65. 徳に順う者は昌え徳に逆らう者は亡ぶ
( とくにしたがうものはさかえとくにさからうものはほろぶ )
すべからく道徳に従い、そしてこれを実行する者は繁栄し、道徳に反する者は滅びるということ。
【参考】 「徳をたのむ者は栄え力をたのむ者は亡ぶ」ともいう。
66. 毒にも薬にもならない ( どくにもくすりにもならない )
じゃまにもならない代わりに何の役にも立たない様子。
67. 毒薬変じて薬となる ( どくやくへんじてくすりとなる )
毒薬も、使い方によって良薬に変わるというので、わざわいが変じて幸福になることをいう。
68. 徳利に味噌を詰める ( とくりにみそをつめる )
実際に合わないことや、入れにくいことのたとえ。
69. トクを買いて珠を還す ( とくをかいてたまをかえす )
外面の飾りだけに心がひかれること。「トク」は木の箱。
昔、珠玉を売る人が、あまりにも立派に飾った箱に入れて売ったために、買いては中の珠の値打ちを知らず、箱だけを買って中の珠を返したという故事。
【参考】 「櫃を買いて珠を還す」ともいう。
70. 得を取るより名を取れ ( とくをとるよりなをとれ )
金をもうけることよりも名誉のほうが大切だということ。
71. 徳を以て怨みに報ゆ ( とくをもってうらみにむくゆ )
自分が人から恨みに思うことをされても、かえって相手に恩恵を与えるということ。
72. 徳を以て人に勝つ者は昌え力を以て人に勝つ者は亡ぶ
( とくをもってひとにかつものはさかえちからをもってひとにかつものはほろぶ )
徳行をもって人に接しこれを従える者は栄えるが、暴力をもって人を制圧する者は滅びる。
73. 毒を食らわば皿まで ( どくをくらわばさらまで )
毒を食べてしまった以上は、その毒を盛った皿までもなめる。
罪悪に手を染めた以上は、徹底的に罪悪を重ねる、という意味。
【例】 「一度横領をすると、毒を食らわば皿までと、次々と使い込んでしまった」
74. 毒をもって毒を制す ( どくをもってどくをせいす )
悪事を押さえるのに悪事をもってする。悪人を除くために悪人を利用する。
75. 所変われば品変わる ( ところかわればしなかわる )
場所が違うと、品物の名称・形状が違う。土地によって風俗・習慣・言語が変わる、という意味。
【参考】 「難波の葦は伊勢の浜荻」に同じ。
76. 所で吠える犬はない ( ところでほえるいぬはない )
どんな意気地のない者でも自分の縄張りでは強そうに振る舞う、という意味。
77. 所に従う絵をかく ( ところにしたがうえをかく )
その場所にふさわしい絵をかくということで、そのときどきに適したやりかたをすることのたとえ。
78. 所の法に矢は立たぬ ( ところのほうにやはたたぬ )
土地土地の風俗や習慣には、たとえそれが正しくなくても、従うより仕方がないということ。
79. 何処で暮らすも一生 ( どこでくらすもいっしょう )
どんな寂しい田舎で暮らすのも、にぎやかな都会で暮らすのも一生は一生である。
つまり同じことなら住みよい所に住むほうが得である。
80. 年が薬 ( としがくすり )
年をとるに従って、考えが深くなってくること。
年齢は人を賢くさせるということ。
81. 歳寒くして松柏の凋むに後るるを知る
( としさむくしてしょうはくのしぼむにおくるるをしる )
厳寒ともなれば他の草木は枯れしぼむが、松柏のみは青々としてその色を変えないということで、
逆境にあっても、いかなる困苦にも堅固な節操をいう。
82. 年は寄れども心は寄らぬ ( としはよれどもこころはよらぬ )
年はとっていても、決して気性はにぶっていないということ。
83. 斗ショウの人 ( としょうのひと )
つまらぬ人間。器量の小さい人物。「斗」は一斗入りのます、「ショウ」は一斗二升入りの竹製の器。
ますで量れるようなつまらない人物、という意味。
84. 屠所の羊 ( としょのひつじ )
しおしおとして元気を失った者。
屠殺場(とさつば)に引かれていく羊のように死が目前に迫った者、という意味。
85. 年寄りと紙袋は入れにゃ立てられぬ
( としよりとかみぶくろはいれにゃたてられぬ )
まず腹ごしらえをしてから仕事をしようということで、年寄りも紙袋も同様に、
腹に入れないと立つことができないというたとえ。
86. 年寄りと釘頭は引込むがよし
( としよりとくぎがしらはひっこむがよし )
年寄りはもう過去の人なのだから、若い人にあとをゆずるのがよいということ。
老人の出しゃばりを戒めた言葉。
87. 年寄りの言う事と牛の尻繋は外れない
( としよりのいうこととうしのしりがいははずれない )
経験を多く積んだ人の知識やその考え方は尊いもので、正しいといわねばならない。
しりがいは牛馬の車との固定具で、なかなか外れないようになっている。
88. 年寄りの子は影なし ( としよりのこはかげなし )
親が年をとってからできた子供は、がいして体が弱いということ。
89. 年寄りの達者は春の雪 ( としよりのたっしゃははるのゆき )
年寄りの丈夫なのは、春の雪の消えやすいのと同じで、あてにならないことをいう。
90. 年寄りの力自慢 ( としよりのちからじまん )
年寄りが若い者にまじって力くらべをしても、負けるのにきまっているのと同じように、
似合わないことをしないほうがよいということのたとえ。
91. 年寄の冷や水 ( としよりのひやみず )
「冷や水」は冷やしたつめたい水。
年寄りが冷たい水を飲むということから、老人には不相応な危ないことをすることのたとえ。
92. 年寄りは家の宝 ( としよりはいえのたから )
年寄りのいることは、何かのために役立ち、万事家のためによい。
93. 年寄りは二度目の子供 ( としよりはにどめのこども )
人は年を取ると子供に返ったように、わがままになったり甘えたりするものである、という意味。
【参考】 Old men are twice children. の訳語。
94. 泥鰌の地団駄 ( どじょうのじだんだ )
弱い者が身のほどわきまえず、強い者に立ち向かうことで、どうにもならないことのたとえ。
95. 年を問わんより世を問え ( としをとわんよりよをとえ )
他人に年齢を尋ねるよりは、その人の過ごしてきた人生を尋ねなさい。
その人の年齢の多い少ないは問題ではなく、それまでその人がどのような人生を過ごしてきたか、その経験が問題である、という意味。
96. 渡世は八百八品 ( とせいははっぴゃくやしな )
職業には千差万別いろいろの種類があるということ。