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「き」からはじまる ことわざ 4

91. 兄弟は両の手 ( きょうだいはりょうのて )

 兄弟は左右の手のように、互いに助け合わなければならないものだということ。

92. 胸中成竹有り ( きょうちゅうせいちくあり )

 竹を描くに先立って、胸の中ですでにできあがった構図がある。 仕事に取りかかる前に完成の見込みをつけること。

93. 暁天の星の如し ( ぎょうてんのほしのごとし )

 夜明け方の空に残る星。数の少ないこと、物事のまれなことのたとえ。

94. 行徳の俎 ( ぎょうとくのまないた )

 行徳は千葉県にある町の名で、行徳では馬鹿貝がよくとれる。 その町の俎は馬鹿貝ですれている。馬鹿で人擦れしていること。

95. 今日なし得る事を明日まで延ばすな
  ( きょうなしうることをあすまでのばすな )

 現在できることは今直ちに行なえ。
 【参考】 Never put off till tomorrow what you can do today. の訳語。

96. 京に田舎あり ( きょうにいなかあり )

 繁華な都にも、開けない田舎めいた所があることをいう。

97. 今日の後に今日無し ( きょうのあとにきょうなし )

 月日はひとたび過ぎ去ったら、再び来ることはない。

98. 京の着倒れ大坂の食い倒れ
  ( きょうのきだおれおおさかのくいだおれ )

 京都の人は着物道楽で、生活費の大部分を衣服に使い、大坂の人は食い道楽で、食物に金を使う傾向があり、そのためには家産を傾けることもある。
 【参考】 古くは「大阪」を「大坂」と書いた。

99. 堯の子堯ならず ( きょうのこきょうならず )

 堯のような聖天子にも必ずしも立派な子が生まれるとはいえない。 親が賢明だといっても子は必ず賢明だとはいえない。

100. 今日の一針明日の十針 ( きょうのひとはりあすのじゅっはり )

 今日一針ですむほころびは、あすは十針も縫わなければならなくなる。 その時しておかないとあとで苦労すること。手遅れになると苦労することのたとえ。

101. 京の夢大坂の夢 ( きょうのゆめおおさかのゆめ )

 京にいて夢を見る時、かえって大坂の夢を見る。また、夢の中では京都も見られ大坂も見られる。 あるいは、京都の人の見る夢、大坂の人の見る夢、それぞれに違う、ともいい、定解がない。
 【参考】 古くは「大阪」を「大坂」と書いた。

102. 今日は人の上明日は我が身の上
   ( きょうはひとのうえあすはわがみのうえ )

 今日は他人のことと思っていた災難も、明日は自分のこととなるかも知れない。
 【参考】 「今日は人の身明日は我が身」「昨日は人の身今日は我が身」ともいう。

103. 狂夫の楽しみは智者の哀しみ
   ( きょうふのたのしみはちしゃのかなしみ )

 人は知識の程度やその立場の違いにより、考え方がまるで反対になることのたとえ。

104. 喬木は風に折らる ( きょうぼくはかぜにおらる )

 高くのびた木は風当たりが強く、風害を受けることが多い。 人も地位が高くなると批判や攻撃を受けることが多くなるたとえ。
 【参考】 「大木は風に折らる」「高木は風に折らる」ともいう。
 【類句】 出る杭は打たれる

105. 狂瀾を既倒に廻らす ( きょうらんをきとうにめぐらす )

 どうしようもないほどに傾いた形勢を、もとの状態に回復すること。衰えた時勢を挽回するたとえ。
 【参考】 「狂瀾」は荒れ狂う大波。崩れた大波を押し返す意。

106. 虚栄は嘘の母 ( きょえいはうそのはは )

 あまり見栄をはろうとすれば、つい嘘をつくようになる。 虚栄心は嘘をつくもとである、という意味。

107. 曲学阿世 ( きょくがくあせい )

 真理を曲げて世間の人の気に入るような説を唱え、時勢や時の権力者に迎合しようとすること。 学者としてとるべきではない態度をいう。
 【参考】 「学を曲げ世に阿(おもね)る」とも読む。「阿」は、おもねる、迎合する。  サンフランシスコ平和条約を結ぶに際し、ソ連などを含む全面講和を主張した、時の東京大学総長を、 吉田茂首相が「曲学阿世の徒」と決めつけたのは有名な話である。

108. 玉石混淆 ( ぎょくせきこんこう )

 玉のように優れたものと、石のようにつまらないものとが混じって区別がつかない。 良いものと悪いものとが入り混じって、区別がつかないこと。

109. 玉斧を乞う ( ぎょくふをこう )

 人に詩文の添削(てんさく)を頼むこと。玉は美称で敬意を表わす。
 【類句】 雷斧(らいふ)を乞う / 斧正(ふせい)を乞う

110. 居は気を移す ( きょはきをうつす )

 人は、地位や環境によってその気持ちが変わり、善にも悪にもなる、という意味。

111. 魚腹に葬らる ( ぎょふくにほうむらる )

 水死すること。水死して魚の餌となる意。

112. 漁父の利 ( ぎょふのり )

 両者が互いに争っているのにつけ込んで、第三者が骨折らずに、その利益を横取りすること。 鷸(しぎ)が蚌(どぶがい)の肉を食べようとして貝にくちばしを入れると、はさまれてしまい、 互いに離さず争っているうちに、漁師が来て両方とも捕らえてしまった、という話による。
 【参考】 「漁夫の利」と書いてあるものが多いが、原文に従えば「漁父の利」が正しい。

113. 器用貧乏 ( きようびんぼう )

 器用な人は、何をやっても一応は無難にこなせるので、他人には重宝がられてあれこれ使われるが、 自分は一つのことに打ち込めないので、結局貧乏で終わる。
 【参考】 「器用貧乏人宝」ともいう。

114. 清水の舞台から飛び降りる ( きよみずのぶたいからとびおりる )

 非常な決意をするたとえ。京都の清水寺は懸崖に臨んで舞台を架してあるからいう。

115. 義理と褌は欠かされぬ ( ぎりとふんどしはかかされぬ )

 男子が常に褌をつけているように、義理は一時でも欠いてはいけない、という意味。

116. 錐の嚢中に処るが如し ( きりののうちゅうにおるがごとし )

 錐がふくろの中に入っているようなものだということ。 すぐれた才能のある人物は、袋を通して霧がすぐ出るように自然に真価があらわれるものだということ。

117. 義理張るよりも頬張れ ( ぎりばるよりもほおばれ )

 義理を欠くまいとして無理をするよりも、自分の口に入れるくふうをしたほうがよい。 よけいな義理をはってやりくりするよりも自分の利益を心がけるのがよい、という実利本位の考え。

118. 桐一葉 ( きりひとは )

 桐はほかの木よりも早く秋の気配を感じて落葉する、ということから、 一枚の桐の葉の落ちるのを見て、形勢の悪化、衰亡の兆しが現れたことの暗示とする。
 【参考】 「一葉落ちて天下の秋を知る」と同じ。

119. 器量より気前 ( きりょうよりきまえ )

 顔かたちの美しいことよりも、性質のよいほうがよい。 器量のよいものは当座のことで、すこしたてば色もさめあせるものだから、 性質のよいものは変わらないからよい。

120. 麒麟児 ( きりんじ )

 将来、大成する期待が持てる、非常に優秀な少年。 「麒麟」は、中国で、聖人が出る時に現れるという想像上の霊獣で、 首の長いジラフとは違い、キリンビールのラベルの絵がそれである。
 【参考】 「麒麟」は雄を「麒」、雌を「麟」という。

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