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生物の「獣類」を含む ことわざ 2

29. の毛でついたほど ( うのけでついたほど )

 うさぎの柔らかい毛の先で突いた程度。きわめてわずかなたとえ。ほんの少し。
 【参考】 「兎の毛でついたほどのすきもない」などと使われる。

30. の罠に狐がかかる ( うさぎのわなにきつねがかかる )

 思いがけない幸運をつかむこと。
 【類句】 鰯網で鯨を捕る

31. も七日なぶれば噛み付く ( うさぎもなぬかなぶればかみつく )

 どんなにおとなしいものでも、度々辱められると、ついには怒り出して反抗するものだ。
 【類句】 仏の顔も三度まで

32. を見て犬を放つ ( うさぎをみていぬをはなつ )

 ウサギを見つけてから犬を放して追わせても遅くはない。 失敗してから気がついてやり直しても、決して遅すぎるということはない。
 【参考】 「兎を見て犬をかえりみる未だ晩しとせず」ともいう。

33. 二を追う者は一をも得ず ( にとおうものはいっとをもえず )

 二匹の兎を同時に捕まえようと追いかけても、結局一匹も捕まえられなくなる。 同時に異なった二つのことをしようと欲張っても、どちらもうまく行かないものである、という意味。
 【参考】 ローマの古いことわざ。
 【参考】 If you run after two hares, you will catch neither.
 【類句】 虻蜂取らず

34. 烏 ( うと )

 日月。歳月。太陽の中には三本足の烏(金烏(きんう))が、月の中には兎(玉兎(ぎょくと))が住んでいる、という伝説による。
 【参考】 用法としては「烏兎匆匆(うとそうそう)[月日のたつのが早い意]」と使う。

35. 脱の如し ( だっとのごとし )

 非常にすばやいことのたとえ。逃げ出す兎のように足が速い、という意味。
 【参考】 始めは処女の如く終わりは脱兎の如し

36. 犬の争い ( けんとのあらそい )

 両者が争って弱り、第三者に利益をとられること。 犬が兎を追いかけ、山を上ったりしているうちにどちらも疲れて死んだのを、 農夫が自分のものにしたという寓話から。

37. 狡死して走狗烹らる ( こうとししてそうくにらる )

 利用価値がある間は使われるが、価値がなくなると捨てられるたとえ。 すばしこい兎がつかまれば、それを追いまわしていた猟犬は不用として煮て食われてしまう。 敵国が滅びると、戦功のあった知謀の臣は、じゃまにされて殺される。

38. 株を守りてを待つ ( かぶをまもりてうさぎをまつ )

 古い習慣を守り、それにとらわれて進歩のないこと。融通のきかないたとえ。 兎が木の切り株にぶつかって死んだのを見た男が、それから働かずに、株を見張って、また兎を得ようとした故事による。 「森株(しゅしゅ)」ともいい、「株(くいぜ)を守る」とも読む。
 【参考】 北原白秋の童謡「まちぼうけ」のもとになった話。
 【類句】 舟に刻みて剣を求む

39. 始めは処女の如く終わりは脱の如し
  ( はじめはしょじょのごとくおわりはだっとのごとし )

 初めはぱっとしないが、あとになって手腕を発揮することのたとえ。 最初は、処女のように弱々しく見せて敵を油断させ、のちには、逃げる兎(うさぎ)のように機敏にふるまって、敵が施すすべがないようにする。
 【参考】 「脱兎の如し」と用いれば、逃げ足などの速いことにいう。

40. 飛鳥尽きて良弓蔵れ狡死して走狗烹らる
  ( ひちょうつきてりょうきゅうかくれこうとししてそうくにらる )

 空を飛びかける鳥がいなくなれば、用がないからよい弓もしまわれてしまう。 また悪がしこい兎がいなくなると、今までその猟に用いられていた犬も用がないので煮ころされるということ。 つまり事ある時にのみ用いられ、事がなくなると忘れられること。 敵国が滅びた後は、これまで味方のためにつくした功臣も不要視されてころされる。 役に立つ人も、その用がなくなればかえって罰せられることのたとえ。 「飛鳥」はとぶとり。「狡兎」はこすいうさぎ。「走狗」は猟犬のこと。

41. ( こぎ )

 疑ってためらうこと。迷って決心がつかないこと。嫌疑と同語。 旧説では、狐は疑い深い性質だからという。
 【参考】 「狐疑逡巡(しゅんじゅん)する。」と使う。

42. が下手の射る矢を恐る ( きつねがへたのいるやをおそる )

 下手な者の射る矢はどこへ飛んでくるかわからないので、賢いキツネもどこに逃げてよいかこまる。 正常な人は相手にできるが、無茶な者は相手にしにくい。下手の射る矢は恐ろしい。

43. その尾を濡らす ( きつねそのおをぬらす )

 狐が川を渡るとき、はじめは尾を濡らすまいとして高く巻いているが、だんだん疲れてきて、 しまいには水に濡らしてしまうこと。はじめはやさしいが終わりはむずかしいことのたとえ。 終わりはうまくいかなくて失敗することのたとえ。

44. 七化け狸は八化け ( きつねななばけたぬきはやばけ )

 狐は七種類に化けるが、狸はさらに化け方がうまい。 上手な上にも上手がある。

45. につままれたよう ( きつねにつままれたよう )

 「つままれる」は化かされる意で、どうしてそうなったのか全く事情が分らずに、ただぼんやりしている様子。

46. の嫁入り ( きつねのよめいり )

 日が照っているのに、雨がぱらぱら降っている、奇妙な状態をいう。

47. を馬に乗せたよう ( きつねをうまにのせたよう )

 いつも動揺していて落ち着かないようす。 また、言うことがとりとめなくて、信用のおけないこと。

48. をもって狸となす ( きつねをもってたぬきとなす )

 狐も狸も実際に知らないこと。知識のせまいことのたとえ。 また、見当ちがいをすることのたとえ。

49. 城社鼠 ( じょうこしゃそ )

 その身を安全な主君のそばにおいて悪事をする者。君主のそばにいる奸臣(かんしん)のたとえ。 城にすむ狐と土地の神を祭った社(やしろ)に巣くう鼠は、城や社をこわさなければそれらを取り除くことが出来ないので、 手をつけることが出来ない。
 【参考】 「狐鼠」ともいう。『説苑(ぜいえん)』善説篇(ぜんぜいへん)には、「稷狐社鼠(しょくこしゃそ)」とある。
 【類句】 獅子身中の虫

50. 兎の罠にがかかる ( うさぎのわなにきつねがかかる )

 思いがけない幸運をつかむこと。
 【類句】 鰯網で鯨を捕る

51. 虎の威を仮る ( とらのいをかるきつね )

 有力者の権勢をかさに着て威張る者のたとえ。 虎が多くのけものを捕らえて食べ、ある時、狐を捕まえた。狐は虎に「天の神が私を百獣の長にしたのである。だから私を食べると天の神の命令に背くことになりますよ。 うそだと思ったら、私のあとについて来て見てごらんなさい。百獣は私を見てみな逃げますよ」と言った。 虎が狐のあとについて行くと、けものたちはみな逃げて行った。虎は、けものたちが自分を恐れて逃げたのには気づかず、 狐を恐れたものと思った、という故事による。

52. 焼き餅焼くなら( やきもちやくならきつねいろ )

 嫉妬はしすぎてもいけないし、全然しなくてもいけない。 ほどよい程度にやくのがよい。

53. 千羊の皮は一の腋に如かず
  ( せんようのかわはいっこのえきにしかず )

 千匹の羊からとった千枚の毛皮も、一匹の狐のわきの下の白い毛皮に及ばない、ということから、 多数の凡人は一人の賢人に及ばない、という意味。

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