28. 角を矯めて牛を殺す ( つのをためてうしをころす )
角の曲りを直そうとして、牛を殺してしまうようなことから、少しの欠点を直そうとして、かえってそのものをダメにしてしまうことのたとえ。
つまらぬ末端の事柄にこだわって肝心な根本をそこなうこと。
29. 燕の幕上に巣くうがごとし ( つばめのばくじょうにすくうがごとし )
非常に危険なことのたとえ。
燕が幕の上に巣を作っているように、いつ落ちるかわからない危ない状態である、という意味。
30. 唾も引っ掛けない ( つばもひっかけない )
全く気にかけない。見向きもしない。問題にしない。無視する。
31. 躓く石も縁の端 ( つまずくいしもえんのはし )
ちょっとしたことがきっかけで、知り合いになったのも縁あればこそだという意味。
32. 妻の言うに向う山も動く ( つまのいうにむこうやまもうごく )
夫にとって、妻の述べる意見の影響は大きいことのたとえ。
「向う山」は、向こうに見える山で、動くはずのない山でさえ、妻の言うには動くという意。
33. 罪死に容れず ( つみしにいれず )
罪がきわめて大きくて、死刑をもってしても、なお許しいれるに足りない。
34. 罪の疑わしきは軽くす ( つみのうたがわしきはかるくす )
罪状のはっきりしない罪は、なるべく軽く処分する。この句は後に続いて、「功の疑わしきは重くす」となっており、
はっきりしない手柄は、なるべく重く賞するということで、上の苦と対になっている。
35. 罪を悪んで人を悪まず ( つみをにくんでひとをにくまず )
犯した罪を憎むが、その人は憎まない。罪を犯した人間を憎んではならない。
36. 爪で拾って箕でこぼす ( つめでひろってみでこぼす )
爪の先で少しずつ拾い集めたものを箕でごっそりこぼす。苦心して得たものを無造作に使ってしまうたとえ。
「箕」は、大きなちり取り状の農具。穀物をあおりふって、殻・ゴミなどをより分けるもの。
【類句】 升で量って箕でこぼす
37. 爪に火をともす ( つめにひをともす )
ろうそくの代わりに爪に火をともす。極端に倹約することをたとえていう。
【例】 「欲しいものを購入するために、爪に火をともすような生活をした」
38. 爪の垢を煎じて飲む ( つめのあかをせんじてのむ )
優秀な人物のものなら、爪の垢のような汚いものでもありがたくいただいて薬として飲め、という意味から、
優れた人を見習い、少しでもあやかろうと心がけることが大切だ、ということ。
【例】 「おまえはいつも簡単にあきらめるが、いつも頑張っている彼女の爪の垢でも煎じて飲んだらどうだ」
39. 詰め腹を切らせる ( つめばらをきらせる )
「詰め腹」は、やむを得ずする切腹のことで、責任をとるように強制し、辞職させることをいう。
【例】 「課長に詰め腹を切らせて、不祥事を収めることにした」
40. 爪を立てるところもない ( つめをたてるところもない )
足のつま先で立っている場所もないくらい、ぎっしりとつまっていること。
【類句】 立錐の地なし / 立錐の余地も無い
41. 露の命 ( つゆのいのち )
露のように消えやすい命。はかない命。露命。
42. 面から火が出る ( つらからひがでる )
非常に恥ずかしく思うことにたとえる。
【参考】 「面火が燃える」ともいう。
43. 面で人を切る ( つらでひとをきる )
横柄で人を見下したような顔や態度をとることをいう。
44. 面に似せてへそを巻く ( つらににせてへそをまく )
人はおのおのその性質によって、することにも違いがあるということ。「へそ」は、まるく巻いたつむぎ糸。
45. 面の皮の千枚張り ( つらのかわのせんまいばり )
厚かましくて、恥ずかしいことをなんとも思わない。
46. 釣り合わぬは不縁の元 ( つりあわぬはふえんのもと )
境遇や財産が違いすぎる者同士は、いかに熱烈に愛し合って結婚しても、やがては別れるようになることが多い、ということ。
47. 釣り落とした魚は大きい ( つりおとしたさかなはおおきい )
釣り落として逃がした魚は、実物より大きく思える。
手に入れかけて失ったもの、逃がしたチャンスなどを惜しむことなどに使う。
【参考】 「逃がした魚は大きい」ともいう。
48. 釣りして綱せず ( つりしてこうせず )
むやみに生物を殺生しないことで、適度が大切であることをいう。
「綱」は、長い綱(つな)に多くの針と糸をつけて大量に魚をとる仕掛け。
49. 鶴の一声 ( つるのひとこえ )
権威・権力のある人の一言によって、衆人の言を押さえること。
50. 鶴は千年亀は万年 ( つるはせんねんかめはまんねん )
鶴と亀とは寿命が長くめでたいものとされ、縁起を祝う言葉に用いられる。
51. 弦を放れた矢 ( つるをはなれたや )
物事が実行に移されてしまってからでは、もう取り返しがつかない。
再び元に戻らないことをいう。
52. 聾の立聞き ( つんぼのたちぎき )
わかりもしないのに、やたらに人の話を聞きたがる。なんの役にも立たないたとえ。
53. 聾の早耳 ( つんぼのはやみみ )
耳の聞こえない人は、用談の時にはよく聞こえないのに、聞こえなくてもよいようなことは、かえってよく聞こえる。
また、耳の聞こえない人は人の話が聞こえもしないのに、とかく聞こえたふうをして早合点する、という意味。