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「き」からはじまる ことわざ 3

61. 君辱めらるれば臣死す ( きみはずかしめらるればしんしす )

 主君が辱めを受ければ、家来は命を捨てて主君の恥をすすがなければならない。 臣下は主君と苦楽生死を共にすべきであること。

62. 騏も一日に千里なる能わず ( きもいちにちにせんりなるあたわず )

 どんな名馬でも一日に千里も行くことはできない。 学問は一足とびに達するものではないことのたとえ。

63. 胆は大きく心は小さく持て ( きもはおおきくこころはちいさくもて )

 度胸は大きく、注意力はこまかくして世の中を渡れということ。

64. 胆も興も醒める ( きももきょうもさめる )

 あきれはてる。興ざめを強く表現した言葉。

65. 客と白鷺は立ったが見事 ( きゃくとしらさぎはたったがみごと )

 お客は席を早く立つのが見事である。長座しないで早く帰ったのが美しいということ。 また、客も白鷺も座っているよりも立って舞うのが見事である。客に余興を求める言葉である。

66. 客の朝起き ( きゃくのあさおき )

 泊り客が、主人(その家の人)より朝早く起きるのはその家では迷惑すること。

67. 旧悪を念わず ( きゅうあくをおもわず )

 人の過去の悪事をいつまでも心にとめないで、現在の長所を認めるようにせよ、ということ。

68. 牛驥同早 ( ぎゅうきどうそう )

 足の遅い牛と千里を走る駿馬とを同じ飼い葉桶で飼うことで、人間を牛馬なみにそまつに扱うこと。 また、才能のある者を愚かな者と同じに扱うことのたとえ。「早」は飼い葉桶。

69. 九牛が一毛 ( きゅうぎゅうがいちもう )

 九頭の牛の毛の中の一本ということから、きわめて多くの中のごく小さい一部分をいうたとえ。 取るに足らぬ小さなこと。ものの数ではないこと。

70. 窮寇に迫ること勿れ ( きゅうこうにせまることなかれ )

 逃げ場所を失って非常に困っている敵を深追いするな。 追いつめると死に物狂いになって反抗して勢いを盛り返すから注意しなければならないこと。

71. 九死に一生を得る ( きゅうしにいっしょうをえる )

 普通なら命を失っているはずの危ないところをやっと助かること。
 【例】 「土砂崩れに巻き込まれたが、救助隊のおかげで九死に一生を得た」
 【類句】 万死に一生を得る

72. 牛首を懸けて馬肉を売る ( ぎゅうしゅをかけてばにくをうる )

 牛の頭を店先にかけて実際は馬肉を売ることで、名と実が伴わないこと。 言うことと行なうことが違うこと。命令と実行とが一致しないことのたとえ。
 【類句】 羊頭を懸けて狗肉を売る

73. 牛耳を執る ( ぎゅうじをとる )

 団体や党派などの頭となる。仲間の上に立って思うままに指図する。昔、中国の諸侯が集まって同盟を結んだとき、 その同盟の中心となるものが、刀で牛の耳を切り、皆でその血をすすって誓った、という故事による。
 【参考】 「牛耳る」とも使う。
 【例】 「彼は新しいクラブを作り、そこを牛耳っている」

74. 九仞の功を一簣に虧く ( きゅうじんのこうをいっきにかく )

 高い築山を作るのに、あと1もっこというところでやめてしまえば、予定通りに完成することはできない、ということから、 事が成功に近づいたのに、わずかな失敗のために長い間の努力をむだにすることをいう。
 【参考】 「仞」は約1.6メートル、「簣」は土を盛るもっこのこと。
 【例】 「受験当日に風邪で寝込んでしまい、九仞の功を一簣に虧いてしまった」

75. 窮すれば通ず ( きゅうすればつうず )

 行き詰まって絶体絶命の立場になると、かえって、何とか苦境を打開する方法が考えられるものである、という意味。
 【例】 「結婚式のスピーチを考えてこなかったが、窮すれば通ずで、それなりにうまくできた」

76. 窮すれば濫す ( きゅうすればらんす )

 切羽詰まってくると、前後の見境もなくつい悪いことをしてしまう。 思慮の浅い凡人はそれを堪えることができないで、つい悪いことをするものである。

77. 窮鼠猫を噛む ( きゅうそねこをかむ )

 猫に追い詰められた鼠が、逆に猫に噛みつく、ということから、 追い詰められて必死になれば、弱い者も強いものを苦しめることがあるものだ、ということ。
 【例】 「小さな団体だからといって甘く見てると、窮鼠猫を噛むで痛い目に遭うぞ」

78. 窮鳥懐に入れば猟師も殺さず
  ( きゅうちょうふところにいればりょうしもころさず )

 追い詰められて逃げ場を失った鳥が、猟師の懐に飛び込んでくれば、猟師でさえ殺しはしない。 まして、逃げ場を失った人が来て救いを求めれば、どんな事情があったとしても助けるものである、という意味。

79. 朽木は雕る可からず ( きゅうぼくはえるべからず )

 腐った木には彫刻をすることができない。やる気のない怠け者には、教えることができない、という意味。
 【参考】 「朽ち木は柱にならぬ」に同じ。

80. 笈を負う ( きゅうをおう )

 遊学のために郷里を出ること。また、郷里を離れて遠方の地に遊学すること。 「笈」は、物を入れて背負う竹製の箱、昔の旅行に用いた。

81. 杞憂 ( きゆう )

 いらざる心配。取り越し苦労。 昔、杞の国の人が、天が崩れ落ちはしないかと憂えて、夜もおちおち眠られず、飯ものどに通らなかったという故事。

82. 今日あって明日ない身 ( きょうあってあすないみ )

 世の中や人生の、うつろいやすく無常なこと。また、死期が迫ったことをいう。

83. 今日考えて明日語れ ( きょうかんがえてあすかたれ )

 軽率にしゃべって後悔しないようにせよ。よく考えたうえで発言せよ、という意味。
 【参考】 Think today and speak tomorrow. の訳語。

84. 行儀作法が人を作る ( ぎょうぎさほうがひとをつくる )

 行儀作法が立派な人は、初めはそうでなくても、だんだん立派な人格が形成されていくものだ。
 【参考】 Manners make the man. の訳語。

85. 郷原は徳の賊 ( きょうげんはとくのぞく )

 善良をよそおっている、えせ道徳者は、徳をそこなう盗人である。 万人にこびる八方美人は、見識も操守もない点で徳をそこなうものであるという意味。 郷原は村の中で、まじめな人とほめられている俗物のこと。

86. 喬松の寿 ( きょうしょうのじゅ )

 長寿、長生きのこと。 漢の王子喬と神皇のときの赤松子の二人はともに仙人で、不老長生であったという故事にもとずく。

87. 強将の下に弱兵なし ( きょうしょうのもとにじゃくへいなし )

 大将が強ければ、その部下の兵も自然に感化を受けて弱い兵はいなくなる、という意味。

88. 恭者は人を侮らず ( きょうじゃはひとをあなどらず )

 つつしみ深い人は、決して人を馬鹿にしないということ。
 【参考】 孟子に「恭者は人を侮らず、倹者は人を奪はず」とある。

89. 狂人走れば不狂人も走る ( きょうじんはしればふきょうじんもはしる )

 人は自分にしっかりした考えがないと、他人に引きずられて、その言うままに行動するような性質があるものだ。 人には雷同性があるたとえ。

90. 兄弟は他人の始まり ( きょうだいはたにんのはじまり )

 もとは仲のよい同じ血を分けた兄弟であるが、成長するとそれぞれ、配偶者や子の愛に引かれて自然に間が疎遠になり、 ことに利害に関することでは、他人と同じようにいがみ合うこともあるものだ。

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