91. 一つ余って大津へ戻る ( ひとつあまっておおつへもどる )
道中双六で京で上がりになるとき、賽(さい)の目が一つ多くでると、また手前の大津へ戻らなければならない。
92. 一つ事は同じ事 ( ひとつごとはおなじこと )
言い方は違っていてもつまり同じ事だということ。わかりきっていること。
93. 一つよければまた二つ ( ひとつよければまたふたつ )
人間の欲には限りがないこと。
94. 一人口は食えぬが二人口は食える
( ひとりぐちはくえぬがふたりぐちはくえる )
同じ収入でも、二人ではどうにか生活できるが、一人ではその割に生活はできない。
【参考】 「二人口は過ごせるが一人口は過ごせぬ」ともいう。
95. 一人自慢の誉手なし ( ひとりじまんのほめてなし )
ひとりよがりで、だれもほめてくれる人がないから、自分ひとりでほめること。
96. 一人っ子は国にはばかる ( ひとりっこはくににはばかる )
ひとり子はわがままでゆうずうがきかないから、人からきらわれる。
97. 一人の文殊より三人のたくらだ
( ひとりのもんじゅよりさんにんのたくらだ )
「たくらだ」は、ばか、うつけ者。麝香鹿(じゃこうじか)に似た獣。
すぐれた人が一人で考えるよりは愚かな者でも大勢集まって考えれば、よい知恵がうかぶことのたとえ。
98. 一人娘と春の日はくれそうでくれぬ
( ひとりむすめとはるのひはくれそうでくれぬ )
ひとり娘は親が惜しがってなかなか嫁にやらないということ。
99. 桐一葉 ( きりひとは )
桐はほかの木よりも早く秋の気配を感じて落葉する、ということから、
一枚の桐の葉の落ちるのを見て、形勢の悪化、衰亡の兆しが現れたことの暗示とする。
【参考】 「一葉落ちて天下の秋を知る」と同じ。
100. 紅一点 ( こういってん )
多くの男性の中に、ただ一人の女性がいること。緑の草むらの中に、ただ一輪紅い花が咲いているという意味。
【例】 「彼女は工学部の中の紅一点だ」
101. 雀一寸の糞ひらず ( すずめいっすんのくそひらず )
スズメはスズメ相応の糞をし、タカはタカ相応の糞をする。
物にはそれぞれの規模があるということ。
102. 娘一人に婿八人 ( むすめひとりにむこはちにん )
望む者が多くて、これに応ずる者が少ないということのたとえ。
103. 犬一代に狸一匹 ( いぬいちだいにたぬきいっぴき )
よいチャンスにはなかなか出会えないたとえ。
犬の一生に狸のような大きな獲物をとるのは一度くらいだ。
104. 腕一本脛一本 ( うでいっぽんすねいっぽん )
自分の手足よりほかに頼りとするもののないことのたとえ。独力。独立独行。
105. 人一たびして之を能くすれば己之を百たびす
( ひとひとたびしてこれをよくすればおのれこれをひゃくたびす )
努力を重ねれば必ず目的を達することができる。
他人がすぐれた才能を持っていて、一度でできるならば、自分はそれに百倍する努力を重ねて、目的に到達する。
106. 花一時人一盛り ( はなひとときひとひとさかり )
さかりの短いこと。花の満開はわずかな数日のことだが、人間の盛んな時もほんのわずかな間だということ。
107. 指一本も指させない ( ゆびいっぽんもささせない )
他人からの非難や干渉などは断じて許すまいという態度をとる様子。
【例】 「これは私たちの問題なのだから、部外者には指一本も指させないつもりだ」
108. その一を知りてその二を知らず
( そのいちをしりてそのにをしらず )
物事の一部分だけはわかっていても、それ以上の深い理由はわからない。
109. 鯛も一人はうまからず ( たいもひとりはうまからず )
鯛のようにうまいものでも、一人でポツンとして食べたのではうまくない。
食事は大勢でいっしょに食べるのがよいということ。
110. 大喝一声 ( たいかついっせい )
大きな声でしかりつける。どなりつける。
「喝」は、もと禅宗(ぜんしゅう)で、死者に引導(いんどう)を渡す時に、大きなかけ声をかけること。
111. 精神一到何事か成らざらん
( せいしんいっとうなにごとかならざらん )
精神を集中して努力すれば、どんな困難なことでも出来ないことはない。精神力の大切なことをいった語。
【参考】 Where there's a will, there's a way.
112. 朝の一時は晩の二時に当たる
( あさのひとときはばんのふたときにあたる )
朝は仕事がはかどるので、朝の一時間は夜業の二時間に当たる。
夜なべの倍の仕事ができる。
113. 富は一生の宝智は万代の宝
( とみはいっしょうのたからちはばんだいのたから )
富はその人一代だけの宝で、その人が死ねばそれまでだが、知恵は自分だけにとどまるものではなく、後々の人のためにも長く役立つものである。
114. 胸に一物 ( むねにいちもつ )
心の中にひそかに考えていることがあるのをいう。
【参考】 「腹に一物」ともいう。
115. 腹に一物 ( はらにいちもつ )
心の中にたくらむことがある様子。
【例】 「腹に一物あるような物の言い方をする」
【類句】 胸に一物
116. 忍の一字は衆妙の門 ( にんのいちじはしゅうみょうのもん )
忍びこらえることは立派な者になる第一歩である。
117. 万死一生を顧みず ( ばんしいっしょうをかえりみず )
決死の覚悟をかためること。
118. 軌を一にす ( きをいつにす )
行き方や立場が他と同じである。やり方を等しくする。同じ道を同じように進む、という意味。
【例】 「彼の政治学説には、種々の点で生態学の理論と軌を一にするものがある」
【参考】 「軌」は車の輪と輪との間隔。
119. 板子一枚下は地獄 ( いたごいちまいしたはじごく )
船乗り業の危険なことをいう。「板子」は、和船の底にある上げ板。
板子の下は船底、その船底の下は海で、船乗りは海のまっただ中で、浪任せ風任せの仕事をしている。
120. 人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し
( ひとのいっしょうはおもにをおうてとおきみちをゆくがごとし )
人生の行路は長く苦しいことが多く、また任務も重大であるので、一歩一歩を確実に進み続けなければならない。
【参考】 『論語』の「任重くして道遠し」に基づいたもので、
遺訓は「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず、不自由を常と思えば不足なし」と続く。