185. 逃ぐるも一手 ( にぐるもいって )
進んで戦うばかりが能ではなく、逃げることも一つの戦法だということ。
186. 備わるを一人に求む ( そなわるをひとりにもとむ )
一人の人間にあらゆる能力・条件の完全さを要求する。
【参考】 「備わる」は、完備する意。
187. ローマは一日にしてならず ( ろーまはいちにちにしてならず )
偉大なローマ帝国は、長期にわたる努力と歴史の結果建設されたもので、すべて大きな事業は、
長い年月を必要とする、ということから、物事は一朝にしては成らない、という意味。
【参考】 Rome was not built in a (or one) day.
188. 薊の花も一盛り ( あざみのはなもひとさかり )
アザミのように人にすかれない花にも、花盛りがあって美しくなる。
容ぼうがよくなくても年ごろになれば魅力がでるもので、人間の運にも必ず盛りがあるものである。
189. 朝顔の花一時 ( あさがおのはなひととき )
「朝顔」の花は、むくげ(槿花)のこと。
【参考】 槿花一日の栄
190. 三人旅の一人乞食 ( さんにんたびのひとりこじき )
三人で同じことをすれば、その中の一人は窮乏(きゅうぼう)する。
つまり三人のうち一人は貧乏くじをひく。また、三人でする物事は、その中の一人が仲間はずれにされやすい。
【参考】 「一人旅するとも三人道中するな」ともいう。
191. 地獄は壁一重 ( じごくはかべひとえ )
正しい道を一歩踏みはずすと、たちまち罪悪を犯すようになる。
ちょっとした心の緩みで罪悪を犯しやすい、というたとえ。
192. 無精者の一時働き ( ぶしょうもののいっときばたらき )
ふだんなまけてばかりいる者が、急に思い立ってちょいとばかり働くこと。そんなに長続きしないことのたとえ。
193. 百尺竿頭一歩を進む ( ひゃくしゃくかんとういっぽをすすむ )
工夫をこらした上に更に工夫を加える。登りつめた百尺もある竿の上にあって、更にもう一歩進める。
高い頂上を極めても、それに満足しないで更に一歩上る。前進の上に前進を図る。
194. 百日の労一日の楽 ( ひゃくにちのろういちにちのらく )
働くばかりが能ではなく、時には休むのがよいということ。
195. 六根清浄一根不浄 ( ろっこんしょうじょういちこんふじょう )
「六根」は仏教で眼・耳・鼻・舌・身・意の六欲をいう。「一根」は男子の性器のこと。
六根の欲望は、清らかさを保つことはできるが、ただ他の一つ、色欲だけは押さえることができないということ。
196. 糞も味噌も一緒 ( くそもみそもいっしょ )
善悪・美醜・清濁の区別のないこと。
よい物悪い物の区別をしないこと。
197. 危ない橋も一度は渡れ ( あぶないはしもいちどはわたれ )
何事も安全・慎重なだけではだめである。時には危険を冒すことも必要である。
【類句】 虎穴に入らずんば虎子を得ず
198. 万能足りて一心足らず ( ばんのうたりていっしんたらず )
あらゆる事に精通しているが、ただ一つ真心が足りない。
199. 九仞の功を一簣に虧く ( きゅうじんのこうをいっきにかく )
高い築山を作るのに、あと1もっこというところでやめてしまえば、予定通りに完成することはできない、ということから、
事が成功に近づいたのに、わずかな失敗のために長い間の努力をむだにすることをいう。
【参考】 「仞」は約1.6メートル、「簣」は土を盛るもっこのこと。
【例】 「受験当日に風邪で寝込んでしまい、九仞の功を一簣に虧いてしまった」
200. 千日の萱を一日 ( せんにちのかやをいちにち )
千日もかかって刈ったかやを、たった一日で燃してしまう。
長い間苦労したものを、一度にだめにしてしまうたとえ。
201. 千里の道も一歩から ( せんりのみちもいっぽから )
千里もの遠い旅路も、足もとの第一歩から始まる。
遠大な事業も手近なところから始まる、という意味。
【参考】 千里の行も足下より始まる
202. 蕎麦の花も一盛り ( そばのはなもひとさかり )
さして美しいとは思えないソバの花も、その花盛りのころにはそれ相応に美しい。
203. 昔千里も今一里 ( むかしせんりもいまいちり )
すぐれた人でも年をとればそれだけ働きがにぶくなり、なんら凡人とかわりがないということ。
204. 二度教えて一度叱れ ( にどおしえていちどしかれ )
過失に対して、いきなり叱りつけないで、よく教えてやることが大切で、叱るのはなるべく少なくする。
205. 二度聞いて一度物言え ( にどきいていちどものいえ )
人の話はなんべんききかえしてもよく聞くようにし、自分は口をつつしんでよけいなことはいわないほうがよいということ。
206. 盆と正月が一緒に来たよう
( ぼんとしょうがつがいっしょにきたよう )
盆と正月は古来日本人の生活の中で最も重要な行事で、何かと忙しく、また楽しい時期であることから、非常に忙しい様子。
また、うれしい事が重なった様子。
207. 地獄の上の一足飛び ( じごくのうえのいっそくとび )
極めて危険なことのたとえ。
208. 運用の妙は一心に存す ( うんようのみょうはいっしんにそんす )
法則は活用してこそ価値がある。戦術や規則というものは、それだけを堅く守っても実際の役には立たない。
その時に応じて活用する人の心一つである、という意味。
【参考】 宋の名将、岳飛(がくひ)の語。
209. 千羊の皮は一狐の腋に如かず
( せんようのかわはいっこのえきにしかず )
千匹の羊からとった千枚の毛皮も、一匹の狐のわきの下の白い毛皮に及ばない、ということから、
多数の凡人は一人の賢人に及ばない、という意味。
210. 大廈の材は一丘の木にあらず
( たいかのざいはいっきゅうのきにあらず )
大きい建物の用材は、一つの山から切り出した木だけではない。
大きな事業は、必ず大勢の力によるもので、決してひとりの力ではできないことのたとえ。
211. 騒ぐ烏も団子一つ ( さわぐからすもだんごひとつ )
騒いでも騒がないでも結果は同じ。
あわてても、もがいても、一生は一生だということのたとえ。
212. 悲しき時は身一つ ( かなしきときはみひとつ )
困窮したときは、人は頼りにならない。自分自身にたよるほかはない。
落ちぶれるとだれも寄りつかなくなるものである。
213. 万卒は得易く一将は得難し
( ばんそつはえやすくいっしょうはえがたし )
兵卒はいくらでも集めることができるが、すぐれた一人の大将は、なかなか得がたい。平凡な人間の多いことをいう。
214. 渇えて死ぬは一人飲んで死ぬは千人
( かつえてしぬはひとりのんでしぬはせんにん )
飢え死にする人は少ないが、酒を飲み過ぎて死ぬ人は多い。
ぜいたくで死ぬ人は多いということ。
215. お山の大将俺一人 ( おやまのたいしょうおれひとり )
この小さい山を支配する大将は俺一人だ。
小さな集団、またはくだらない仲間の中で偉がって一人いい気になっている人間や、
小さな成功で得意になっている人を軽蔑していう。