68. 生兵法は大怪我のもと ( なまびょうほうはおおけがのもと )
未熟な兵学・武術の心得は、身を守るどころか、かえって大怪我をする原因になる、ということから、
少しその道を知って自信のあるつもりの者は、それに頼って、かえって大失敗する、という意味。
【参考】 「生兵法は大傷のもと」ともいう。
【参考】 A little learning is a dangerous thing.
69. 生物識川へはまる ( なまものしりかわへはまる )
なまじっか知っている者はそれくらいは知っていると軽率にやるから失敗する。
70. 生酔い本性違わず ( なまよいほんしょうたがわず )
少しぐらい酒に酔っていてもその人の本当の性質は失われない。
また、酔いつぶれない程度に酔うとかえって本当の性質が出るものである、ともいう。
【参考】 「酒飲み本性違わず」と同じ。
71. 鉛は刀となすべからず ( なまりはかたなとなすべからず )
鉛はどんなに細工をしても刀にはならない。
鍛えればとけてしまう。ばかは使いみちがないというたとえ。
72. 訛りは国の手形 ( なまりはくにのてがた )
ことばのなまりで出身地がすぐにわかるということ。「手形」は昔の身元証明書。
73. 波に千鳥 ( なみにちどり )
絵になりそうな取りあわせをいう。
【参考】 「梅に鶯」も同じ意味。
74. 波にも磯にも付かぬ ( なみにもいそにもつかぬ )
どちらにもつかないこと。ちゅうぶらりんなこと。
75. 蛞蝓に塩 ( なめくじにしお )
すっかりしょげてしまうことをいう。また、苦手の前で萎縮してしまうこと。
76. 名よりも実 ( なよりもみ )
名前や見かけのよさよりも実質のよいもののほうがよいということ。
77. 習い性となる ( ならいせいとなる )
習慣が第二の天性となる。悪い習慣を繰り返していると、それが生まれつきの性格のようになること。
78. 習うは一生 ( ならうはいっしょう )
人はいくつになっても、学び習わなければならないことがある。人間は一生が勉強である。
79. 習うより慣れよ ( ならうよりなれよ )
物事を習得するには、知識を教えてもらうより実地に練習を重ねる方が効果的だ、ということ。
【参考】 Practice makes perfect.
【例】 「タッチタイピングは習うより慣れよだと思う」
80. 奈落の底に沈む ( ならくのそこにしずむ )
「奈落」は地獄の意で、二度と立ち直れないような打撃を受けたり、これ以上はないという悲惨な境遇に陥ったりして、絶望的な気持ちになる。
81. ならぬ堪忍するが堪忍 ( ならぬかんにんするがかんにん )
もうこれ以上は我慢できない、というところを我慢するのが真の我慢強さである、という意味。
82. 習わぬ経は読めぬ ( ならわぬきょうはよめぬ )
素養のないことは、急にやれと言われてもできるはずがない。
【参考】 「門前の小僧習わぬ経を読む」の反対。
83. なりわいは草の種 ( なりわいはくさのたね )
生活のための手段や仕事はさまざまであるがどこにでもある。
84. 鳴る神も桑原に恐る ( なるかみもくわばらにおそる )
雷も桑原は避けて落ちない。これは平安朝時代、天神さまに祭られている右大臣菅原道真が、左大臣藤原時平のざんげんにより、九州太宰府に流され、その地で死んだ。
俗説ではあるが、道真の亡霊がかみなりさまになり、しばしば、京都地方へ落ちて人心を寒からしめたが自分の領地の「桑原」には落ちなかった。
そこでかみなりさまが鳴ると「クワバラ、クワバラ」と唱えるようになったという。
85. 狎れ狎れしさは軽蔑を生む ( なれなれしさはけいべつをうむ )
親しさが増して狎れ過ぎてしまうと、かえって軽蔑の念が起こる。
【参考】 Familiarity breeds contempt. の訳語。
【類句】 親しき中にも礼儀あり
86. 縄目の恥を受ける ( なわめのはじをうける )
罪人として縄で縛られる意で、世間から犯罪者として軽蔑され、屈辱を受ける。
87. 名を捨てて実を取る ( なをすててじつをとる )
自分の名誉や世間の評価にこだわらず、実質的な利益につながる道を選ぶ。
【参考】 単に「実を取る」ともいう。
88. 名を取るより得を取れ ( なをとるよりとくをとれ )
名誉よりは実利を取ったほうがよい。
【参考】 これに対して「得を取るより名を取れ」という語もある。
89. 南柯の夢 ( なんかのゆめ )
夢の意。また、はかないことのたとえ。
【参考】 「槐安の夢」ともいう。
90. 難行苦行こけの行 ( なんぎょうくぎょうこけのぎょう )
いろいろ苦しい思いをして修行するのはおろかなことだということ。
91. 難産色に懲りず ( なんざんいろにこりず )
難産で苦しんだ女は、もうこれっきり色事はすまいと思うが、やがてその時の苦しさを忘れて色事を繰り返す。
92. 南山の寿 ( なんざんのじゅ )
人の長寿を祝う言葉。「南山」は、長安の南にある終南山。
終南山のように永久に変わらない、という意味。
93. 汝自身を知れ ( なんじじしんをしれ )
自分自身についてよく知るべきである。
自分のことを忘れるな、分際をわきまえよ、思慮深くあれ、という意味。ギリシャの賢人の言葉。
94. 爾に出づるものは爾に反る ( なんじにいづるものはなんじにかえる )
自分の身から出た行為は、その報いが自分の身に返ってくる。善悪禍福(かふく)はすべて自分自身が招いたものである。
95. 汝の敵を愛せよ ( なんじのてきをあいせよ )
人間はみな兄弟であるから、たとえあなたの敵であっても愛さなければいけない。
【参考】 新約聖書にある言葉。
96. 南船北馬 ( なんせんほくば )
絶えず諸方を旅行すること。中国の南部は川や湖沼が多いから船が、北部は陸地続きだから馬が第一の交通機関であったところからいう。東奔西走。
97. 何でも来いに名人なし ( なんでもこいにめいじんなし )
さあ何でも来い、どんなことでもやってやる、と言う人に名人はいない。
器用な人は、一応何でもかなりな程度にやってのけるものであるが、そのどれをとっても、一芸に秀でた名人といえる腕前にはなっていないものである。
【類句】 多芸は無芸
98. 難に臨んでにわかに兵を鋳る
( なんにのぞんでにわかにへいをいる )
兵乱などが始まってにわかに兵(武器)を鋳て作ること。
平素の準備をせずにいて急場にのぞんであわてて用意すること。
【類句】 渇して井戸を掘る
99. 南風競わず ( なんぷうきそわず )
南方の国の勢力が振るわないこと。もと「南風」は、南方の国の詩の調子、その声調が衰えている意。
【参考】 『日本外史』の楠氏(なんし)の論に「南風競わず、倶(とも)に傷つき共に亡(ほろ)び、終古以て其の労を恤(あわれ)む莫(な)し。悲しいかな」とあり、南朝の衰微をいう。
100. 南面 ( なんめん )
君主または天子の位。王者は南に向かい、臣下は北に向かって座る定めであった。