1. 木鐸 ( ぼくたく )
世人を教え導く人。「木鐸」は、木製の舌がついている鈴。
昔、法令を人民に触れる時に鳴らしたもの。
【参考】 「金鐸(金属の舌がついた鈴)」は、軍事の命令を出す時に用いた。
2. 木で鼻を括る ( きではなをくくる )
つっけんどんで愛想のないこと。ひどく冷淡に扱う様子。
【例】 「彼に借金を頼んでみたが、木で鼻を括ったような返事だった」
3. 木に縁りて魚を求む ( きによりてうおをもとむ )
木によじ登って魚を取ろうとすることから、手段を誤っては、求めようとしても得られない、という意味。
【類句】 畑にはまぐり
4. 木から落ちた猿 ( きからおちたさる )
頼るものを失ってどうすることもできないたとえ。
【類句】 木を離れた魚 / 陸に上がった河童
5. 木縄に従えば則ち正し ( きなわにしたがえばすなわちただし )
曲った木でも、墨縄(すみなわ)をあてて削ればまっすぐになる。
人も学ぶことによって行いを正しくすることができる。
6. 木に竹を接ぐ ( きにたけをつぐ )
物事が調和しない。前後のつりあいが悪い。筋道が立たない。
木と竹は似ているが、種類が違うので、木に竹を接ぎ木することはできない、という意味。
7. 木に餅がなる ( きにもちがなる )
非常にうまいこと。話がうますぎることのたとえ。
8. 木登りは木で果てる ( きのぼりはきではてる )
木登りの上手な者は木で死ぬ。
得意な技能のある者は、そのために身を滅ぼすことになる、というたとえ。
【類句】 川だちは川で果てる
9. 木の股から生まれる ( きのまたからうまれる )
人情を解しないもの、男女の情がわからないものを、人の子ではないと言ったことば。
【類句】 木仏金仏石仏
10. 木の実は元へ ( きのみはもとへ )
なった木の実はその木の根元に落ちる。
物事はすべてその起こった元に返る、ということ。
11. 木仏金仏石仏 ( きぶつかなぶついしぼとけ )
心の冷たい人や、にぶい人、融通のきかない人をたとえていう。
【類句】 木の股から生まれる
12. 木石に非ず ( ぼくせきにあらず )
人間は感情の動物であるという意味。木や石は感情を持っていないが、人はそれとは違うのである。
13. 入木道 ( にゅうぼくどう )
書道のこと。晋の王義之が板に書いた文字の筆勢が強く、後にその板を削ったところ、
墨が三分もしみ込んでいたという故事。
【参考】 「じゅぼくどう」とも読む。
14. 移木の信 ( いぼくのしん )
約束したことは必ず実行すること。臣の商鞅が法律を改正した時、人民が信用しないことを気遣い、
大きな木を国都の南門に立て、これを北門に移した者には、十金を与えるというお触れを出した。
ところが、人民は怪しんでだれも移す者はなかった。そこで五十金を与えるとしたところ、
一人の男がそれを移したので、約束通りの金を与え、政府は約束を守るものであることを明らかにした。
そして政令を公布した。
15. 円木警枕 ( えんぼくけいちん )
苦学して寝るのも忘れること。苦学力行。
宋の司馬温公は、若いとき円い木で枕をつくって、眠りかけると木がころがって目が醒めるようにして勉強したいという故事から。
16. 植木屋の庭できが多い ( うえきやのにわできがおおい )
気が多いのを木が多いのにかけたしゃれ。
17. 枯木栄を発す ( こぼくえいをはっす )
枯れ木に花が咲くように、衰えたものが再び盛んになることのたとえ。
【参考】 「枯木華開く(こぼくはなひらく)」ともいう。
18. 大木の下に小木育たず ( おおきのしたにおぎそだたず )
大きな木の下に陽もささず、栄養を吸い取られては小さな木も育たない。
権勢のある者のまわりに集まっている者はその庇護を受け、大人物にはならない。
19. 大木の下に小木育つ ( たいぼくのしたにしょうぼくそだつ )
勢力のある人のもとには、多くの人々が庇護(ひご)されていることのたとえ。
20. 喬木は風に折らる ( きょうぼくはかぜにおらる )
高くのびた木は風当たりが強く、風害を受けることが多い。
人も地位が高くなると批判や攻撃を受けることが多くなるたとえ。
【参考】 「大木は風に折らる」「高木は風に折らる」ともいう。
【類句】 出る杭は打たれる
21. 朽木は雕る可からず ( きゅうぼくはえるべからず )
腐った木には彫刻をすることができない。やる気のない怠け者には、教えることができない、という意味。
【参考】 「朽ち木は柱にならぬ」に同じ。
22. 槁木死灰 ( こうぼくしかい )
生気がなく意欲に乏しい様子のたとえ。
「槁木」は、枯れ木。「死灰」は、火の気がなく冷たくなった灰。
23. 草木皆兵 ( そうもくかいへい )
敵を恐れるあまり、全山の草木までが、みな敵兵に見えるということ。
また、軍隊の勢いの盛んなさまにもいう。
24. 大木に蝉の止まったよう ( たいぼくにせみのとまったよう )
大きなものに小さなものがつかまっていることの形容。大小の差が大きいことのたとえ。
25. 古木に手をかくるな若木に腰掛くるな
( ふるきにてをかくるなわかぎにこしかくるな )
先の見込みのないものをたよりにするな、将来のあるものには敬意を払えということ。
26. 若木に腰かけるな ( わかぎにこしかけるな )
若い者や弱い者をあてにしてはいけないということ。
27. 魚の木に登る如し ( うおのきにのぼるごとし )
魚が木に登るように、とうてい不可能な無謀な試みをたとえていう。
28. 老い木に花 ( おいきにはな )
一度衰えたものが再び盛んになることをいう。
【類句】 枯れ木に花
29. 老い木は曲らぬ ( おいきはまがらぬ )
若い木は弾力があって曲げられるが、老木になると曲げると折れてしまう。
人も若いうちなら性質もくせも直せるが、老人になってからは直らない、ということ。
30. 朽ち木は柱にならぬ ( くちきははしらにならぬ )
腐った木は柱には使えない。根性の腐った者は使いものにならない、という意味。
【参考】 「朽木は雕る可からず」に同じ。