1. 羊腸 ( ようちょう )
羊は草食動物で腸が長く、曲がりくねっていることから、山道などが、幾重にも曲りくねっていることをいう。つづら折り。
2. 羊を以て牛に易う ( ひつじをもってうしにかう )
小さな物を大きな物のかわりにすること。
またいくらかは違うが本質には変わりがなく、大体において同じだということ。
3. 羊質にして虎皮す ( ようしつにしてこひす )
中味は羊でうわべだけが虎のこと。
実質が平凡であるのに外観だけが立派なこと。
4. 羊頭を懸けて狗肉を売る ( ようとうをかけてくにくをうる )
羊の頭を看板に出しておき、その実は狗(いぬ)の肉を売ることから、
見かけだけ立派にして、実質が伴わないたとえ。看板に偽りがあること。
【参考】 「羊頭狗肉」「羊頭を懸けて馬肉を売る」「牛首を懸けて馬肉を売る」ともいう。
【類句】 看板に偽りあり
5. 群羊を駆って猛虎を攻む ( ぐんようをかってもうこをせむ )
羊を集めて虎を攻める。
弱国を数多く連合させて、強大国に対することのたとえ。
6. 千羊の皮は一狐の腋に如かず ( せんようのかわはいっこのえきにしかず )
千匹の羊からとった千枚の毛皮も、一匹の狐のわきの下の白い毛皮に及ばない、ということから、
多数の凡人は一人の賢人に及ばない、という意味。
7. 多岐亡羊 ( たきぼうよう )
方針がいろいろあって、どうしてよいか迷うこと。
もと、逃げた羊を捜しに行ったが、枝道が多くてついに見失ってしまったことから、学問の道が多方面に分かれて、真理をとらえることができないたとえ。
8. 屠所の羊 ( としょのひつじ )
しおしおとして元気を失った者。
屠殺場(とさつば)に引かれていく羊のように死が目前に迫った者、という意味。
9. 蚊虻牛羊を走らす ( ぶんぼうぎゅうようをはしらす )
蚊やあぶのような小さな虫が、牛や羊のような大きな動物にたかって、牛や羊がかゆくて走る出すように、弱小のものが強大なものを動かすたとえをいう。
小さな物でも油断をしていると、それが禍となり大害を引き起こすことがあるというたとえ。
10. 告朔のき羊 ( こくさくのきよう )
形式ばかりで実質のない虚礼のたとえ。意味もなく続けている昔からのしきたり。
「告朔」は、昔、天子または諸侯が、毎月の初めに祖廟で先祖をまつり、そこに預けてあるその月の暦を発布すること。
後世は、告朔の礼は行なわれずに、ただ羊を供え、あとで臣下たちがその肉を分けあうことだけが残っていた。
【参考】 「き羊」は、その時に供える羊。