しても、文字や言葉にこだわってその本質を理解しようとしない、という意味。
23. 付け焼刃はなまり易い ( つけやきばはなまりやすい )
一時のごまかしは長くはつづかない。やがてぼろを出すものだ。
「付け焼刃」は、なまくら刀に鋼の焼刃だけを付け足したもの。
24. 土仏の水遊び ( つちぼとけのみずあそび )
土でつくった仏像が、水遊びをすれば、やがて溶けてしまう。
無知で、目前に危険が迫っているのを知らないたとえ、みずからわざわいを招いて身を滅ぼすたとえ。
25. 鼓を鳴らして攻む ( つづみをならしてせむ )
大きな声で公然と非難する。その罪を大きく言いたてて攻撃する。
26. 綱渡りより世渡り ( つなわたりよりよわたり )
綱渡りより世渡りのほうがむずかしい、ということ。
27. 常に来る客は歓迎されず ( つねにくるきゃくはかんげいされず )
たまに来てこそお客様として歓待されるが、いつも来る客はいい顔をされない。