54. 羊腸 ( ようちょう )
羊は草食動物で腸が長く、曲がりくねっていることから、山道などが、幾重にも曲りくねっていることをいう。つづら折り。
55. 羊質にして虎皮す ( ようしつにしてこひす )
中味は羊でうわべだけが虎のこと。
実質が平凡であるのに外観だけが立派なこと。
56. 羊頭を懸けて狗肉を売る ( ようとうをかけてくにくをうる )
羊の頭を看板に出しておき、その実は狗(いぬ)の肉を売ることから、
見かけだけ立派にして、実質が伴わないたとえ。看板に偽りがあること。
【参考】 「羊頭狗肉」「羊頭を懸けて馬肉を売る」「牛首を懸けて馬肉を売る」ともいう。
【類句】 看板に偽りあり
57. 羊を以て牛に易う ( ひつじをもってうしにかう )
小さな物を大きな物のかわりにすること。
またいくらかは違うが本質には変わりがなく、大体において同じだということ。
58. 群羊を駆って猛虎を攻む ( ぐんようをかってもうこをせむ )
羊を集めて虎を攻める。
弱国を数多く連合させて、強大国に対することのたとえ。
59. 千羊の皮は一狐の腋に如かず
( せんようのかわはいっこのえきにしかず )
千匹の羊からとった千枚の毛皮も、一匹の狐のわきの下の白い毛皮に及ばない、ということから、
多数の凡人は一人の賢人に及ばない、という意味。
60. 屠所の羊 ( としょのひつじ )
しおしおとして元気を失った者。
屠殺場(とさつば)に引かれていく羊のように死が目前に迫った者、という意味。
61. 多岐亡羊 ( たきぼうよう )
方針がいろいろあって、どうしてよいか迷うこと。
もと、逃げた羊を捜しに行ったが、枝道が多くてついに見失ってしまったことから、学問の道が多方面に分かれて、真理をとらえることができないたとえ。
62. 蚊虻牛羊を走らす ( ぶんぼうぎゅうようをはしらす )
蚊やあぶのような小さな虫が、牛や羊のような大きな動物にたかって、牛や羊がかゆくて走る出すように、弱小のものが強大なものを動かすたとえをいう。
小さな物でも油断をしていると、それが禍となり大害を引き起こすことがあるというたとえ。
63. 告朔のき羊 ( こくさくのきよう )
形式ばかりで実質のない虚礼のたとえ。意味もなく続けている昔からのしきたり。
「告朔」は、昔、天子または諸侯が、毎月の初めに祖廟で先祖をまつり、そこに預けてあるその月の暦を発布すること。
後世は、告朔の礼は行なわれずに、ただ羊を供え、あとで臣下たちがその肉を分けあうことだけが残っていた。
【参考】 「き羊」は、その時に供える羊。
64. 鼬の道 ( いたちのみち )
交際や音信が絶えること。鼬は同じ道を二度通らないと言い伝えられるところから、
鼬が人の前を横切ることは、交際が耐える不吉な前兆であるという俗信がある。
【参考】 「鼬の道切り」ともいう。
65. 鼬の最後っ屁 ( いたちのさいごっぺ )
鼬が敵に追われた時、悪臭を放って逃げることから、苦し紛れにとる非常手段。
66. 鼬のなき間の貂誇り ( いたちのなきまのてんぼこり )
鼬のいない所で貂(鼬の一種)が威張る。自分より強い者がいない所で大いに威張ること。
【類句】 鳥無き里の蝙蝠
67. 鼬になり貂になり ( いたちになりてんになり )
手をかえ品をかえ、いろいろやってみること。
【参考】 テンはイタチ科の小獣。
68. 狸の腹鼓 ( たぬきのはらづつみ )
月の夜に、たぬきが腹をたたいて楽しむという言い伝え。たぬきばやし。
69. 狢と狸 ( むじなとたぬき )
駆け引きの多いずる賢い者同士が、あらゆる手段を用いて対抗すること。
【類句】 狐と狸の化かし合い
70. 捕らぬ狸の皮算用 ( とらぬたぬきのかわざんよう )
まだ狸を捕まえないうちから皮を売ってもうける計算をする。
不確実な事柄に期待して、それを元にいろいろ計画を立てる、という意味。
【参考】 単に「皮算用」ともいう。「儲けぬ前の胸算用」と同じ。
【参考】 Don't count your chickens before they are hatched.
71. 狢の穴で狸を捕る ( むじなのあなでたぬきをとる )
仲間は住んでいるところもだいたい同じだということ。
72. 犬一代に狸一匹 ( いぬいちだいにたぬきいっぴき )
よいチャンスにはなかなか出会えないたとえ。
犬の一生に狸のような大きな獲物をとるのは一度くらいだ。
73. 狐七化け狸は八化け ( きつねななばけたぬきはやばけ )
狐は七種類に化けるが、狸はさらに化け方がうまい。
上手な上にも上手がある。
74. 狐をもって狸となす ( きつねをもってたぬきとなす )
狐も狸も実際に知らないこと。知識のせまいことのたとえ。
また、見当ちがいをすることのたとえ。
75. 鹿待つところの狸 ( しかまつところのたぬき )
鹿をとろうと待っていたところに、たぬきが来たということで、よい獲物を得ようと待っていたのに、
意外にも取るに足りないものに出会うことのたとえ。
76. 鶏をして夜を司らしめ狸をして鼠を執らしむ
( にわとりをしてよるをつかさどらしめりをしてねずみをとらしむ )
鶏にあしたの時を告げさせ、夜はねこにねずみを捕らせるということ。
才能に応じて人も使うほうがよいというたとえ。「狸」はねこの異名。
77. 狢と狸 ( むじなとたぬき )
駆け引きの多いずる賢い者同士が、あらゆる手段を用いて対抗すること。
【類句】 狐と狸の化かし合い
78. 狢の穴で狸を捕る ( むじなのあなでたぬきをとる )
仲間は住んでいるところもだいたい同じだということ。
79. 穴の狢を値段する ( あなのむじなをねだんする )
まだつかまえもしない穴の中にいるムジナを捕えたように値段を相談して喜ぶこと。
あてにならぬことをあてにする愚かさを笑った言葉。
80. 同じ穴の狢 ( おなじあなのむじな )
一見互いに無関係のように見えても同類の悪人であること。
【例】 「国民のための政治などと言っている政治家も結局、同じ穴の狢さ」
【類句】 一つ穴の狢
81. 一つ穴の狢 ( ひとつあなのむじな )
同じ穴に住む者同士。外見は仲間でないように見せかけているが、実は共謀している同類の悪党である、という意味。
【参考】 「同じ穴の狢(または狐・狸)」ともいう。