121. 牛の一散 ( うしのいっさん )
歩みの遅い牛でも、いっさん(一目散)に走り出すことがあるように、常に鈍い愚人が考えもせずにはやり進むこと。
先のことも考えずに、むやみにはやりたつこと。
122. 千載一遇 ( せんざいいちぐう )
めったにないよい機会。千年目に一度出会う機会という意味。
123. 悪は一旦なり ( あくはいったんなり )
悪や不正は一時は勢いを得て盛大になることがあっても、結局は正義には勝てない、永続きはしない。
124. 鶴の一声 ( つるのひとこえ )
権威・権力のある人の一言によって、衆人の言を押さえること。
125. 槿花一日の栄 ( きんかいちじつのえい )
人間の栄華のはかないことのたとえ。
「槿花」は、むくげの花。朝咲いて夕方にはしぼむので、はかないものにたとえる。
【参考】 「槿花一朝(いっちょう)の栄」ともいう。
126. 騏も一日に千里なる能わず ( きもいちにちにせんりなるあたわず )
どんな名馬でも一日に千里も行くことはできない。
学問は一足とびに達するものではないことのたとえ。
127. 緊褌一番 ( きんこんいちばん )
ふんどしをきつく締めてかかる。発奮して大いに心を引き締めて取りかかること。
128. 危機一髪 ( ききいっぱつ )
極めてあぶないこと。あぶない瀬戸際。
一本の髪の毛で千鈞の重さの物をつり上げるような極めて危険なたとえ。
今は、一つまちがえば危険に身をさらされようとする意に用いる。
129. 女の一念岩をも透す ( おんなのいちねんいわをもとおす )
女は弱いようであるが、執念深いもの。
130. 鎧袖一触 ( がいしゅういっしょく )
弱い敵を簡単に負かすこと。
鎧の袖にちょっと触れただけで相手が倒れてしまうという意味。
131. 乾坤一擲 ( けんこんいってき )
自分の運命をかけて、のるかそるかの勝負をすること。
「乾坤」は天地。天地をかけて大勝負をする意。
132. 小姑一人は鬼千匹に当たる
( こじゅうとひとりはおにせんびきにあたる )
嫁の身にとっては、夫の兄弟姉妹は非常な苦労の種で、その一人一人が鬼の千匹にも相当するほどである。
133. 十死一生 ( じっしいっしょう )
とうてい生きる見込みのないこと。
134. 十把一絡げ ( じっぱひとからげ )
いい悪いなどの区別をせずに、全部を一まとめにして扱うこと。
特に、価値のないものとして粗雑に扱うこと。
135. 春宵一刻値千金 ( しゅんしょういっこくあたいせんきん )
春の夜は何ともいえぬよいものであって、その興趣(きょうしゅ)は短い時間が一千金にも相当する。「宵」は夜の意味。
136. 十年一剣を磨く ( じゅうねんいっけんをみがく )
十年の間ひとふりの剣を磨き続けるということから、長い間武術の技をみがき、武勇が発揮できる日にそなえるということ。
転じて復讐(ふくしゅう)の機会をうかがう意にも用いる。
137. 十年一昔 ( じゅうねんひとむかし )
十年経てば世の中は変わらないようでも何らかの変化が見られ、「今」から見れば「昔」ととらえられる、ということ。
【例】 「十年一昔で、すっかり体型が変わってしまった」
138. 三国一 ( さんごくいち )
天下第一。日本、唐(中国)、天竺(インド)の三国で全世界を表わす。
【参考】 「三国一の花嫁・花婿」などと使う。
139. 千篇一律 ( せんぺんいちりつ )
どれもこれも変わりばえがなく、面白味がないこと。
多くの詩篇がみな同じ調子で作られていること。
140. 人に一癖 ( ひとにひとくせ )
たいていの人は、それぞれ何らかの癖があるものだ。
141. 人の一寸我が一寸 ( ひとのいっすんわがいっすん )
他人の欠点はちょっとしたものでも目につきやすいが、自分の欠点は大きくても見えにくいものである。
142. 人は一代名は末代 ( ひとはいちだいなはまつだい )
人の肉体は一代限りであるが、業績や名誉は長く後世に残る。
143. 習うは一生 ( ならうはいっしょう )
人はいくつになっても、学び習わなければならないことがある。人間は一生が勉強である。
144. 思う事一つ叶えばまた一つ
( おもうことひとつかなえばまたひとつ )
望みごとが一つ叶うと、またすぐ次の望みごとができる、このようにしていつまでたっても満足するということはない。
人間の欲望の無限なことのたとえ。
145. 聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥
( きくはいっときのはじきかぬはいっしょうのはじ )
知らないことを聞くのは、そのときは恥ずかしい気がするが、聞かなければ一生その事を知らないで、
最後まで恥ずかしい思いをしなければならない。知らないことは恥ずかしがらないで必ず聞きただせ、という意味。
【参考】 「問うは一旦の恥問わねば末代の恥」ともいう。
146. 面目を一新する ( めんもくをいっしんする )
古いものが改まって、すっかり新しくなる。また、新しくする。
【例】 「10年続いてきた商店街の魚屋が面目を一新した」
147. 馬鹿の一つ覚え ( ばかのひとつおぼえ )
何か一つ覚えると、いつも得意げにそればかり振り回すこと。また、その様子をあざけって言う言葉。
【例】 「馬鹿の一つ覚えで、同じ銘柄の株ばかり買っている」
148. 九牛が一毛 ( きゅうぎゅうがいちもう )
九頭の牛の毛の中の一本ということから、きわめて多くの中のごく小さい一部分をいうたとえ。
取るに足らぬ小さなこと。ものの数ではないこと。
149. 鶏群の一鶴 ( けいぐんのいっかく )
沢山の鶏の中に一羽の鶴がいると目立つことから、凡人の中に傑出した人が混じって、きわだって見えるたとえ。
【参考】 「野鶴の鶏群に在るが如し」ともいう。
150. 千慮の一失 ( せんりょのいっしつ )
賢い人でも多くの考えの中には失策もあるということから、十分に注意していたにもかかわらず、思いがけない失敗をする様子。
【例】 「慎重に事を運んだのに、それに気付かなかったのは千慮の一失だった」
【類句】 弘法も筆の誤り / 猿も木から落ちる / 上手の手から水が漏れる
151. 九死に一生を得る ( きゅうしにいっしょうをえる )
普通なら命を失っているはずの危ないところをやっと助かること。
【例】 「土砂崩れに巻き込まれたが、救助隊のおかげで九死に一生を得た」
【類句】 万死に一生を得る
152. 万死に一生を得る ( ばんしにいっしょうをうる )
とても助かる見込みのなかったところを、かろうじて助かることをいう。
万が一にも生きられないような危機を、やっとのことで逃れた。