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生物の「獣類」を含む ことわざ 1

1. が塩を引く ( ねずみがしおをひく )

 きわめて少量ずつで目立たなくても、つもりつもって大量となるたとえ。

2. に引かれそう ( ねずみにひかれそう )

 家の中にたった一人で、淋しい様子のたとえ。

3. 壁を忘れる壁を忘れず
 ( ねずみかべをわすれるかべねずみをわすれず )

 鼠は以前に自分がかじって穴をあけた壁のことなどは忘れているだろうが、壁の傷跡は消えない。

4. が居なくなると火事になる ( ねずみがいなくなるとかじになる )

 動物が災害を予知することは古くから知られているが、鼠の例がもっとも多い。

5. が塩をなめる ( ねずみがしおをなめる )

 鼠のような小動物でも少しずつこっそりと塩をなめれば、いつのまにか大量になることのたとえ。

6. 窮して猫を噛み人貧しうして盗みす
 ( ねずみきゅうしてねこをかみひとまずしうしてぬすみす )

 鼠でも追い詰められると、もっとも恐い相手の猫にまで噛みつくように、人もせっぱ詰まると、やむを得ず人の物を盗むようになる。

7. 捕る猫は爪かくす ( ねずみとるねこはつめかくす )

 すぐれた働きのある者は、日頃やたらにそれを人に示さないことのたとえ。 平素むやみに力量を出さない人はいざというときはそれ以上を発揮するのである。

8. 社によりて貴し ( ねずみやしろによりてたっとし )

 神社に巣くうねずみを、穴からいぶり出して退治しようとしても、社殿の焼けるのが心配で、手のくだしようもない。 つまり君主の威光をかさに着て、勝手なふるまいをする小人のたとえ。

9. 窮猫を噛む ( きゅうそねこをかむ )

 猫に追い詰められた鼠が、逆に猫に噛みつく、ということから、 追い詰められて必死になれば、弱い者も強いものを苦しめることがあるものだ、ということ。
 【例】 「小さな団体だからといって甘く見てると、窮鼠猫を噛むで痛い目に遭うぞ」

10. 首両端 ( しゅそりょうたん )

 迷って形勢をうかがう。態度がはっきりしない。日和見。 鼠が壁の穴から頭を出したり引っ込めたりして様子をうかがっていること。 一説に、「首鼠」は進退の意、また躊躇の音がなまったものともいう。

11. 月日の ( つきひのねずみ )

 月日の過ぎゆくことをいう。仏説によると、人が象に追われて、木の根を伝わって井戸の中に隠れたところ、 四匹の毒蛇がかもうとし、また黒白二匹の鼠がいて、かわるがわるこの根をかじろうとするというので、 象は無常に、鼠は日月に、毒蛇は地・水・火・風にたとえるところから。
 【参考】 単に「月の鼠」ということもある。

12. 城狐社 ( じょうこしゃそ )

 その身を安全な主君のそばにおいて悪事をする者。君主のそばにいる奸臣(かんしん)のたとえ。 城にすむ狐と土地の神を祭った社(やしろ)に巣くう鼠は、城や社をこわさなければそれらを取り除くことが出来ないので、 手をつけることが出来ない。
 【参考】 「狐鼠」ともいう。『説苑(ぜいえん)』善説篇(ぜんぜいへん)には、「稷狐社鼠(しょくこしゃそ)」とある。
 【類句】 獅子身中の虫

13. 驥をしてを捕らしむ ( きをしてねずみをとらしむ )

 千里を走る名馬にネズミを捕らせるということ。 人を使う道をあやまって、すぐれた有能の人につまらない仕事をさせること。 また、有能な人も無能な人も区別がつかないことのたとえ。

14. 鳴く猫はを取らぬ ( なくねこはねずみをとらぬ )

 よく鳴く猫は鼠を取らない、ということから、よくしゃべる者はかえって実行力がない、という意味。

15. 頭の黒い ( あたまのくろいねずみ )

 髪が黒いことから人間を鼠にたとえたもので、物がなくなった時などに、その家の関係者が盗んだのだという意を表わす。
 【例】 「今回のことは、頭の黒い鼠のしわざだと思う」

16. 猫の前の ( ねこのまえのねずみ )

 逃げることもできなければ向かっていくこともできないこと。

17. 大山鳴動して一匹 ( たいざんめいどうしてねずみいっぴき )

 一大事だと前宣伝が大きく、あれこれ騒ぎ立てた割には、たいした結果にならなかった様子。
 【参考】 「大山」は「泰山」とも書く。
 【例】 「制作費数十億円といわれた映画も、大山鳴動して鼠一匹、興行収入は大したことなかった」

18. 国に盗人家に ( くににぬすびといえにねずみ )

 国に盗賊がおり家に鼠がいるように、物事には必ずこれを害するものがある。

19. 猫の額にある物をが窺う
  ( ねこのひたいにあるものをねずみがうかがう )

 大胆不敵で、身分をかえりみないこと。また、だいそれた望みをいだくこと。

20. 雀の上の鷹猫の下の ( すずめのうえのたかねこのしたのねずみ )

 危険が身近に迫って避けられないこと。

21. 鶏をして夜を司らしめ狸をしてを執らしむ
  ( にわとりをしてよるをつかさどらしめりをしてねずみをとらしむ )

 鶏にあしたの時を告げさせ、夜はねこにねずみを捕らせるということ。 才能に応じて人も使うほうがよいというたとえ。「狸」はねこの異名。

22. 鹿を逐う者は山を見ず ( しかをおうものはやまをみず )

 鹿を捕らえようとして追い回している者は、獲物にばかり心奪われて山全体を見ず、その深さも忘れて危険な目に遭う、 ということから、一つのことに夢中になっている者は、ほかのことを顧みない。 目先の利益を得ることに夢中になっている者はほかの事情には気付かない、という意味。
 【参考】 「鹿を追う猟師山を見ず」ともいう。

23. 鹿待つところの狸 ( しかまつところのたぬき )

 鹿をとろうと待っていたところに、たぬきが来たということで、よい獲物を得ようと待っていたのに、 意外にも取るに足りないものに出会うことのたとえ。

24. 鹿を指して馬となす ( しかをさしてうまとなす )

 無理を押し通すこと。 秦(しん)の趙高(ちょうこう)が権力を握ろうとした時、群臣を自分に従わせようとして、鹿を二世皇帝に献上して馬ですと申し上げた。 皇帝は笑って、これは鹿ではないかと群臣に尋ねた。すると趙高にへつらって馬と答えた者が多かったが、中には正しく鹿と答えた者もあった。 趙高は鹿と答えた者を皆殺してしまったので、群臣たちは趙高をひどく恐れたという故事。

25. 逐鹿 ( ちくろく )

 政権や地位を得ようとして争うこと。選挙戦にもいう。
 【参考】 「中原に鹿を逐う」から出た語。

26. 馬を鹿 ( うまをしか )

 間違ったことでも権力で押し通すこと。 秦の皇帝の前で並ぶ者なき権力者の趙高が、鹿をさして馬といい通した故事から、 詭弁をろうして自分の権力で押し通すことのたとえ。

27. 秋の鹿は笛に寄る ( あきのしかはふえによる )

 市価は、秋になると雌雄慕いあう習性があるので、たやすく鹿笛に誘われて近寄ってくる。 弱点に付け込まれて利用されやすいこと、また恋の為に身を滅ぼすことにいう。

28. 中原に鹿を逐う ( ちゅげんにしかをおう )

 互いに競争して一つの目的を得ようとする。政権の争いや選挙戦にいう。鹿は天子の位にたとえる。 多くの猟師が一頭の鹿を射止めようと中原を走り回るように、多くの英雄たちが帝位を争うこと。
 【参考】 逐鹿

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